toorisugari3のブログ

ベターコールソウルの事について、ネタバレ込みでつらつらと

Better Call Saul S6Ep08 感想 (含: ネタバレ) (last updated 20220717)

本エントリは、ベターコールソウルS6Ep08や、Breaking Badへのネタバレ記述がふんだんに含まれる。未視聴の方は読まない事を強く推奨する。

 

 

振り返り

どこかの砂浜

波の音と砂浜でもう察してしまえる。Ep03と同じ、フラッシュフォワードでのちらつかせ。勿論靴やNAMAST3ジャガーでこちらの方が明示的ではある。
 本エピソードの脚本家であるゴードンスミスによれば、このシーンがシリーズ全体で一番最後に撮影されたシーンであるらしい*1

該当記事では今回のハワード陥れる件について、キムの中でどう認識されているかの記述もあり、なかなか興味深い。絶対的真実と言うわけでもないが、脚本家の言う事でもある。また、放送前の本人のインタビューでも、キムを演じるレイによる、キムへの想いが一部明かされているので興味があれば是非見てほしい*2

 

 

キムのアパート

ろうそくの炎から入るのが流石。ラロは腹案も無しにキムのアパートに押し入ってハワードを殺したわけではなかった。ガスの暗殺代理をさせる……?しかもキムに?まだここでは納得がかない。

 

ラロが話をするシーンでのジミーとキムの態度が印象的。Ep04でマイクが言ったように、キムの方が肝が据わっているかと思っていたら、ここでは逆にキムが強くおびえ、ずっと過呼吸みたいな感じになっている。一方、ジミーが腹を決めて落ち着いてラロと交渉している。

ジミーはキムに殺人をやらせようとしたのではなく、自己犠牲の上で逃がそうとしているように思える。

 

キムが出かけた後で、ラロは「自分を殺す手引きをしたナチョがお前を紹介したのだ」といい、ジミーはそれには関わっていないと激しく抗弁する。これがBrBaS2Ep08での
「No, it wasn't me. It was Ignacio. He's the one.」「Lalo didn't send you? No Lalo?」というセリフの理由、「ラロへの恐怖の大きさ」を回収する。

 

また、金魚の水槽のエアポンプが前のエピソード時よりも間隔が少し遅くなっている(3秒→4秒強)。エアポンプについてはまたいつになるか分からないが、別エントリで纏めたい。

 

 

ガス邸

ガス邸の前で車を止め、銃とカメラを手に玄関に近寄るキム。しかし、S6Ep04で示されたようにガス邸は監視下にあり、しかも中に居るのは影武者だ。ここまで思い出せたらラロの意図もほぼ判明する。陽動だ。

 

案の定、キムは後ろからきたマイクに拘束され、家の中に連れ込まれる。

BrBaS4Ep02 A3で、ガスを殺すために訪れたウォルターが、気配も無いのに「帰れ」と電話を受けるシーンを思い出させる。

 

キムは、ラロに銃なんて触った事もないと言ったが、扉が開くときには銃を構える。ジミーもキムも、お互いの為なら自分の命も殺人という罪も厭わない事が示される。キムもジミーの逃げろという意図には恐らく気づいていたはずだ。

お互いへの忠誠心の強さについては、ケトルマン夫妻を思い出させる。

また、この玄関越しに銃を構える構図はBreaking Badでジェシーがゲイル・ベティカーを射殺したシーンを思い起させる。もっともジェシーは遂行し、キムは未遂に終わるわけではあるが。これが本エピソードのタイトル、「Point and Shoot」と最も結びつく既発表エピソードではなかろうか。※前半のエピソードタイトルについての解説*3

 

見かけたネタだが、「Point and Shoot」は寧ろ先のBrBaS4Ep02で、ウォルターが「出来なかった事」の方が正解なのかも。

BrBaS4Ep02のタイトル「Thirty-Eight snub」snubは拳銃の事で、ウォルターがガス暗殺の為にこのエピソードTeaserで武器密売人から購入し、このシーンでも懐に忍ばせているものだ。

ウォルターがガスに「できなかった」「Point and Shoot」を、過去ガスは強敵ラロ相手に成し遂げていた。

 

キムの話の内容に違和感を覚えたガスは、キムと電話越しに話す。そこで「ラロが説得されて夫の変わりに自分を寄越した」と聞いて全てを察する。これは陽動で、スーパーラボの証拠をつかみに行ったのだと。そしてガスはそこへ向かう。

 

 

ベターコールソウル公式Twitterが、このシーンで「キムは撃てたと思う?」と題し、動画をツイートした。

もしマイクに阻止されなければ撃っていたか?という問いに対して、レイは「その問いに答えるつもりはないが、自分の中ではこうだという考えは持っている」とだけ答える。ここで答えさせてしまうと興醒めする人も多いだろうし、この答えが100点満点だと自分は思っている。そのうえで、キムなら撃っただろう、とも。

 

これを書いている時点で20件ほどの引用RTがあるが、その中で判断を書いている人は皆「撃っただろう」と答えていた。リプの方を数十件見ても、一様にYESだ。多分レイの答えもそうなんだと妄想している。

 

 

洗濯工場

スーパーラボ上の洗濯工場で、ラロはガスの護衛を皆殺しにする。護衛が防弾ベストを付けてないのは少し気になる……

 

 

キムのアパート

マイクの手下の一人が狙撃銃でキムの部屋を覗く。S5Ep09ではマイクがしていた事だ。この手下はS6Ep02のA4で、養鶏場のオフィスを襲撃者に備えて監視していた狙撃手でもある。


キムのアパートの階段を駆け上がるマイク達を追うカメラは極端なローアングルと激しい揺れで後を追う。このカメラの揺れはBetter Call Saulではあまり使用されないが、Breaking Badではおなじみだったもので、S5Ep08 Bagmanでも銃撃戦シーンの一部で使われた。このエピソードもヴィンスギリガン監督ゴードンスミス脚本の回である。


キムのアパートでは、ジミーから「ラロはキムが出発してすぐ出ていった」と聞いたマイクも全てを察する。

 

 

洗濯工場/スーパーラボ、ロスポヨスエルマノス

防弾ベストの上からガスの胸を撃つラロ。階段からガスを蹴落とすのといい、いたぶりかたがラロらしい。

そして最期の演説を求めるガスと、応じてビデオに収めるラロ。カメラはS6Ep05で描かれた、緩めた電源ケーブルコネクタと重機のキャタピラに隠した「チェーホフの銃」を映しながらガスの演説を追う。

そしてヘクターを喋れない状態にして生かしたのは自分だとも告白する。これはEp03のナチョの演説を強く想起させる。

 

そしてコネクタを蹴って明かりを落とし、隠した銃へ走る。銃撃戦で勝つのは勿論、100%proofのプロットアーマーで守られたガスだ。ゴボゴボと口から血を吐き、事切れるラロ。ガスも腹に手傷を負い流血している。

 

この究極の緊張シーンからの場面転換で、ポヨスエルマノスに出勤するライル君。お気楽な勤務先のCMソングを歌ってる。緊張の緩和。ドンキやソフマップのアレと同じ。

 

ガスの傷は浅く、貫通銃創で大事には至らなさそうなことも描写される。

ガスはマイクに文句を言われるが、ガスの反応は嘘くさい。ラロがスーパーラボに行った事は確信していたはずだ。マイクは「知っていればもっとうまく対処できたはずだ」というが、それに首肯するガスを見ても本心とは思えない。

Breaking Badでも、マイクはガスへの「絶対的な」忠誠があったようには見えない。

BrBaS3Ep12では、ソウルの部下であることは一種の隠れ蓑で、ガスの部下であることをウォルターに打ち明け、そのボスにも言わずに「同業者としての忠告(professional courtesy)」に出向いている。また、BrBaS4Ep01でのヴィクター処刑時(場所は同じスーパーラボだ!)、マイクはガスにとっさに銃を向けている。

 

 

キムのアパート

ジミーの水槽横にマッカランのラベルが映り、18年物である事が明らかに!「今」日本で買うと7万円前後だ。2004年当時なら数割は安かったのではなかろうか。90年代の値段を思うと日本では(日本に限らないか)わりと値上げ幅の大きいブランドだとおもう。

殺人現場で直前に飲まれた酒が映るのはS6Ep01でもあった。ラロ邸で映ったルイ13世デカンタだ。

 

ジミーが待つキムのアパートに、キムやマイクが帰ってくる。
マイクはラロが帰ってくることを心配するジミーに「He is not coming back」という。これは2度目のラロ死亡通知だが、1度目が事実でなかった事もあり、ジミーが疑う余地となり、BrBaS2Ep08での「Lalo didn't send You?」となる。

マイクが2人に「座れ」と言うのは冒頭でラロが言っていたのと同じだ。

何もなかったように、ハワードの死とは一切関係がないように振る舞えと言われ、同意するジミーとキム。ハワードは、直接2人が殺したわけではないが、死ぬ原因の1つを作ったのは間違いなく彼らだ。キムは最初の、そしてジミーはチャックに次いで2つ目の十字架を背負う事になる。

 

そしてハワードの死はジミーとキムが作ったお話の延長線上で「処理」される。夫婦仲をこじらせ、コカイン中毒で失敗した弁護士として入水自殺。ハワードの社会的名誉は回復されない。この様子では、クリフ・メインももう2人を追及することはないのだろうか?

 

 

スーパーラボ

ショベルカーで穴を掘るタイラス。彼はBreaking Badでもフォークリフトを自在に操っており、そちらの方面の経験があるのだろう。

そして並べられたラロとハワードの死体。マイクはTeaserで示された財布・結婚指輪・靴を回収して、穴に入れる際には「Easy」と声をかける。ハワードを悼む様子はうかがえるが、ラロと同じ穴に埋めてしまうことについては個人的に激しい憤りを隠せない。

 

とか言っていると、ハワードの中の人がこんなツイートを。

メタ的には笑ってしまうんだけど、ドラマにのめりこんでるとうわあああああってなってしまう。

 

 

予想との乖離

個人的には、可能性としては小さいことは承知で、ラロはBrBa後まで秘して生き残り、シーズンアートで赤いジャケットを羽織るジーン=ジミーは、ラロによる窮地からキムを救うためではないか、という万馬券的大穴の説を唱えてきた。

 

これはあっさり裏切られ、ラロの死がはっきり描かれてしまった。これを何らかのトリックで錯誤とするような制作チームではないので、ラロの死亡は揺るがない。

 

となると、残りの5話で何が描かれるのか。これが想像力不足の自分にはほとんど想像がつかない。自由の女神関係でケトルマン夫妻、黒い手帳関係で獣医カルデラの再登場はそれなりに濃厚ではあるだろうが。ウォルターとジェシーの登場の仕方も全く未知数である。

一つ回収すべきネタの方でも忘れていた事がある。ジミーとキムが共同事務所から退去する時に、ジミーが捨てようとした老人たちの名刺ホルダーだ。これが出てくるかどうかはフィフティ・フィフティよりも分が悪いとは思っているが、残りの5話でもしかしたら出てくるかもしれない。どういう形になるかなんて想像もつかないが。

(以下20220717追記)

もう一つ忘れていたが、裏をハワードを陥れるための作戦ボードにしたソファの上の風景画、殺された時に血しぶきがかかってる。血は恐らくマイクの手下たちが綺麗にしたんだろうが、あの絵がS6Ep01Teaserのソウル逃亡後の屋敷で運ばれているのがまだしっくりこない。いわばジミーとキムにとってはハワードを殺した准凶器、とまでは言わないが、ハワードの死への責任を思い起こさせるアイテムであるはずなのに。

 

一方、ガスとカルテルとの因縁で回収すべきイベントは全て済んでるように思う。基本的には弁護士サイドと、ジーン後で残り5話費やされるのだろうか?ジーンとなった後の話に使われる尺が1~4話と仮定すれば、Better Call Saulタイムラインで使えるのは4~1話と言う事になる。どういったバランスになるんだろうか。自分はジーン後は2話位じゃないかと思っているのだが。Rollingstoneの記事*4では、「at least one, if not more」と書かれている。

 

 

ヴィクター役のジェレミア・ベツイが、「シーズンはいつも通り素晴らしく、予測不可能な方法で締めくくられる」と語ったそうだ*5

 

今の段階では殆どの人にそんなわけないだろう、と一笑に付されるような筋書きを、説得力のある形で描いてくれるのではないか。そして、それは放送直後には混乱を生むが、やがて幾通りかの説得力のある解釈が得られ、「やっぱりこいつら(制作陣)にはかなわねえな!」と言わせてくれることを期待、そして確信している。

 

 

ベターコールソウル 最終シーズン後半開始にあたって これから回収されるべきネタ

7/12にBetter Call Saul最終シーズン後半がスタートする。それに向けて、未回収のトピック(漏れも必ずあると思う)と、それについてのちょっとしたコメントを。

 

ジミーとキム関係

ソウルが所有する事になるもの

  1. キムの持ち物 アパートのソファの上の絵(ハワードが殺された時に血しぶきがかかってるのに)
  2. キムの持ち物 サフィロ・アネホのボトルストッパー
  3. 王国への鍵 獣医カルデラの黒い手帳
  4. ケトルマン夫妻所有 バルーンの自由の女神

 

キムの行く末

BrBaにおけるキムの不在の理由は?

 

収監説・死亡説・人消し屋利用説などあるが、Breaking Bad時点での死亡説はそれなりにオッズが高い(可能性は低い)と思われる。

BrBaS3Ep02、ウォルターから離婚の話を聞いてソウルは「通報の心配は無いからメスを作れ」と言うがアパートを出てから車で意味深な溜息をつくシーンがある。2回目までの結婚を思い出してるのか、3回目の結婚を思い出しているのか。

 

S4Ep05Teaserでは、S5までのEp01Teaser以外で初めてBrBaタイムライン以降のフラッシュフォワードが描かれる。その中でソウルが言及した11月12日の午後3時フランチェスカに掛かってくる電話とは?

 

フランチェスカを性的に見るBrBaソウル

ファンの間でどういう事だ?とよく話題に上がる、BrBaS2Ep08で事務所を閉めてフランチェスカの後ろ姿を見ながらソウルが言うセリフ。

God, you are killing me with that booty. (字幕: あのケツがたまらん)

ジミーの女性遍歴で描かれたものは、S1Ep03、トゥコから解放された直後のデートと、S1Ep10でマルコと一緒に引っ掛けた女性、そして過去2回の結婚相手と、現在の結婚相手キムの5人だけだ。過去2回の結婚相手の容姿は分からないが、その他3人の容姿はフランチェスカとは相当傾向が違う。

 

脚本家・監督の一人、Tom Shcnauzはこんなツイートをしている。

 

ソウル自身がBrBaで再登場したり、自分自身のスピンオフ番組を持ったりする前のセリフに注目されている。制作陣はパズルのピースを繋げるために全力を尽くします、みたいな意味だろう。
    
これ以外にもソウルは、BrBaS4Ep12で、「H.T. /Honey Tits(巨乳ちゃん)」呼びして、フランチェスカに「次言ったらネクタイで絞殺してやる」と言われてる。フランチェスカへの高圧的な態度はだんだん強まってきてはいるが、性的に見ている描写は一切ないので、ここをどうつなげるのか。

 

ハワードの死体の処理

失踪・行方不明という事にして死体を隠すのか、自殺に見せかけるのか、それ以外か。

ラロの人脈は使えないが、ジミーとキムだけで処理するのか、マイクかその他の獣医人脈を使うのか。

 

昼食会ドタキャンの影響は

キムなりに勝算があって車をUターンさせたのか、ノープランだったのか……

 

クリフ・メインの動向は?

「ジミーを良く知るもの」としてのクリフが、ハワードの死後、Ep07でのハワード失態についての主張について何もしない事がありうるか?

 

「ラロの手下だろ?違うのか?」

BrBaS2Ep08で、目出し帽姿のウォルターとジェシーに荒野に連れていかれた時にソウルが発した言葉。BcSに繋がる発言は2つあり、この前に「私じゃない、あれはイグナシオだ」というセリフもある。

No, it wasn't me. It was Ignacio. He's the one.

 

Lalo didn't send you? No Lalo?

この事から、ジミーはBreaking Badタイムラインまでに、ラロにとって何か不利な事をするのか、したと誤解されるようなイベントが起きる必要がある。また、それをイグナシオ=ナチョのせいにしているが、この2つの発言のどこまでが本当の事で、どこまでが口から出まかせなのかも不明だ。何せナチョはS6Ep03の時点でもう死亡済みだから。

 

Post Breaking Bad

タクシードライバーのジェフ

逃がし屋に「自分で何とかする」と電話したシーンで終わってる。

I'm gonna fix it myself.

直接Jeffに危害加えるのか(オッズはかなり高い)、口先でなんとかするのか、自分で逃げるのか、開き直るのか。

 

シーズンアートの赤いジャケット

ジミーは誰のために、何のためにあの赤いジャケットを着るのか?

個人的にはキムのため以外にあるのか?と考えているのだが。

 

裏社会(カルテル)関係

カルテルとガスとの関係

BrBaでは、特にカルテルサラマンカとガスとの関係の悪さは最初は見られない。カズンズがウォルターを殺しに家に(気づかれなかったが)押し入った時も、マイク→ガス→ボルサ経由でガスの話を聞く姿勢がある。ヘクターの命を救った事、ラロ殺害の主犯ナチョ(勿論実際は違う)を引き渡した事等によるものか。

こういう状況を踏まえると、S6Ep07で撮影されたラロのビデオレターはドン・エラディオには渡らないのだろう。

    
スーパーラボの「チェーホフの銃」

ガスとラロの対決が予想通り行われるのか、イレギュラーがおきるのか。

 

ラロの運命

BrBaで明らかになっている事は「ガスがラロの死を確信している」事、「ソウルがラロの死を知らない」事。そして、サラマンカはラロが姿を消したことについてガスの責任だとは思っていないだろうことだ。

 

Redditでは、Breaking Bad S3Ep10でウォルターを悩ませた蠅が、スーパーラボの地下に埋められたラロの死体からわいたものだ、なんて予想がミーム化してもいるが果たして。

 

 

その他

ジェシーとウォルターの再登場

「くだらないカメオ出演にはしない」という制作陣の言葉は信じていいと思う。

 

HHMはどうなる?

解散するのか、それとも……

 

 

 

 

 

Better Call Saul S6 Ep08は、日本では7/12にNetflixで配信される。

Better Call Saul Season6前半における繰り返し演出・自己言及 (LastUpdated 20220714)

【注意】本エントリには、Breaking Bad/Better Call Saulのネタバレが含まれる。Breaking Badと、Better Call SaulのS6Ep07まで未視聴の方の閲覧は推奨しない。

 

本ブログ最初のエントリでも言及したが、Better Call Saul/Breaking Badにおいては、繰り返し描かれる出来事や、自己言及が作品世界・ストーリーに深みを与える大きな役割を果たしていると考える。繰り返しは印象を深め、またその際の差異を強調する効果もある。そのため、最終シーズン前半における繰り返しや自己言及を纏めるエントリを作る事にした。

基本的には同一カテゴリのイベントで、最後におきたエピソードのセクションで言及する事にした。

なるべく意図がはっきりしたものばかりを選んだつもりだが、中には単なるストーリー上の流れでそうでないのもある。

 

 

引用について、法で認められた要件を満たすためには、引用部と非引用部では後者の比重が大きい必要があるそうだ。字幕入りのキャプチャ画像だけで纏めようとしていたが、それでは要件を満たすとはとても思えないため、直接引用しないでいい部分についてはなるべく引用しないで記述する事にした。

 

Twitter上で、同じような事をやっておられる、「kat! (@gilliverse)」というアカウントがあり、先にこちらのツイートで気づいたものに関しては、該当ツイートをリンクする事にした。Reddit等のネットで気づいた情報もあるが、細かく覚えていないのでそちらについては言及しない。

 

本記事においては、「本エピソード」という場合、属するセクションのエピソードを指し、「このエピソード」という時は、直近に示したエピソードの事を指す。

また、S○Ep○○という形でエピソードを指定する時はBetter Call Saulのエピソード、前にBrBaと付けた時はBreaking Badのエピソードを指す。Teaser A1~4はそのエピソードの中でさらに位置を指定する際に用いる。

 

また、Season6のタイトルがBetter Call Saul/Breaking Badとの関連を示すことについては別エントリ*1で示しているので割愛する。

 

あまりに膨大になったので、目次をざっと眺めて気になった部分だけチェックするのが良いかもしれない。

 

 

Episode 1

サフィロ・アネホのボトルストッパー

Teaserの最後、大きな棚の扉からこぼれ落ちるサフィロ・アネホの薔薇の蕾のようなボトルストッパー。

 

これは勿論S2Ep01で、ジミーとキムがヴィクターとジゼルという名前でケンに奢らせた時の記念品だ。

S5Ep09で、S&Cを辞める時に、わざわざ自室へ戻って取りに行った思い出の品でもある。

 

その他、本エピソードのTeaserが示すイースターエッグについては、別エントリでもしめした動画*2を参照されたし。S6ではじめてでてくるが、本Teaserで先に出てくる、逆イースターエッグについてはまた別エントリで。

 

 

World's 2nd Best Lawyerトラベルマグ (updated 20220625)

本エピソードで、World's 2nd Best Lawyer Againのトラベルマグはキムがゴミ箱に放り投げる。

 

S5Ep08で、ジミーは愛車Esteemを窪みに落とす前に、このトラベルマグを車から持ち帰る。 (updated 20220625)

車から穴の開いたトラベルマグを回収するジミー

 

S5Ep01で、キムはジミーに「World's 2nd Best Lawyer Again」のトラベルマグをプレゼントする。

 

S2Ep02で、キムはジミーに「World's 2nd Best Lawyer」のトラベルマグをプレゼントする。

 

 

依頼人を陥れる犯罪者 (updated 20220625)

エル・カミーノダイナーで、キムがジミーにお金持ちの子が、キムのクライアントに強盗の罪を擦り付ける話をする。

 

S5Ep02 A1で、ジミーがアイロンをかけながらクライアントと電話している。その内容も、Bモーという人間が「依頼人に薬物を買うように迫られた」と言っているが、「実際はBモーが依頼人に売りに来たのだ」という話をしている。(真偽不明)

 

S5Ep10 避難先のホテルのベッドで、キムはジミーに「富裕層の弁護を 普通の人に提供するの」と言っている。 (updated 20220625)

 

 

蟻のアップ

A2 ラロ邸襲撃犯の指の上にいる蟻のどアップシーンから始まる。

 

蟻のどアップと言えば、S5Ep03 Teaserだ。前エピソードで落としたアイスにたかる蟻のどアップから始まる。

 

 

カズンズの行進

カズンズが2人並んで歩くだけで絵になる。本エピソードではラロ邸へ入っていくシーン。

 

S5Ep08 Teaserでは、フロント企業的な車の修理工場の入り口から、ラロの保釈金を取りに行くシーンで並んで歩いている。また、A1ではその金の入ったバッグをジミーに渡すシーンで並んで歩いている。

S4Ep03 A1では、襲撃されたナチョの車へ2人並んで歩いている。

 

BrBaS3Ep07 モグリの武器商人から防弾チョッキを買うシーン。特に帰り。

 

BrBaS3Ep02 A2では、カーサ・トランキーラの広間に入り、ヘクターの元へ並んで歩いている。また、A4では、ウォルターの家の中に入っていくシーン、家の中をウォルターの方へ向かうシーンで並んで歩いている。

 

BrBaS3Ep01 Teaserでは、歩いてはいないが、ならんで這いだすという「一体何がはじまるのか?」と思わずにはいられない初登場シーンを飾っている。また、このエピソードの最後では、密入国業者のトラックをガソリンで燃やし、それをバックに行進している。

 

もうここまでくると、この2人はもはや「人物」ではなく、「現象」のような印象すら受ける。

 

 

血で血を洗う

A2 ガスとボルサの電話通話の中で、サラマンカの流儀としてガスが発話するスペイン語

Gus: "Sangre por sangre."

 

BrBaS4Ep08 Teaser カーサ・トランキーラで、ガスがヘクターに言う。

Gus: This is what comes of blood for blood, Hector.

 

 

忠誠心

A2 鶏舎のオフィスで、マイクがガスに。いかにもマイクらしい規律。ここでのbothは勿論、ガスとナチョの事だ。

Mike: Loyalty goes both ways.

吹替・字幕では「忠誠心(吹替のみ: てのは)双方向だ」

 

BrBaS4Ep02 A4 マイクいきつけのバーで、ウォルターがマイクに。ちなみにこの会話の後、ウォルターはマイクに殴られる。ここでいうpartnerはジェシーの事。

Walter: Everything I did, I did out of loyalty to my partner.

吹替は「すべては、わたしとパートナーとの信頼感からやった事だ」。

字幕は「自分の相棒を 守りたかっただけだ」。

 

BrBaS4Ep07 A3 車の中で、ジェシーがマイクに「何故銃の撃ち方なんておしえてくれるんだ?」「俺を見極めるってなにを?」と聞いた時のセリフ。

Mike: I'd guess loyalty.
Jesse: Loyalty.

吹替・字幕ともに「忠誠心」。

「見極める」は、この前のエピソードで、ガスがジェシーに言ったセリフ。

 

 

お互いに (added 20220625)

A2 鶏舎のオフィスで、マイクがガスに。

Mike: Loyalty goes both ways.

吹替・字幕では「忠誠心(吹替のみ: てのは)双方向だ」

 

S5Ep07 Teaser 裁判所の外のテーブルで、「結婚」についての最終確認をするジミーとキム。ジミー「隠したい事こそ打ち明ける」キム「何もかもね」に続く会話。

Jimmy:  And it works both ways.

Kim: works both ways.

字幕・吹替ともに「お互いに」

 

 

マルコのピンキーリング

A2 検事と刑事の2人と喋る直前にピンキーリングを握り込む描写。

 

S1Ep10 で、死亡した詐欺仲間マルコの母から形見分けで貰った、「ソウル・グッドマン」最初の証と言っても良いモチーフ。

S1Ep10やS2Ep01で、D&Mの面々と裁判所で会う前に握りしめた。

S2Ep01のA4では、D&Mに初出社する直前にも握りしめた。

S2Ep08 A3では、共同事務所予定地の前で、チャックにメサ・ヴェルデ案件を取り戻されて落ち込むキムの話を聞くジミーの左手小指、そこにあるピンキーリングが強調される。

S2Ep10 A4では、チャックに住所の細工をした事をばらすシーンで、ピンキーリングを映すアングル・仕草がある。

S3Ep01 A1では、S2Ep10 A4での曝露の直後、ハワードにチャックが復帰する事を電話するシーンで、ジミーは左手をポストにかけてピンキーリングが長々と強調される。

 

話は戻るが、ここで会った検事・刑事のうち、刑事の方はティム・ロバーツという名で、Breaking Badでもマイクの友達として出てきている*3

 

 

大失敗して佇むジミー (20220625 added)

検事と刑事との会話の中で、「ラロ」の名前を漏らしてしまう大失態を犯すジミー。近くの開き部屋に入り、佇むジミー。

 

S5Ep09 A3 クライアントに緊急で呼び出されたジミーは法廷で大失敗を犯し、地方検事補のビルに大いにからかわれる。非常階段で佇むジミー。

 

S3Ep03 A1 チャックの罠にかかり、ハワードや探偵という証人の前でチャックの家へ押し入り、机の引き出しをこじ開けて、証言テープを破壊してしまったジミー。警察の車を待つ間、路傍に座り込み佇むジミー。

大失敗して佇むジミー S6Ep01/S5Ep09/S3Ep03

 

また、ジミーではなくキムだが、S5Ep09のジミーと同じく階段で逡巡するキムも類似の繰り返し演出だ。正規の手段として許されていないが、顧客を騙して結果顧客にとって最良の結果である5か月の懲役を受け入れさせてしまった直前の行動について思い悩んでいるシーンだ。

階段で逡巡するキム S5Ep01



エル・カミーノ

A3 キムとジミーが落ちあうダイナーの名前。

 

言うまでもなく、この名前はBreaking Badの続編である映画のタイトルでもある。

また、Breaking Badの最後での白人至上主義者達の所から逃げ出すジェシーが乗っていった、トッドが所有していた車の名前でもある。

 

 

ソウル・グッドマンの乗る車

A3 エル・カミーノダイナーで、キムがジミーに。「シャレたやつ」「絶対アメリカ車。何か派手なやつ」と。

Breaking Badでは、本エピソードのTeaserでも登場したキャデラックドゥビルに乗っている。

 

 

正義の大聖堂

キムがソウル・グッドマンの想像上のオフィスを称して言った言葉。

Breaking Badでは、イオニア式の柱頭を持つ柱を配置したデザインになっている。

正義の大聖堂 BrBaS2Ep08

 

 

ライオンは雌が狩りをする

S2Ep01で、ジミーがキムの留守電に残した話。

本エピソードでは、ハワードを「狩る」事をキムが促している。(少しこじつけ気味?)

 

 

消化器系の病気を偽る

A4 ゴルフクラブのラウンジで、ジミーはトイレを借りるために大腸憩室症だと偽る。

 

S2Ep05

D&Mのオフィスで、ジミーはエリンにその場を抜け出すために胃食道逆流症だと偽る。

 

S1Ep08

サンドパイパーの事務所で、ジミーはトイレを借りるために過敏性腸症候群だと偽る。

 

 

トイレットペーパーの目的外使用

ゴルフクラブの更衣室のトイレを詰まらせるためにトイレットペーパーを使うジミー。

S1Ep08 A2では、書類をシュレッダーにかけ、証拠隠滅を図るサンドパイパーに対抗するための"demand letter"をトイレットペーパーに書いている。

 

 

証拠の捏造

ハワードのロッカーにしこんだフェイクコカイン(ベビーパウダー)。ハワードを陥れる事についてはキムの発案。

 

S2Ep02

キムのアパートで、キムがジミーに「証拠の捏造なんて捕まるわよ?」と言っている。

 


密入国業者

ラロが利用しようとした密入国業者は、荷台の出口部分の形から、BrBaS3Ep01でカズンズが使ったのと同じ業者だと思われる。

密入国業者のトラック S6Ep01 / BrBaS3Ep01

比べると、Better Call SaulS6ではメキシコイエローと呼ばれるフィルタが弱い事もわかる。

 

 

 

Episode 2

偽造免許証・金庫の金

Teaser 金庫の中からナチョとその父親の分2枚を見つけるが、マイクは父親の分は元に戻さず、手元に置いておく。

 

S4Ep08 A1で、この2枚の免許証を、ナチョが金庫の中から取り出して見つめていた。

金庫の金もこの2シーンで共通するオブジェクトである。

 

 

中皮腫

A1 ハワードの悪評を立てるために、クリフ・メインに相談に行かせる口実をあれこれ考えている時にジミーが出したアイデア

 

S2Ep03 A2で、オマールとジミーはD&Mが昔中皮腫集団訴訟で流したCMを見る。

 

 

バルーンの自由の女神

A1 ケトルマン夫妻のオフィスに向かったジミーが見上げる自由の女神バルーン。

 

言うまでもなくBreaking Badでソウル・グッドマンの事務所の上にあるシンボルマークだ。

 

 

ケトルマン夫妻

A1 ケトルマン夫妻自体がS1への強烈な対比を匂わせる。Better Call Saulはケトルマン夫妻の案件で始まったようなものだ。

 

ベッツィーはS1でもそうだったが、犯罪者であることは自覚していておかしくないはずなのに、ジミーによる被害者だと自分達を思い込んだままである。一方のクレイグはそうでもないようで、久しぶりにあったジミーと笑顔で握手までしている。

 

 

全てを失って子供は公立学校 (added 20220704)

A1 ケトルマン夫妻の事務所の外。ベッツィーのセリフ「あなたのせいですべてを失った」「子供は公立学校よ」。勿論ジミーのせいではなくてこいつらの自業自得である。

Because of you, we lost everything.
Our kids are in public school.

 

BrBaS4Ep11 テッド・ベネキーの家で、テッドがスカイラーに言うセリフ「僕は破産して、仕事も家も失う」「娘たちも転校させないといけない」。テッドがスカイラーにソウル経由で納めないといけない税金を突き返すシーン。

I'm still going to go bankrupt and lose my business and my home.
I still have to pull my girls out of school.

ケトルマン夫妻もテッドも自らが企てた不正による結果を受け入れられていない。

 

 

コーヒーを飲みたいクレイグ

コーヒーを飲めないクレイグ@S6Ep02 A2

S1Ep01 A1

コーヒーを飲めないクレイグ@S1Ep01 A1

American Greed*4

コーヒーを飲めたクレイグ@AmericanGreed

 

S1Ep07 A2 HHM会議室でキムとケトルマン夫妻が話し合いをしている最中、クレイグはずっとHHMのロゴ入りのマグカップに手を掛けているが、飲む描写はない。

 

 

車椅子のヘクターと会うガス

A2 ボルサの仲介で、ヘクターと面会するガス。ヘクターの表情でラロの生存を悟るシーン。

 

BrBaS3Ep03 A2で、ガスの鶏舎にカズンズに連れられてきたヘクターは、ボルサを代理としてガスと話し合いをする。

 

BrBaS4Ep08 Teaser フラッシュバックシーン。生き残った方のカズンズが死んだあとなので、BrBaS3Ep08以降のタイミング。ガスは夜のカーサ・トランキーラでヘクターと面会し、カズンズとボルサの死亡を告げる。このエピソードの最後でもガスはヘクターと面会する。そして、目を合わせようとしないヘクターに「私を見ろ」と2回言うガス。ヘクターは目を合わせない。ガスが復讐を果たしていると、このエピソードのTeaserで気づいたのだろう。

 

金庫の開け方

A3ではボルサの部下が部屋の真ん中に倒した金庫をグラインダーで、Teaserではもとあった場所のまま、金庫をドリルと固定具(ゲームのPAYDAYで使われていたような)を使って開けている。マイクのスマートさ、ボルサの乱暴さが対比される。

 

バックする車とカズンズ

 

 

食器を落として割る (added 20220625)

A4 鶏舎の事務所。カルテルがナチョを殺す事を確信していたガスは、サラマンカがナチョを生け捕りにして口を割らせるだろうと聞いて動揺して、グラスを落として割ってしまう。

グラスを落として割ったガス

S5Ep09 A1 キムのアパート。キムが36時間の荒野を歩いてボロボロのジミーのために、ジューサーでオレンジジュースを作っている。その音がトラウマとなった銃撃戦を思い出すのだろう、動揺してジミーはシリアルの入ったボウルを落として割ってしまう。

ジミーが落として割ったシリアル入りのボウル

ジミーの暴力行為への嫌悪はS1Ep02でも描かれている。トゥコに足を折られたスケートボーダーを病院に送った後、バーで女性とデートするシーン。グリッシーニを折る音に顔をゆがめる描写がある。

グリッシーニを折る音で、足を折ったトゥコを思い出すジミー

 

 

コミックリリーフ クレイグ君

A5 ケトルマン夫妻の事務所へ、キムを連れて音連れたジミー。「結婚した」と聞くと、笑顔で「おめでとう」をイディッシュ語で言うクレイグ君。かわいい。

その後、自分勝手な言い訳・要望を続けるベッツィーに業を煮やしたキム、IRS(内国歳入庁)へ電話をかけようとするのだが、そこへまたクレイグ君「外線するなら9を押して」とわざわざ教えてしまう。

また、次のエピソードで出てくる作戦ボードのケトルマン夫妻の列には、「J. Stangel」という名前があるが、これはここで電話したIRSのジャスティンの名前だ。

 

本エピソードのA1では、先ほども少し触れたが、ジミーとの久しぶりの再会に、笑顔で握手してしまうクレイグ君。さらに、ジミーに「刑務所にいたのに元気そうだ」と言われて、後ろに客がいるにもかかわらず、笑顔で「素晴らしい運動プログラムのおかげだ」と答えてしまう。ついたての後ろから顔をのぞかせる客も面白い。

 

S1Ep07 A4 ケトルマン邸を尋ねたジミーを笑顔で出迎えてしまうクレイグ君。

 

少し上で言及した、「コーヒーを飲めないクレイグ」も本項と共通する事案である。

 

 

横向きに座る (added 20220705)

ケトルマン夫妻の事務所、電話横のカウチに横向きに座るキム。単にジミーやケトルマン夫妻の居る方向を向いているだけかもしれないが、横柄さ・威圧感を出す演出でもあると思われる。

 

S5Ep05では、メサ・ヴェルデの頭取ケヴィンが、キムとペイジ相手にゴルフ場の屋外で横向きに座っていて、その夜ジミーにその様子をコミカルに語るシーンもある。他にもケヴィンは横向きに座っているシーンが多い。

 

BrBaS4Ep08 ゲイルの殺害現場である彼のアパートから指紋が見つかった件で、事情聴取をした際のハンクも横向きに座っている。南部的男らしさの象徴の一つなのかもしれない。

横向きに座るキムS6Ep02/ケヴィンS5Ep05/ハンクBrBaS4Ep08

 

 

非暴力犯罪への共感 (added 20220626)

キムが「ムチ」をもってケトルマン夫妻を黙らせる結果になったが、事務所に残ったジミーは、ケトルマン夫妻を気の毒に思ったのか、昨晩準備しておいた「アメ」すなわち現金を渡してしまう。

 

S1Ep03 A1 駐車場の係員ブースで、ジミーはマイクに「犯罪者はもう少し賢いものだと思っていた」「少し気の毒になったよ(字幕)」(吹替は「少しがっかりしたよ」、英語では「I don't know, it kind of breaks my heart a little.」) 「break somebody's heart」は、oxfordlearnersdictionariesをみると「to make someone feel very unhappy」ということで、字幕の「気の毒になった」というよりは、吹替の「がっかりした」の方が近い気がする。言葉の意味的には落胆・失望の方向だが、その裏にあるのは自分もSlippin' Jimmyとしてそちら側だったという共感があるように思う。

 

 

オオカミと羊 (added 20220626)

ケトルマン夫妻の事務所から遅れて出てきたジミーに、車にもたれかかり、「お金わたしたんでしょ」と確認するキム。語尾のイントネーション、英語では下がっているのに吹替では上げている。疑問や確認ではなく、なじるようなニュアンスに聞こえるが、英語だとただの確認のようにしか自分には思えなかった。

このシーンのキム、黒に近いジャケット、赤ピンクオレンジ黒のまだら模様シャツ、車にもたれかかり腕組み、と完全に黒幕・ボスポジションの描写だ。

お金を渡したんでしょ、と確認するキム

この後、車に乗り込んでジミーが発したセリフ。「オオカミと羊か」

Wolves and sheep. Huh?

 

S2Ep07 Teaser フラッシュバックでジミーがまだ子供の頃、両親が経営する雑貨屋。「お人好し」が過ぎる父親から金を巻き上げた客の睨むジミーに、その客が言った言葉。「世の中にはオオカミと羊がいる」「オオカミと羊、どっちになりたいか考えてみろ」

There are wolves and sheep in this world, kid.
Wolves and sheep. Figure out which one you're gonna be.

ジミーはオオカミになろうとしていたはずだが、このシーンではオオカミであるのはキムで、ジミーは羊に同情してしまっている。

 

 

 

Episode 3

警察へ行け(ない)

S1Ep02 S5Ep03

 

また、BrBaS3Ep13 A4では、ジェシーの「Please. Go to the cops.」頼むから警察へ行ってくれ、というセリフがある。ゲイル・ベティカーの住所をジェシーが調べ、ウォルターが殺そうとしているシーンだ。

 

 

ゲス

検事の部屋で、キムがスザンヌ

Kim: Although I distinctly remember you referring to him as a scumbag.

 

S4Ep07

スザンヌがキムに

Suzanne: And our only witness is a scumbag, disbarred lawyer...

 

 

ジミーが弁護したサラマンカ

スザンヌが話す通り

S1Ep03で、ナチョがケトルマン一家の失踪に関わっていない事を示した

S2Ep07 A1で、トゥコ逮捕時に落ちていた拳銃がトゥコの物ではないとマイクが証言する際に付き添った

S5ではホルヘ・デグズマンことラロ・サラマンカの保釈・逃亡に手を貸した

 

 

ロスポヨスの配送トラックによる密輸

A2 ロスポヨスのトラックの二重底で密入国するナチョ

S3Ep06 A3 ロスポヨスのトラックの二重底で密輸されるドラッグ

ちなみに、英語では密入国も密輸も同じ、Smugglingだ。

1. トラックの積み荷を降ろし S6Ep03 A2/ S3Ep06 A3

2. ネジを外し S6Ep03 A2/ S3Ep06 A3

3. 床を外し S6Ep03 A2/ S3Ep06 A3

4. 中身を取り出す S6Ep03 A2/ S3Ep06 A3

対になるように完全に意図して描かれている。

 

 

First things first (added 20220625)

A2 同じく鶏舎のオフィスで。ヴィクターにナチョの顔が綺麗すぎると言われたマイク。サラマンカに、「ナチョを手荒く扱った痕」を見せるために殴れ、と言う意味だ。ナチョも承知で、「早く済まそう」というが、マイクは

First things first

と、グラス2つにウィスキーを注ぐ。

日本語では吹替・字幕ともに「まずはこれだ」。

 

S5Ep06 A1 廃工場でナチョがガス達と会った後、ガスとヴィクターは帰り、マイクと2人のシーン。ガスがどんな奴か知っててあいつのために働いているのか?と詰るナチョ。マイクは「警告はした、選んだのはお前だ」と。そしてナチョは「親父は違う」。マイクもそこには同情してるんだろう。ここで言ったセリフ。

Look, first things first

吹替は「いいか、まず大事な事からだ」、字幕は「いいか やるべきことをやれ」。ラロの始末をつける事のことだ。

 

 

Forque Kitchen and Bar

これまでも3つのエピソードで出てきた高級レストラン。ここに愛車のジャガーで訪れ、駐車係と会話するハワード。

 

S2Ep06 A2 価値が見込めない申し立て審問に、一人で送られたキムの奮闘を見たシュワイカートが、昼食に誘ったレストラン。銅マグのモスコミュールが名物だそうだ。シュワイカートとの食事ではお酒は断るキム。

このエピソードのA3では、ハワードに無茶な量の仕事を押し付けられたキムがうんざりしてこのレストランを再訪する。今回は気兼ねせずに銅マグのモスコミュールを頼んでいる。妻がいる事を隠してナンパしてきたエンジニアの男をカモるために、サンタフェにいるジミーを電話で呼ぶキム。偽の投資話でまんまと小切手を手に入れる。換金はしないと言ってるので、それなら恐らく犯罪にはならないのだろう。ジゼルとヴィクターによる2つ目の戦利品だ。

 

S3Ep08 A2 キムはメサ・ヴェルデのケヴィン・ペイジと食事中。ハワードがケヴィン・ペイジの前でやたらと偉そうな口をきいた事に腹を立てたキムは、以前払わなくて良いと言われた学費の残り分の小切手を書き、ハワードの客の前で同じことをやり返す。

店の前でハワードは何のつもりだ?と怒り、先ほどの小切手を破り捨ててしまう。

 

S4Ep06 A2 キムがジミーを呼び出し、S&Cの銀行部門に誘われ、参加を決めたと語るシーン。実はこれはキムの嘘で、銀行部門の設立を提案したのはキムからだった。キムは以前からやりたかった公選弁護の仕事をしながら、メサ・ヴェルデ案件もこなすにはこれが一番だと語り、ジミーも葛藤はみせつつ、納得し祝福する。

 

思い出の場所だ。ちなみに、日本語字幕では「フォーク」という名前は出てこない。吹替では出てくる。入口から車止めを越えてみえる景色も印象的だ。

 

 

ヒューエル

言わずと知れた、Breaking Badにおけるソウル・グッドマンのボディガードで、盗みの達人。

 

S3Ep05の、ジミーのチャックへの暴行が争われた裁判で、チャックのポケットにフル充電のバッテリーを忍ばせる仕事をした。

 

また、S4ではジミーのボディガードとして誤って警官を殴ってしまい、裁判沙汰になる。

 

Breaking Badでは登場シーンを挙げきれないが、ソウルの手足として動いたり、ボディガードとして存在感を示したり、神業的手技を用いてジェシーの煙草からリシンを奪ったりした。

 

 

サンドパイパー案件の早期和解

ハワードのジャガーの鍵の偽造の報酬を渡す際、ヒューエルに「何故弁護士なのにこんな事を?」と尋ねられ、「数か月後生活が楽になる人が居る」と答えるジミー。

 

S5Ep10ではベッドでキムがジミーに「生きているうちに貰える」と。

S3では、結局自分の仕業だと曝露してご破算にしたが、弁護士資格停止による収入減を補おうと、アイリーンを孤立させて早期和解をたくらんだ。

 

 

密告

キムのアパートで、キムがジミーに

Kim: Do you wanna be a friend of the cartel, or do you wanna be a rat?

 

S1Ep02

ジミーのネイルサロンのオフィスで、ナチョがジミーに

You rat, you die.

 

 

狙撃銃のマイク

本エピソードと、S2Ep10での同じ場所、同じような構図が対比となっている。左が本エピソード、右がS2Ep10での画面だ。

構えるマイク

スコープの中のナチョ もう一人は、左はボルサで右はヘクター

Do it / Don't

「やめろ」と言われたS2Ep10に対して、「やれ」と言ったS6Ep03の対比が鮮やか。色合いが変わっているのも印象的。

 

 

グラスの破片 (updated 20220714)

A4 ナチョがバンの中で手を縛られる時に握り込み、ボルサの足を刺したグラスの破片。ボルサを刺した直後に放棄され、ガス達も回収しないまま立ち去った。

 

本エピソードのA3で、マイクと酒を飲み、「丁寧には扱われなかった」証拠として殴られ、鶏舎の事務所でガスと最後の打ち合わせをした後に、ゴミ箱を覗き込んだシーンでその入手先がわかる。

ゴミ箱の中のグラスの下からナチョを映す構図

ナチョの顔がいくつも見えるような形になっており、いくつもの破片の入ったゴミ箱の底からの上向きショットだという事が分かる。この破片は前のエピソードS6Ep02でガスが割ったものだろう。

 

本エピソード Teaserでは、その数年後(Podcastか脚本家のインタビュー記事で言及があったのだが、どれだか忘れてしまった)、青い花の前で、土まみれだったこの破片が雨に洗われるシーンだ。

 

(以降 updated 20220714)

また、BrBaS3Ep11 A1 スーパーラボで、ブルーメスを流したバットの底から、そのメスを砕くシーンで、割れたメス越しにジェシーの顔が映るシーンとの対比。

グラスの破片越しのナチョS6Ep03 / 割ったブルーメス越しのジェシー

 

 

「誰の意のままにもならない」ナチョ (added 20220625)

S5Ep10 ナチョはドン・エラディオとの「面接」で、「お前の望みは?」と問われて「自分で決めて、自分のやり方でやりたい」「誰の意のままにも なりたくない」と答えている。

これは、本エピソードでおきた事と符合する。サラマンカはナチョに「黒幕はガスだ」と言わせたかった。ガスは尋問・処刑から逃げようとするナチョを撃ち殺すつもりだった。

しかし、ナチョはこのどちらの思惑にものらず、グラスの破片という鍵を使って、ボルサを人質に取り、自殺する事によって父親を守ったのだ。自分で決めて、自分のやり方で遂行した。

 

ナチョは、ドン・エラディオとの面接で、続いて「ビクビクせずに暮らしたい」と言っているが、こちらは叶わぬ願いだった。

 

 

ガス「恐怖で働かせてもダメだ」 (added 20220709)

BrBaS3Ep04 ガスの車の中で、マイクに言ったセリフ。上記は日本語字幕の表示で、次いで「仕事にならない」と言っており、原文では以下。

I don't believe fear to be an effective motivator. I want investment.

また、吹替では「恐怖では人のやる気は引き出せない、自発的でなければ」。

 

ガスはS6Ep02では、ナチョをコントロールするためにナチョの父親を利用しようとして、マイクに制止されている。結局その直後にナチョ本人と電話がつながり、ナチョは自分の命を犠牲に父親を守った。この事がガスの意識を変え、標題のセリフに繋がったのだろう。

 

 

ガスが犯した間違い (added 20220714)

まず先にBreaking Badでの話をする。BrBaS3Ep11 A4 ガス邸にウォルターを招き、2人で食事をした際にガスがした昔話と助言。「私も始めた頃は何度も間違えた、みとめたくはないがね」そして、「間違いを繰り返すな(Never make the same mistake twice.)」。

 

ガスは恐らく、一つ前の項目で言及した「恐怖で働かせてもダメだ」という事「も」「間違い」だと認識しているのだろう。だからこそBreaking Badではウォルターを「恐怖で働かせる」選択はせずに、「誠意をもって」働かせようとした。ところが人が変われば対応も変わる。「Breaking Bad(悪に染まる)」の権化であるウォルターと、「Breaking Good」をキメたナチョ*5とでは勿論同じ入力に対して違う結果が出力される。ガスはまた一つ新しい間違いをBrBaS3Ep11でしたのだった。

 

 

 

Episode 4

精神科医

カウンセリングを受けるハワード。

 

S4Ep06では、ジミーがキムに「やっぱり行かない事にした」と。

S4Ep05では、ハワードが「もう通っている」と。

S4Ep04では、キムがジミーに勧めるが、ジミーはあまり乗り気ではない。

 

ハワードに変装するジミー

ハワードに変装するジミーは2度目。1度目はS1Ep04だ。

ハワードに変装するジミー S6Ep04/S1Ep04

 

ウェンディ (updated 20220625)

本エピソードで登場するウェンディはBreaking Badでも登場する(S1Ep03 S2Ep03 S3Ep12)。BrBaS3Ep12はエピソードタイトルも「Wendy(憎しみの連鎖)」だ。本エピソードでは買えなかったが、BrBaS3Ep12ではルートビアを買っているシーンもある(Teaser)。Crossroad MotelもBrBaS3Ep12で登場。

 

S5Ep06 A2 高級レストランフォークで、ハワードとクリフが会食中にジミーが送り込んだクライアントの売春婦2人。ウェンディも売春婦だ。

ジミーがハワードへの嫌がらせに送り込んだ売春婦

 

 

裁判所の人々の態度 (updated 20220625)

A2で、ジミーは裁判所で働く人達からの態度が急変した事に気づく。

入口の金属探知機では靴とベルトを外すように言われ、ちょっとしたギフトで便宜を図ってもらっていた窓口の事務員にも、ハンナーバナナと呼ぶ事務員にも、憎まれ口をたたき合いながらもそれなりに上手くやってきた地方検事補のビルにも邪険にされてしまう。

 

窓口の事務員 S1Ep02では「飢え死にはごめんだ」とぬいぐるみを提示、S2Ep05ではエリンに同様のギフトを見咎められている。

 

ハンナーバナナはS5Ep02でジミーと仲良さげに挨拶を交わしたり、事務作業の融通をうけいれている。

 

ビルともS1Ep02以降たびたび絡みがある。立場上対立はするし、嫌味を言う事もあるが、それなりに信頼関係もある仲だった。ビルはAmerican Greedにも登場している。

ポテトチップスの自動販売機を揺すって、落ちるはずだった商品を落とす仕草、本エピソードではジミーがやっているが、S5Ep01 A4ではビル自身がやっている。殆ど同じ仕草だ。(updated 20220625)

 

 

カルテルの友人/サラマンカの弁護士 (updated 20220705)

ネイルサロンで、集まったクライアントの一人スプージとジミー。サラマンカの弁護士である事を認める。

Spooge: Then you're the guy, right?
Jimmy: What guy's that?
Spooge: Salamanca's guy.

 

S6Ep03

キムのアパートで、キムがジミーに

Kim: Do you wanna be a friend of the cartel, or do you wanna be a rat?

 

S5Ep09

拘置所(/裁判所?)の外で、ラロとジミー。ラロの圧力下でのカルテルの友人の確認。

Lalo: Friend of the cartel, right?
Jimmy: Right.
Lalo: Right.

 

S5Ep08

キムのアパートで、キムとジミー。正確には違う、と。

Kim: You're a friend of the cartel? Is that it?
Jimmy: Not exactly.

 

S5Ep07

キムのアパートでジミーとキム。カルテルの友人ではない、と否定。

Jimmy:  He said I'd be a friend of the cartel.

 

Kim: But do you want to be a friend of the cartel?
Jimmy: No. No.

 

(以下 updated 20220705)

BrBaS4Ep10 では、メキシコのカルテルのメスラボで、ジェシーが「カルテルの一員」だと言われている。

You belong to the cartel now.

 

 

スプージ

「Salamanca guy」として有名になったジミーの事務所に来たスプージという男。

彼はBrBaS2Ep05で、その妻と2人でスキニーピートを襲い、1オンスのメスを強奪される。その次のエピソードで、ジェシーは舐められないようにと復讐に行った。そのジェシーの目の前で、スプージはクリスタルをねだる妻に「糞女」(skank)という言葉を連呼し、ぶっとんだ妻はスプージの頭を強奪したATMの下敷きにして殺してしまう。

 

スプージ(左右とも、左側の男) S6Ep04/BrBaS2Ep05

麻薬中毒になる前は身なりも汚くは無かったのに、この2つのエピソードの間4年間に大きく変わってしまった。

 

 

キュウリ水

外に並ばせた"サラマンカの弁護士"を頼ってきたクライアントたちにキュウリ水をふるまうジミー。グエンさんは「お金を払う客専用」と言い、ジミーは黙らせるために金をつかませる。

 

S2Ep01では、「お客様専用」とグエンさんに言われても、ネクタイを後ろに回し、タンクから直飲みするジミー。

S1Ep01では、「お客様専用」とグエンさんに言われて、諦めるジミー。

 

 

イカーファッションを褒める

外に並ばせたクライアントの一人に、「いい革ジャケットだ」と。

 

S4Ep05では、ホットドッグ屋の前で、「いいバイクだ」と。

 

 

見張り (added 20220704)

A3 エル・カミーノダイナーで。マイクは「君たち夫婦を見張らせている」とキムに明かす。

 

BrBaS3Ep04 A1 ウォルターの家の前でマイクがウォルターに。「監視されていたほうが良い場合もある」と。家の前の道路に「死神の鎌」のマークがあるのを見て色々悟ったマイクの忠告。具体的な忠告をしない所が、BcSでナチョにヘクター殺害に潜む危険、ガスの事をはっきり言わなかった事を思い出させる。

 

 

キムを評価するマイク (added 20220625)

A3 エル・カミーノダイナーで、マイクはキムと接触し、ラロが生きている事(可能性)を伝える。ジミーと荒野で一緒だった事を察したキムは「何故ジミーではなく私に話すのか?」と問う。それへの答えが、「君の方が肝が据わっている」(吹替は腹)。

 

S5Ep10 Teaser キムのアパート。突如訪れたラロがキムの機転で何事もなく帰って行った前エピソードラストの続き。携帯を繋げたままにしておき、全てを聞いていたマイクがジミーに「奥さんに窮地を救われたな」(吹替は「彼女のおかげで窮地を救われたな」)。この時点ではキムはまだこの男がマイクだという事を知らない。

 

「肝が据わっている」といえば、S5Ep10で、ジミーから「ラロが殺される」と聞いたキムは、落ち着かなくなってキムのアパートへ帰ろうというジミーに、スパやルームサービスで楽しもうと提案。スパは描写されないが、ルームサービスで豪勢にやるシーンはこの直後に描かれる。

 

 

ベッドに腰かけるガス (added 20220625)

ここまでのアルバカーキサーガで、一番情けない顔をするガス。自宅のベッドに腰かけて、足首に巻いておいた隠し銃を見つめて思い悩む。

ベッドに腰かけて着替えるシーンはS5Ep07にも登場する。ヒューストンでのマドリガル社のミーティングに出席した後、ホテルの部屋に案内された後、ピーター(マドリガル社の重役)の部屋へ行く前に、上着を脱いで襟元を緩め、靴を脱ぐシーンだ。

ベッドに腰かけるガス S6Ep04 / S5Ep07

この2つのシーンでかかるBGMは割と似ている所があるのだが、寂しげではあるが落ち着いた感じのS5Ep07に対して、S6Ep04の方では明らかに不安げな感じを出している。エコーをかけた打楽器のような音で不安げなハートビートを模しているのかな?是非聞き比べてみてほしい。

 

このシーンで、ガスはコネクティングルームとして繋がっているピーターの部屋に、靴を脱いで靴下のまま訪れる。何かのメタファーなのかと少し検索してみると、RollingstoneのRecapで、ミスターロジャースを思わせる、との記述があった*6。大部分の日本語話者には馴染みは無いだろうが(勿論筆者も)、Wikipediaによれば*7彼が制作・司会・楽曲政策をした、「Mister Rogers' Neighborhood」という番組のことだと推測できる。この番組の冒頭で、フレッド・ロジャースはテーマソングを歌いながら帰宅し、靴をスニーカーに履き替え、ジャケットをカーディガンセーターに着替えるそうだ。

何故、子供が居る設定ではあるが実際に子供は出てこない、そして子供向けでもないガスというキャラクターにこのモチーフを取り入れたのかは少し調べた程度では分からなかった。Podcastでも聞けばわかるのだろうか……?

 

 

基準

マイクがガスのチキン屋に「護衛として」送り込んだ、大学時代にマクドナルドで2年働いた経験のある男、ロイについて

Gus: He's not up to Pollo standards.

 

BrBa S5Ep10 デクランのメスラボで、デクランがリディアに

Declan: Heisenberg's standards don't matter anymore.

 

 

事務所探し

本エピソードで、Breaking Badで実際にSaul Goodmanのオフィスとなる事務所がタイムライン的には初登場。

事務所候補の内見にはS4Ep08ではジミー一人で(後からキムがジミーに会いに来る)、S4Ep07でヒューエルと、S2Ep08(ジミーとキムの2in1事務所になる)・S1Ep07でキムと行った事がある。

 

また、S4Ep06では、ジミーがキムに、2人の共同事務所について、「クライアントが来やすいよう、裁判所近くの平屋に構える」と。本エピソードでは、キムがこの物件の利点として、「裁判所に近い」と言っている。

 

 

人生最悪/最高の日

グエンさんに追い出された件について

Kim: Bad day, huh?
Jimmy: No. It was a great day.

 

S6Ep01 

金持ちの子にクライアントが罪を擦り付けられた件と、ホームレス女性を釈放させたキムに

Jimmy: Sounds like the day from hell.
Kim: It was one of the best days of my life.

 

 

タコ・カベサ

事務所の近くにタコ・カベサの店舗がある事をメリットとして挙げるキム。

 

BrBaS1Ep07 A1 スクラップヤードでトゥコを待っているウォルターとジェシーの会話。

「何故こんな人気の無い所を選んだんだ?」という流れで、「Taco Cabezaで発砲する奴は居ない」というジェシーのセリフがある。日本語では、吹替ではファミレスと変換され、字幕では対応する訳語は無い。

 

 

Episode 5

デジタル時計の数字を逆さにすると

A1 キムが起きる前、3:17を示すデジタル時計。逆さにするとアルファベットでLIE、嘘だ。前のエピソードでマイクからラロは死んでいない事を知らされ(匂わされ)るが、それをジミーに言わない事を指しているのだろう。

3:17 / LIE

S2Ep06 Teaser あてがわれた社宅の居心地が悪く寝付けないジミー。テレビでD&Mが流したサンドパイパー案件のクライアントを募集するCMを見てしまう。自分が作って流して大目玉をくらい、キムを窓際へ追いやったCMと殆ど変わらないのに何故?と憤懣やるかたない様子のジミー。

1:43 / Eh!

ベッドに入った時に1:42から1:43へと表示が変わる。逆さに読めば「Eh!」だ。日本語でいえば「え?」に当たる単語でいいのだろうか。検索するとカナダで使われる「huh」だと出てくるが、Peaky Blineders(舞台は1920~30年代のイギリスバーミンガム)でもよくつかわれている単語である。

一度起きて冷蔵庫を漁ったりした後またベッドに入った時には、2:27から2:28へと表示が変わる。逆さに読めばBSS

BSSurban dictionaryを引くと、2番目にBull Shit Syndromeと出る。シンドロームはともかく、Bull Shitと言いたい気持ちを時計が代弁していると思ってよさそうだ。

 

 

スパイスカール

ラロの影におびえながら仕事をするガス。レジで接客中に何かに気づいたようだ。客に「スパイスカール」を勧めた瞬間だ。

 

S5Ep07 A2 マドリガルの会議で、ガスは新商品としてスパイスカールを発表している。マドリガルはドイツの企業であり、自分が雇ったヴェルナーもドイツ人。この繋がりを思い出して、ラロが姿を見せないのはドイツに証拠を探しに行ったからだと判断する。

 

 

MVD

A2 まだ何もない新事務所で、職場であるMVDに帰ろうとするフランチェスカに「以前の給料の2倍払うから」と引き留めるジミー。以前の賃金とMVDのどっちの2倍なのか問うフランチェスカ。「less」と言った瞬間溜息をついて出ていこうとする彼女に慌てて言い間違えた、「more」だと追いすがるジミー。この辺り、かなりBreaking Badでのソウルに近い印象だ。シャツの色も緑が強い青でカラフルだ。

 

S3Ep02 A1 Better Call Saulで初めてフランチェスカが登場する面接シーンで、何故ニューメキシコ州では自動車局の事をMVDとよんで、アメリカで一般的なDMVと呼ばないのかという会話がある。

 

BrBaS5Ep09 A2 ソウルの事務所で、待合室でなかなか呼ばれない事に腹を立てたジェシーマリファナを吸い始め、慌ててオフィスに入れるソウル。出張マッサージをしてたから入れなかったのは明白なシーンだが、フランチェスカのせいにして「次やったら元の職場に戻すぞ」と言っている。吹替・字幕双方とも「元の職場」と言っているが、原語では「DMV」(MVDではない)と言っている。

 

また、先ほどのmore/lessの話に戻るが、フランチェスカが金に汚い所を見せるのも、Breaking Bad時代の特徴だ。

一番今回の件と近いのは、BrBaS3Ep06で、ジャンクヤードに駐車中の移動メスラボのキャンピングカーの中にいるジェシーとウォルターが、ハンクに追い詰められたシーン。ここでウォルターがソウルに電話し、フランチェスカに病院関係者のふりをさせ、ハンクの妻マリーが交通事故に遭ったという偽電話を掛けるシーンだ。この偽電話を切った直後に、ソウルに「これで昇給してもらわなくちゃね」と発言している。

また、S4Ep05 Teaserのフラッシュフォワードシーンではシュレッダーにかけた後のゴミを別々のゴミ箱に捨てる事の報酬として札束1つを渡したソウルに、「足りない」という顔をしてもう一つ札束を受け取った。

そして、BrBaS4Ep13でウォルターが事務所に押し入った際は、割ったガラスの修理代として、10倍以上の2万ドルを、ウォルターが口答えしたために最終的には2万5千ドルを要求した。

 

ヴィオラ

A2 エル・カミーノ ダイナーで、ヴィオラと会うキム。サンドパイパー訴訟の調停人の名前を聞き出すためだ。純粋にキムが弱者のための弁護をしている事を称賛するヴィオラに、調停人の名前を聞き出すために利用しているキムは少し居心地が悪そうだ。

 

ヴィオラはS4で、自動車事故から復帰したキムが雇ったパラリーガル。S&Cに入ってからも彼女を使っている。また、S5Ep10 A4 ホテルの部屋で、和解金が入ったら何に使う?という話題で、雇いたい人3人のうちの1人として名前を挙げている(あとはステフとブルース)。

 

また、ジミーとキムのハワードを陥れるための作戦ボードに張られた付箋にも、ヴィオラの絵が。

 

Fandom Wikiによれば*8、フルネームはViola Goto、俳優はKeiko Agena。キャラクターも俳優も日系人のようだ。俳優はハワイ出身。

 

ジミーの痣を見たキムの反応 (updated 20220704)

ハワードとのボクシングでできた痣を隠そうとするジミーに、「そのままでいいじゃない」、というキム。

 

S4Ep05では、暴行の上使い捨て携帯の売上を取られたジミーを心配して、氷嚢を渡すキム。

(以下、updated 20220704)

氷嚢と言えば、BrBaS4Ep03で、マイクに殴られて顔に痣を作ったウォルターを見たスカイラーが、冷凍の豆を氷嚢がわりに傷を冷やそうとするシーンがある。

 

 

君のために闘う

キムが痣を隠そうとするジミーに

Kim: "I'm Saul Goodman. Pow. I fight for you."

 

S1Ep01

フラッシュフォワードで、ジーンとなったジミーがソウルのCMを見るシーン

Saul: Hi, I'm Saul Goodman, and I will do the fighting for you.

 

BrBa S2Ep08

5分過ぎで流れるCMでソウルが。ちなみにこれがソウル・グッドマンの初登場で、本エピソードのタイトルも「Better Call Saul」

Saul: And that's why I fight for you, Albuquerque.

 

 

ガス邸の監視体制

ガス邸を監視するマイクの部下

本エピソードで明らかになったガス邸の監視体制と、自宅での安全対策。隣家への地下通路ですれ違った男は、表向きガスの家とされてる家でガスのふりをして暮らすDouble(影武者)なのだろう、身長体格が同じくらいだ。

 

BrBaS4Ep02 A3 ガスの家に車でやってきたウォルターは、このエピソードTeaserで購入した拳銃を隠し持ち、ガスを訪ねようとする。しかし、ドアの前にたどり着く前に携帯が鳴り、タイラスに「家に帰れ、ウォルター」とだけ言われる。周りを見渡してもなにも見つからず、監視されていることを悟り諦めるウォルター。本エピソードで明らかになった監視体制はこの電話がどうしてかけられたのかを説明している。

 

 

チーグラー夫人 (added 20220625)

本エピソードではじめて画面上に登場するチーグラー夫人。

S5Ep01 A1 ミチョワカン(サラマンカが売人からの集金をするレストラン)で、ラロはドイツにいる「ヴェルナー チーグラー」について、「チーグラー夫人によれば 26人になった」というセリフを発している。「よれば(according to)」が示すように、ラロはチーグラー夫人と実際にコンタクトをとって夫のヴェルナーの死亡を確認したのだろう。連絡先はこの前のエピソードトラベルワイヤーで入手した書類で知ったと思われる。

ラロがドイツへ飛んだのはチーグラー夫人をあてにしてだったのだ。

 

 

温泉

ドイツのバーで、ラロ(ベンと自称)とマルガレーテの会話で、ニューメキシコのヘメスという町にある温泉の話をする。カルロヴィ・ヴァリ(ドイツに近いチェコ)の話も。

 

S4Ep09では、監視員がマイクに、ヴェルナーとマルガレーテの会話として、「奥さんの腰痛治療のために温泉に行きたい」と話してた事を報告する。これをもとにこの次のS4Ep10でヴェルナーの行き先がバレる。

 

 

スーパーラボ

S4でヴェルナーと「子供たち」を雇い、建設中のスーパーラボ。本エピソードでガスは重機に銃を隠す。

 

Breaking Badでは完成したスーパーラボでの様子、そしてガス暗殺後にスーパーラボを焼き払う様子が描かれる。

 

 

子供たち

ドイツのバーで、マルガレーテがラロに

Margarethe: Werner loved seine Jungs, his boys.

作業員達が葬式で贈った計算尺をオブジェにしたものにも「Jungs」英語でBoysの刻印が。このオブジェの底に張られた社名のシールをみて、次エピソードでラロはキャスパーにたどり着く。

 

S4Ep06

作業員らの宿泊施設で、ヴェルナーがマイクに

Werner: They all are good boys.

 

小熊

マルガレーテの家の前で、マルガレーテはラロに、「小熊」を意味する名前の仔犬を飼っている事を話す。

 

S4Ep09では、ヴェルナーとマルガレーテの電話での、「飼い始めた仔犬がどこでもおしっこする」という会話を、監視員がマイクに報告している。

 

 

エピソードの始まりと終わり (added 20220625)

薬棚を開けるシーンで始まり、窓を閉めるシーンで終わる対比。

S6Ep05の始まりと終わりの対比

 

Episode 6

キムの貧乏ゆすり (updated 20220625)

ショッピングモールの事務所で、店長と母親を待つキム。

貧乏ゆすりする幼い頃のキム

S6Ep04 A1 カフェの野外席で。ハワードに扮したジミーがWendyを車から追い出すところを見せつけるためにクリフを待つキム。

貧乏ゆすりするキム S6Ep04

S5Ep07 A1 裁判所の外のテーブルについたジミーとキムが、「結婚」について最終確認をしているシーン。 (updated 20220625)

貧乏ゆすりするキム S5Ep07

 

 

キムの母親

本エピソードでのキムの母親は、まるでジミーがするような「演説」をぶちかます

万引きが見つかり、オフィスで座っているキム。店長が母親を連れて入ってくる。母親は店長の前では「厳しい母親」を演じてキムを叱責し、壊してしまった商品の代金すら支払おうとする(店長は固辞)。しかし、店を出て角を曲がり、店長のいた入口が見えない所へくるととたんに笑いだす。車に乗ってからは、キムが盗ろうとした商品を盗んできたことさえ明らかになる。

これはキムがジミーに対して愛着を抱く理由の大きな要因となっている事を示すシーンだろう。また、次に示すが、キムは初登場時から仕事モードの時の殆どでこの母が盗んだピアスを付けている。この事をどういう風に解釈すべきなのか。

 

S5Ep06 Teaser フラッシュバックシーンでは、酒を飲んでいて迎えに来るのが遅れた母親に反抗して、チェロを背負って車に乗らずに歩いて帰ろうとするキム。

キム役のRhea Seehornは、Varietyの記事*9の中で、「パイロットの時からキムにはアルコール依存症の親が居ると考えていた」と語っている。それを口に出した事は無いのに、このフラッシュバックシーンがでてきて驚いたそうだ。

 

 

キムのピアス

S6Ep06 TeaserのReview*10でも触れたが、このイヤリングはキムが殆どの場面で付けているものだ。Starlight collectionの1つという話。

 

これとは別のを付けているシーンも。

S1Ep04 A2 夜のネイルサロンで初めてStarligh Collection以外のピアスをしているキム。その直前、ハワードとジミーのHMMに似せた看板を見に行った時、A4のHMM会議室でニュース番組のジミーを見るシーンはStarligh Collectionのピアス。

S1Ep05 A2 再び夜のネイルサロンで別のピアス。その流れで、A3の病院のシーンも。他の出番が無いため、このエピソードではStarligh Collectionのピアスは付けていない。

S1Ep07 A1 事務所候補の内見時にEp05と同じにみえるピアス。A2 HHM会議室でケトルマン夫妻の相手をしているシーン、A3 HHMの駐車場でジミーと不貞腐れるシーン、A4 ケトルマン夫妻を出迎えるシーンはStarligh Collectionのピアス。

S1Ep08 Teaser フラッシュバックで、ジミーが司法試験に合格するシーンで別のピアス。判例の出力を頼む電話をした時はまた別のピアス。

S2Ep01 A3 キムとのおそらく初めてのベッドインの翌朝。このエピソードのA1 裁判所のシーン、A2,A3のホテルのシーン(ケンを騙すシーン含む)ではStarligh Collectionのピアスを付けている。

S2Ep07 A1シュワイカートからの引き抜きをジミーと話す時、A3 HHMへ出す辞表を書いているところから、ジミーから共同事務所のオファーを受け、断るシーン。A4 シュワイカートの面接、その後屋上でW&Mの名刺をちぎる時、そして1つのオフィス2つの事務所をジミーに提案する時。このエピソードではStarligh Collectionのピアスは付けていない。

S2Ep08 A1 ホットドッグ屋で辞表を出す話をしている時、ハワードのオフィスで辞表を出す時、HHMからメサ・ヴェルデ案件を奪おうとしている時、新しい事務所の前でメサヴェルデをHHMにとられたことをジミーに話す時。このエピソードではStarligh Collectionのピアスは付けていない。

S3Ep09 A1 ガトウッド石油の現地へ赴いたとき、A4 キムが車で事故を起こす時。このエピソードではStarligh Collectionのピアスは付けていない。

S4Ep06 Teaser フラッシュバックシーン、キムもジミーもまだ弁護士でない、郵便室勤めの頃。

S4Ep09 Teaser 建物の設計図を取り換える詐欺をしているシーンと、A1でその直後ダイナーで食事をしているシーン。このエピソードのA4、ジミーから聴聞会が失敗したと電話を受けるシーン、その後屋上で喧嘩するシーン、その後キムのアパートで会話するシーンでは、Starligh Collectionのピアスをしている。

S5、S6前半ではStarligh Collection以外のピアスをしているシーンは見つからなかった。

 

別のピアスをする事の意味付けがあるような無いような。最初はあまり固定化しないで、仕事の時だけStarligh Collectionのピアスを付けている印象だが、S2Ep07、Ep08では重大な転機に別のをしているようにも見える。しかし、S5やS6ではStarligh Collectionのピアスしかしておらず、これで一貫しているわけでもなさそう。本エピソードのフラッシュバックシーンで入手の瞬間が描かれたが、他のフラッシュバックシーンでは付けているシーンが無い。

 

何せ小さいものだし、カメラに近い時は影になっている事が圧倒的に多く、なるべく丁寧に見たつもりだが、見逃している場面もあるかもしれない。

 

 

若い頃から

S2Ep07 21分あたり、メサ・ヴェルデの支店の住所を細工した事について、高校時代に偽造IDを作っていた事を指し、「モーツァルトと同じで2人共若い頃からはじめたんだな」と皮肉を言うチャック。

S2Ep09 Teaserのフラッシュバックシーンで、レジから金を抜く幼い頃のジミー。

そして、本エピソードではキムも幼い頃、店の人に万引きを見咎められた事が明らかになる。以下のセリフは本来モーツァルトとジミーの事を指すが、後から見ればジミーとキムの2人にも当てはまることが分かる。

Chuck: You both started young.

 

また、「モーツァルト」といえば、S1Ep08で、サンドパイパーの証拠をつかむためにゴミ箱を漁っている最中、従業員にみつかりそうになり、ゴミ箱の中に隠れたジミー。そこへ掛かってきたシュワイカートからの電話で、ささやき声なのを「オペラを観てるから」と嘘を付いた。そのオペラは「魔笛」で、勿論これはモーツァルトの作品だ。

 

 

プレス

タイトルコール直後にうつるハワードのズボンプレッサー。

 

S5Ep02ではジミーがアイロンをかけるシーン。

S1Ep09ではチャックがアイロンをかけるシーン。

 

 

ハワードのワイフ

直接言及される事はS5までは無かったが、ハワードはずっと結婚指輪をしていた。最初に確認できるのは、S1Ep05のはじめてチャックが病院に担ぎ込まれたシーンだろうか。

 

S6Ep04 A1 精神科医との会話ではじめて直接言及され、夫婦仲が上手くいっていない事が明らかにされた。

 

 

獣医カルデラと、ガスの歩くシーンのシンクロ

自分は全く気付かなくて、redditの投稿を見てびっくりした件。是非リンク先の動画を見てほしい。ちなみに本エピソードの監督はガス役のジャンカルロ・エスポジートである。

"Directed by Giancarlo Esposito" felt too perfect to me... where have we seen this shot before? : betterCallSaul

こんなの、気づく人がいる事にびっくりである。

 

獣医カルデラは動物愛護家

「動物たちは俺の人生そのものだ」というカルデラ

 

S3Ep05では、ビニール袋に入れた金魚を獣医に持ってきたジミーに「窒息させる気か?」と怒っている。

S1Ep08では、出産させすぎたダックスフントがヘルニアを患った事に憤慨してる。

 

 

カルデラの黒い手帳 Best Quality Vacuumの名刺

アルバカーキの裏の仕事の仲介人である獣医カルデラ。仲介業をする上での「王国の鍵」とカルデラが称するアドレス帳。逆イースターエッグとして、S6Ep01 Teaserのフラッシュバックシーンにも「NO VALUE」と書かれた箱に放り込まれている所が映っている。暗号で書かれているからだろう。

 

Breaking Badでソウルが紹介する人物には、バッジャーが逮捕された時にハイゼンベルグの身代わりとして捕まる役の「出戻りジミー」、レーザータグの運営者「ダニー」、Vamonos Pestの「アイラ」(S4で出てくる)、人消し屋「エド」 、ウォルター達のブルーメスを裁くために必要になったガスに繋がる男「Guy who knows a guy」、ウォルターJr.が作った寄付サイトSaveWalterWhite.comへマネーロンダリングするベラルーシ在住のハッカークラッカー等がいる。

 

また、Better Call Saulにおいて、この手帳で紹介された人物としては、神業スリ師の「ヒューエル」、プライスが獣医に紹介を頼んだ男で、S5Ep05ではメサ・ヴェルデのケヴィンの粗探しを頼まれ、自宅に侵入したMr. Xこと「Sobchak」(作品上では名前は出ず、脚本に乗っているだけ)が居る。本来ケヴィンの粗探しをするのは、Breaking Badでヒューエルと同じくソウルの下で働くパトリック・クービーの予定だったが、スケジュールの都合でSobchakになったそうだ*11。このクービーも黒い手帳に載っていたのかもしれない。

 

 

ジミーの瞳孔を確認するキム

獣医の所で、薬の効き目を見るために。

 

S4Ep05では、暴行されたジミーが大丈夫か、左右の瞳孔が同じ大きさか確認するキム。

 

 

アルバカーキアイソトープスの芳香剤

A2 公選弁護人として、不当逮捕を訴えるキムが提示した証拠、アルバカーキアイソトープスの芳香剤。

ネットで検索するとcar/air freshnenerと言われている。日本ではボトル入りの芳香剤が殆どだが、アメリカではこういうタイプも多いのかな?

 

これはS4Ep01 Teaser フラッシュフォワードジーンとしてのジミーが病院帰りに乗ったJeffという運転手のタクシーにつけられていたものと同じもののようだ。

アルバカーキアイソトープスの芳香剤 S6Ep06/S4Ep01

このJeffにはS5Ep01 Teaser フラッシュフォワードで、「アレをやってくれよ」としつこくせがまれて、ジーンは仕方なく小声で「Better Call Saul」とやってしまう。

 

 

事務所を覗き込む

日が暮れてから、ソウル・グッドマンの事務所を訪れるキム。鍵がかかっていて、左手で光を遮り中を覗き込む様子が、事務所の中から影で描写される。

 

一つ前のエピソードS6Ep05 A2 では、フランチェスカが同じようなポーズを取っているシーンがある。こちらは右手で光を遮り、影ではなく直接見えているが。

事務所を覗き込むキム/フランチェスカ S6Ep06/S6Ep05

 

「正式には会っていない」 (added 20220625)

A2 ドイツの森で。ラロがキャスパーに言うセリフ。

非公式に会った、というか見かけた事はある。S5Ep01で、ガスの新しい食肉冷却システムの建設(勿論これはスーパーラボを秘密にしておくためのフェイク)を見せた際だ。この前のエピソードで名前を聞いた「マイク」と話したいと言ったラロに、マイクを呼んだのがキャスパーだった。

フェイク工場でマイクを呼ぶキャスパー S5Ep01

S4Ep10で、ラロはヴェルナーとの電話通話の中で「カイ」という名前を聞いている。このことから、ラロに狙われるのはカイかと思っていたが違ったようだ。

 

 

フランチェスカが決めた事務所の内装・客層 (updated 20220714)

フランチェスカの言を借りれば、「洗練されているのと同時に居心地のいい雰囲気」の内装。キムは「凄く上品よ」と返すのだが、表情は硬く不満気にも見える。キムの「ソウル・グッドマンのオフィス」像と違うのかもしれない。

 

一方で、Breaking Bad時代のソウルのオフィスはもうこの「Inviting」な雰囲気は微塵もなく、お役所のような簡素な壁と椅子、客とフランチェスカを隔てるガラスまで。

 

これだけ内装は違うが、上品な事務所に訪れる客(A3)はもはやBreaking Bad時代と同じ。刺青だらけだったりだらしない服装だったり、新調した椅子のひじ掛けで煙草を消すような人まで居り、この内装とはそぐわない雰囲気だ。

このミスマッチがBreaking Bad時代をかえって強く想起させる。

 

フランチェスカがこの客層を歓迎していなさそうな事は表情から明らかだ。

ソウル・グッドマンのオフィス S6Ep06/BrBaS5Ep09

(以降 updated 20220714)

このソウルのオフィスを見渡すカットが本エピソードを含めて(恐らく)3回ある。初めてがソウル初登場のBrBaS2Ep08、(恐らく)2回目がスカイラーをソウルに紹介するBrBaS3Ep11。

ソウルのオフィスを見回すシーン S6Ep04/BrBaS3Ep11/BrBaS2Ep08

 

 

フランチェスカとのハグ

再会を祝してハグするフランチェスカとキム。

 

この2人はS3Ep10で、ジミーとの共同事務所を閉める時にもハグをしている。

 

一方で、Breaking Bad時代、人消し屋に電話して逃亡する準備をするシーンでは、ハグを求めるソウルを鼻で笑っている。

フランチェスカとハグするキム ソウルが求めても応じない S6Ep06/S3Ep10/S4Ep05

どうやらフランチェスカは、キムには強い好印象をもっている一方で、ジミー単体には悪印象を抱いているようだ。

しかし、キムはフランチェスカにそこまで良い印象を持っているようには「個人的には」思えない(本エピソードソウルの事務所での様子は好意の非対称性が見える気がする)。一方でジミーはフランチェスカに好印象を持っている。S3Ep02で面接をした際にも、キムは他にも面接しようとしていたのに、ジミーが強引に採用を決めている。このあたりのすれ違いも面白い。

 

 

成りすまし電話をかけるフランチェスカ (added 20220703)

フランチェスカは違法性を気にしつつも、クライアントに成りすまして電話会議への参加に必要な手順を聞き出す。この際、「こう言う事当たり前にしないで」と言われて、勿論今回だけだとジミーは答えている。

 

MVDの項*12でも言及したが、BrBaS3Ep06 ジャンクヤードでウォルターとジェシーを追い詰めたハンクをその場から去らせるために、フランチェスカは病院スタッフに成りすましてハンクの携帯に偽電話を掛けている。

 

 

捨てられた便器

オフィスの裏口を出た所、会議をリモートで聞くための手順を聞くためにフランチェスカが電話するシーン。S6Ep04でキムが「そのままにしておいて」と言っていた便器が大きなゴミ箱に突っ込まれている。

 

 

ガスにとって問題なら (added 20220704)

タイラスに洗濯工場の事務所に呼び出されたマイク。マイクの家の監視を解いて、義娘・孫の家の監視に当てている事に文句を匂わされるが、「ボスが問題だと思ってるなら直接言えばいい、お前が問題だと思っているならはっきり言え」と答えるマイク。

The boss has a problem, he knows how to reach me.

 

BrBaS4Ep12 入院したブロック(恋人の子供・ウォルターに毒を盛られた)が心配で病院を離れようとしないジェシーに、タイラスがメスを作れと命令する。ジェシーは「問題があるなら、ボスが自分で言えばよい」と返す。実際タイラスはガスに連絡し、直後に体面で会話する。

If my employer has a problem with that, he can tell me himself.

両方とも問題を「匂わせる」事で行動を強要しようしている(はっきりとボスの命令だとは言っていない)こと、強要するのがタイラスであることが共通している。

 

 

マイクと孫娘ケイリー

義理の娘の家の向かいにある、監視所として使っている家から双眼鏡で孫娘が天体観測をするのを見守るマイク。出張中と嘘を付いて電話で天体観測の話をする。

 

この孫娘ケイリーはマイクが一番大事にしている人物としてよく遊びに付き合っているシーンが描写される。

Fandom Wikiによれば*13、Better Call SaulではS6Ep07までに15エピソードで登場しており、Breaking Badでは5エピソードで登場している。

 

ちなみに、このケイリーの年齢はBetter Call SaulとBreaking Badでの年の違い程違うようには見えず、この2作における矛盾としてよく挙げられる。

ケイリーの母ステイシーは、Breaking Badでの登場はS3Ep13のみであり、クレジットもされていない上、俳優もBetter Call Saulで演じているKerry Condonとは別人である。

 

 

ケイリーとの会話でわざと間違えるマイク (added 20220714)

ケイリーは天体観測の話の中で、「木星が一番好き」「巨大ガス惑星って呼ばれてる」という発言をし、マイクは「臭そうだな(That's not very nice.)」と、ガスをおならと勘違いしてみせて、ケイリーのツッコミを誘う。

 

BrBaS3Ep13 A2 マイクの車の中 マイクはケイリーに「サイは大きな鼻で全部蹴散らす」といい、ケイリーの「あれは鼻じゃなくて角よ」というツッコミを誘う。そもそもペットにサイはどうだ?という事からしてツッコミ待ちなのだが。

 

 

Bad Choice Road

急なアクシデント(元判事の骨折・ギプス)で、ジミーが中止を提案するにも関わらず、「今日決行よ」サンタフェへ向かっていた車をUターンさせるキム。

 

S5Ep09「Bad Choice Road(悪い選択がもたらす道)」のタイトルは直球でこれだし、その中で、キムのアパートで、ジミーがキムに言うセリフもまさにこの暗示だ。

Jimmy: I'm saying that bad choices lead to bad roads that lead to bad places.

勿論、この話はマイクの受け売りである。

 

 

Episode 7

シャワーシーン

Teaserでシャワーを浴びるラロと、Breaking Badでシャワーを浴びるウォルターのポーズが似ているという話があった。一般的にこういうポーズをとりやすい心理・状態というのがあるのだろうか?自分はこういうポーズをとった事は無いが、疲れている時にするイメージがなんとなくある。

シャワーを浴びるラロ/ウォルター S6Ep07/BrBaS4Ep06

ウォルターのこのカットはBrBaS4Ep06のものだが、BrBaS5Ep08でも一瞬同じ場面が映る。時間経過を表すモンタージュシーンの中で再利用されている。

 

 

タイマーをセットし、車内で寝るラロとキム

S6Ep07 タイマーをセットして寝るラロ

S3Ep07

S3Ep07 タイマーをセットして寝るキム

 

双眼鏡を覗きながら食べるラロとキム

S6Ep01

ラロとキムが同じ仕草を2回もしているのは気になる所である。

 

 

下水道から出てきた目撃者 (added 20220625)

下水からガス所有の洗濯工場を監視するラロ。

 

S5Ep02 A4 ソウルとビル(地方検事補)との会話。突然ソウルのクライアントに有利な目撃者が現れた事について、「何をしたんだ?」と食い下がるビル。「名乗り出てくれたんだ」とうそぶくジミーにビルは「下水道から?」と茶化す。これは正規の目撃者ではなく、ジミーがでっち上げた「目撃者」なんだろう。「ソウル・グッドマン」モードのジミーだ。

 

 

カメラに触るな

トランブル公園で、UNMの眼鏡のカメラマン(Joey Dixon)が、音声担当に。

Joey: Wait. You touched my stuff?

 

S5Ep06

ネイルサロンで、ジミーがキムに

Jimmy: All right. Just don't touch the camera. He claims it's an extension of his body.

 

S1Ep04

ハワードコスプレ看板の下で、Joeyがカメラを触ろうとしたジミーに

I signed the form. Only I can touch the camera.

 

 

アイリーン

アイリーンも久しぶりの登場だ。S3でジミーのサンドパイパー案件和解策で除け者となっていた彼女を、自分が悪かったのだと露悪的に曝露する事で解決して以来。

そもそもサンドパイパー案件が始まったのも彼女がきっかけ(S1Ep07)だ。

 

それにしても、ハメられたハワードの大騒ぎで不発に終わった調停シーンの最後「調停はいつもこうなの?」というセリフは本エピソード一番のコミックリリーフだった(2番目はUNMカメラクルーメイク担当のコスプレ)。

 

 

最高の法律家

HHM会議室で、ハワードがケイリー(Cary)に、チャックの事を称して

Howard: Greatest legal mind I ever knew.

 

S3Ep09

HHM会議室で、ハワードがチャックに、引退を促すシーンで

Howard: Chuck, you are the best legal mind I've ever known. Hands down.

 

 

ギプスをした人に問い詰められるハワード

本エピソードでは左手にギプスをしたカシミーロにハワードが問い詰められる。無論、ジミーとキムによって操作された情報によって、だが。

 

S4Ep02 A3では、右てにギプスをしたキムにハワードが問い詰められる。チャックの自殺をジミーに示した事等を非難される。自殺のきっかけになったのはジミーが保険会社にチャックの病気や法廷での取り乱しを密告したからなのだが、キムはそれを知らない。操作されてはいないが、事実に基づかない情報に操られているのは共通点かもしれない。

 

 

作戦成功 (updated 20220625)

ここまでの6エピソードかけて仕込んできた作戦が見事にハマり、ハワードをドツボに陥れる。そこで取り乱したハワードは、S3Ep05での証人尋問中に取り乱したチャックと相似形だ。公式Twitterが動画をTweetしているのでリンクを張る。

 

 

(以下 updated 20220625)

また、個人攻撃をして、対象が関わる案件を思う方向に動かすという意味では、S5Ep05で行ったケヴィン・ワクテル(メサ・ヴェルデの頭取)相手の事件もあった。「汚い手で、個人攻撃で、危険だ」とジミーは言うが、キムはゴーサインを出してしまい、思い直して止めさせたつもりがジミーは暴走。キムがハワードをハメる元になった事件の1つなのは間違いなさそうだ。こちらも「汚い手で、個人攻撃で、危険」でもある。

 

 

cucaracha

A3 下水でとある生物(cucaracha)を眺めるラロ。

 

S508 拘置所の面会室で、ラロが接見しにきたキムに、「あんたの旦那はcucarachaみたいなやつだ」と。

 

 

カーサ・トランキーラへの電話

ラロはS6Ep01でも、カーサ・トランキーラへ電話をしているが、2回とも最初はスペイン語で話をしている。これは施設の名前がスペイン語である事が示唆しているように、メキシコ系の利用者が多い施設だから、従業員も話せる人が一般の場よりは多い事を警戒してのことだ。ラロの徹底した慎重さがうかがえる。

 

 

マッカラン

ハワードはジミーとキムに、2人の企みだったことを証明する復讐を宣言するためにキムのアパートにやってくる。そのときに持ってきたのが、いつもチャックと祝う時に飲んだマッカランだ。

シングルモルトスコッチの中でも知名度の高いこのブランド。シェリー樽で熟成させるために甘みが強いのが特徴で、勝利の美酒にはもってこいなのだろう。

 

最初にハワードがチャックと勝利の美酒を味わう様子が描かれるのはS2Ep05。キムがメサ・ヴェルデという大口クライアントを獲得した時だ。ここでは銘柄への言及もなく、木箱にも入っていない。ラベルも良く見えなくて、何年ものかの特定も困難だ。ジミーとキムへ持ってきたのもこれと同じもののようにも見えるが、同じくアップのシーンも無く良く見えないので何年ものかは分からない。

 

一方、S3Ep06では、1966年の表示がある木箱入りの、35年もののマッカランで祝杯をあげている。この時何を祝ったのかというと、ジミーの弁護士資格12か月の停止だ。馬鹿な身内に欠かされた恥なんて忘れて、前を向いて生きようと、これは勝利だと。

この時が一番の高級品なのは、一見皮肉にも見えるが、それだけチャックへのシンパシーにあふれているという事でもあるのだろう。実際これを機に、チャックはクルーズ医師と連絡をとり、電磁波過敏症を患っているという妄想を正そうとするのだ。

 

 

You won.

キムのアパートにて、ハワードがジミーとキムに。

Howard: You won.

 

S3Ep10

HHM会議室にて、ハワードがチャックに。

Howard: You won.

 

 

soulless (updated 20220625)

ジミーとキムを指して言ったハワードの言葉。

 

S6Ep03で、ナチョがヘクターに言ったセリフにも同じ単語が使われている。

 

「soulless pig」は吹替字幕共に「卑劣なブタ野郎」、「You two are soulless」は吹替では「余りに無慈悲」字幕では「心が無い」となっている。

 

(以降updated 20220625)

S5Ep03 A3 アッカー(メサ・ヴェルデのコールセンター用地から立ち退かない老人)が、「あんたらは皆 血も涙もない金の亡者だ」と言っている。

You people are all the same. You're soulless money grubbers.

 

S1Ep10 A1 老人が集まるビンゴ大会会場で。ジミーはあまりにBが連続していてイライラが溜まる。「シカゴサンルーフ」の話をする前に、(恐らく)アルバカーキという「不毛の地から、あなた達も私も出られない」「玩具のオーブンの中で暮らしてるみたい」「窓の外を見れば ジョージアオキーフの風景画みたいな、soullessで放射能汚染されたような世界だ」と、ビンゴに集まった老人たちをドン引きさせる発言をしてしまう。吹替では「まるで魂の抜けた毒々しいオキーフの世界だ」で、字幕では「まるで ジョージア・オキーフの世界だ」と、soullessの訳は省かれている。radioactiveをボカして(字幕ではオミットされているが)訳しているのは洋ドラの翻訳でよくある事だ。

It's like a soulless, radioactive Georgia O'Keeffe hellscape out there...

ジョージアオキーフ 風景画」での検索結果

余談だが、上記画像のGoogleDoodleの女性の顔はアンネ・フランク。20220625はアンネの日記出版75周年だそうだ。

 

そこまでの事をしたか?

キムのアパートにて、ハワードがジミーとキムに。「何のために?どう正当化する?」と。

 

S1Ep09 チャックの家で、ジミーがチャックに。「そこまで許せない事をしたか?」と。

 

 

Burn to the ground (updated 20220625)

(以降 updated 20220625)

A5 キムのアパートでハワードがジミーとキムに。陥れられた事について。日本語訳は「叩きのめす」となっている。

Howard: Why go through this elaborate plot just to burn me to the ground?

S1Ep09 ジミーがハワードに。サンドパイパー案件で外された腹いせに。日本語訳は「全部燃やしてやる」

Jimmy: I will burn the whole thing to the ground before I give it to you.

S3Ep02 チャックの家で、ジミーがチャックに。書類の住所を書き換えた事を自白したテープを壊した直後に、他のコピーはないのか?との問いに続けて。日本語訳は「家ごと燃やすぞ」

Jimmy:  You tell me, or I'll burn this whole goddamn house to the ground.

 

また、「burn ~~ to the ground」という表現ではないが、S5Ep10 A4 避難先のホテルのベッドの上で、ジミーが言ったセリフ。scorched earthは焦土で、燃やし尽くすというニュアンスが共通している。日本語訳は「相手のすべてを奪うんだ」

We're not talking about a bar trick here.
We're talking about scorched earth.

 

 

ジミーとキムについて

キムのアパートで、ハワードがジミーとキムに「完璧にお似合いの2人」だと。

 

S5Ep10 裁判所の一室で、ハワードがキムに。メサヴェルデを手放した事について「こんな事するなんてジミーの影響なんだろ?」と。

 

S1Ep09 HHMのハワードのオフィスにて、キムが「何故メサ・ヴェルデ案件にジミーを入れないのか」と聞き、答えないハワードに「友達だから」と言う。

 

S1Ep04 HHMのロゴやハワードの恰好に似たJMMロゴやジミーの写真の看板の前で、ハワードに「まだ友達なんだろ?」と聞かれるも、この時は「そうでもない」と言う。

 

 

筒を回す (updated 20220703)

炭酸飲料の缶を回すハワード

サイレンサーを回すラロ

 

このエピソードのライターで監督のTomSchnauzはTwitterで、「これは指摘されるまで気づかなかったのが悔しい」というような事を呟いている。

正直この人の言う事を鵜呑みにするのも危ないと個人的には思っている。どう思うかは受け取る人次第。

 

 

サラマンカへの恐怖

ジミーが抱くサラマンカ一族への恐れ。まさに幽霊を見たかの如き恐れの表情を見せたジミー。

 

最初はS1のトゥコだ。口八丁で自分とスケートボーダー2人の命を助け、ナチョとの付き合いが始まる。

 

次はS2でマイクがトゥコの減刑のための偽証に付き合った時。「サラマンカとの因縁があり、危険なサラマンカ一族に脅されたのならしょうがない」とマイクを慰めている。マイクは邪険にするが。

 

S6Ep05では、「シセロのシスターに聞かれたら怒られるが、ラロが死んで良かった」と、偽の死亡情報に心底安堵している。

でも、S5では金を釣り上げて運び屋を買って出ている。

 

 

弁護士・居合わせた人を殺す

ラロは理由もなく(敢えて言えば悪いタイミングでその場にいた、というだけで)ハワードを殺した。

 

S1Ep02 で、ソウルとスケートボーダー2人を拉致した荒地で、ナチョがトゥコに「理由もなく弁護士を殺すのは得策じゃない」と言っている。

 

BrBaS5Ep05 では、列車から海のような(量の)メチルアミンを盗むという大強盗を成し遂げたそのシーンに、オフロードバイクに乗ったドリュー・シャープ少年が居合わせ、サイコパストッドが射殺する。

理由もなく殺される、と言う事でアンドレア(BrBaS5Ep15)を例に挙げる人がredditではそこそこ居たのだが、居合わせただけという点ではやはりドリュー少年の方が対比対象としては適当だろう。原因となる人物と付き合いがあったという点では、ハワードとアンドレアにも共通点はあるが。

 

倒れる時に頭を打つ

ハワードは撃たれて倒れる際に、テーブルで頭を打つ。

 

S2Ep09 A4で、コピーショップで発作を起こしたチャックも、倒れる際に机で頭を打つ。

痛ましい……

 

 

Better Call Saul S6Ep01 Wine and Roses(青き春は過ぎ) A4

ゴルフクラブ

車の中からハワードとクリフがプレイするのを監視するジミーとキム。プレイが終わるまで45分、というキムに、「ゴルフを教えてくれ、弁護士にゴルフは必須だ」と頼むジミー。キムは快諾。

ドアを開けて少し固まるジミーだが、piece of cakeと言って騙しに向かうジミー。ハワードの車の前で少したたずむ。

ゴルフクラブの駐車場 ハワードのジャガーの前で佇むジミー

 

クラブの玄関を入り、見学に来たと伝え、案内されるジミー。珍しくも黒のジャケットに、殆ど黒の茶色のシャツ。ソウル・グッドマンを名乗る。

ラウンジを案内されている最中に、メサ・ヴェルデのケヴィンが現れ、案内人のノームを呼ぶ。離れたところで目を見開いてノームに何かを言うケヴィン。

ジミーの元に戻ったノームは、「現在 入会待ちが2年で」と、見学をキャンセルする。見学だけでも何とかならないか?と聞いても答えはノー。一度はジミーも引き下がりかけるのだが、「急に新規入会停止を思い出したのか?」と問い詰め始める。

 

ここからユダヤ人差別(勿論ジミーはアイルランド系で、Goodman姓は勝手に名乗ってるだけ)をネタに、ラウンジ中を相手に大演説をする。ケヴィンを徴発する事にもまんまと成功し、本来の目的のために、更衣室のトイレを借りる事を了承させる。

借りたトイレを紙で詰まらせ、従業員をカウンターから引き離し、ハワードのロッカー番号を得た所で、キムからハワードが戻ってくる、中止のメールを受け取る。しかし、ジミーは強硬。ハワードのロッカーにコカインを模した袋を忍ばせ、自らは全裸で頭からタオルを被るという、場に似つかわしい機転の利いた変装でハワードの目を誤魔化す。

 

ハワードがロッカーを開けた時に落ちた物を見て、クリフ・メインはコカインのパッケージだと認識するが、その場は従業員のものだろうという事になる。その会話を近くで盗み聞きするジミー。

ハワードがロッカーを開けたら落ちた、偽ドラッグの袋

車で待っているキムと合流したジミーは、クラブハウスから出てきたハワードとクリフを双眼鏡で覗く。「ベビーパウダーだとバレたら?」「私たち、策に溺れたかも?」「何もかも微妙過ぎたんじゃない?」と心配するキムに、「そんな事ない、完璧だ」と自信気に返すジミー。

 

 

メキシコの荒野

TOYOTAピックアップトラックの荷台に、バンダナをマスクにして揺られているラロ。

 

荷台のラロ

密入国業者のトラックで、アメリカに舞い戻るつもりだ。代金を払った後?暫く待っててくれ「Be Nnice.(良い子)」、と更に金を渡し、携帯で電話した先はカーサ・トランキーラ。電話をとった従業員がスペイン語を話せない事を確認する抜け目のなさ。

襲撃されたが生きている、ガスをぶっ殺してやるというラロの言葉を聞いてのヘクターの顔芸が凄い。ヘクターが何か言いたげなのを感じ取ると、アルファベットを順に読んでいき、ベルで文字を指定する方法を始めるラロ。Breaking BadでトゥコもこれをやっていればS2で終わっていただろう、身も蓋も無いが。

出来た単語は「PRUEBA」、証拠。証拠は無い、と一度は言うラロだが何かを思い出して、「見つけられる」と。

 

ラロは密入国業者の元へ戻り、「行かない事にしたから金を返せ」と言うが、アウトロー共があっさり従うわけもなく、「いい子」ではない2人はラロの餌食になってしまう。一方で、他の参加者にも金を返し、すまないが別の方法でいってくれ、と。

そして国境を背にしてピックアップトラックで走り出す。

 

 

 

 

 

Better Call Saul S6Ep01 Wine and Roses(青き春は過ぎ) A3

エル・カミーノ 食堂

夜、ジミーがブラウンのフォードトーラスで乗り付ける。ジミーが貸した服を着た少年とその母がキムと、食堂の中で話をしているのを見つめるジミー。食堂入口で二人とすれ違い、「良いスーツだ」と声をかける。

ジミーはキムのテーブルに座り、本日の成果について尋ねる。先ほどのキムのクライアントの少年は、勤勉な高校生だが、新車を乗り回す金持ちの子が犯した強盗の罪をかぶせられてしまった。金にあかせて最高の弁護士を準備した真犯人に対抗するキム。キムが本来したいと思っている「弱い者のための弁護」だ。

他に、ホームレスの女性を釈放させたというキムに、「地獄の1日だな」というジミー。しかしキムは「(弁護士として)人生最高の日よ」と返す。

 

話はジミーの事に。フォードトーラスを借りたジミーに、「ソウル・グッドマンが茶色のトーラスに?」とキム。ソウル・グッドマンが乗る車はもっとシャレた、派手なアメリカ車だと。

事務所についても、「人目を引く」「立地の良い(裁判所の近く)」「正義の大聖堂」というイメージを語り、物件を探し始めましょうと提案するキム。

 

そして話はハワードを陥れる件へ。「ハワードを痛めつけ 潰さずに勝つ(Bruised, maybe, but still standing.)」乗り気のキムだが、ジミーはまだ決断しきれない。とりあえず話を聞く、というと計画を語り始めるキム。詳細はまだ明かされない。

 

 

メキシコのどこか

夜。何かのパイプにたまった水を飲むナチョ。警察の車を見て隠れる。

虫が鳴く中、目的地のモーテルを見つけ、人目が無い事を確認しながら受付へ。テレビを見ていたおばさんは、一言も交わさないまま、1つの部屋のキーを出す。それを受け取って部屋へ入るナチョ。

一息つき、ベッドの上に封筒を見つける。中には現金と拳銃。

用意されていた携帯電話でタイラスに電話をかける。「2,3日かかるが 越境手配が済んだら電話する」と言うタイラス。その間は隠れておけ、人が来たら撃て、と。

 

 

ステイシーの家

ケイリーと遊ぶマイク。ケイリーはMarble Runという、玉を転がすタワーを作る玩具で遊んでいる。ケイリーが走らせた玉は飛び出してマイクの手に。

マイク「高くし過ぎたからビー玉が飛び出るんだ」

ケイリー「まだ途中なの 完成したらうまくいく」

と何とも意味深な会話。

 

ジュースをねだられ、冷蔵庫に向かったマイクに、ナチョから電話が掛かってくるが、思案し溜息をつき、電話には出ない。メキシコのナチョも携帯を見つめて思案する。

 

Better Call Saul S6Ep01 Wine and Roses(青き春は過ぎ) A2

ラロ邸

蟻のドアップから。カメラがだんだんズームアウトし、蟻の足元は指紋、指抜き手袋の手、衛星携帯電話、そして顔にやけど痕。昨シーズンラストでラロが最後に電話させた傭兵だ。

そしてフレームインしてくる2組影とワニ側の靴、先端にはドクロをあしらった飾り。ここ迄でも十分だれか分かってしまう彼ら。

逆光の双子

錠前破り用の金属片がついたままの南京錠、テキーラのボトル(デカンタ?)ルイ13世デカンタ(20220625修正)とグラス、と昨シーズンの思い出の小物。そして警察官と鑑識、彼らが地面に置いた整理文字黄色いプレート。双子が遠慮の欠片も無く現場に入っていくが、警官は目を伏せ、鑑識も何も言わない。ここはサラマンカの土地なのだ。中庭の遺体袋は12。

双子がキッチンに入ってくると、鑑識が慌てて立ち去る。しゃがみ込み、驚きの顔を隠せない双子。死体の顔にジャケットをかぶせ、その上にSanta Muerteの文字が入った死の聖母のカードが置かれる。顔を見合わせ、急いで立ち去る双子。

一応説明すると、これはラロの死体に偽装したマテオの死体だ。双子はラロの死体だと思い込んでいる。

 

 

ガスの養鶏場

プレハブのオフィスの中、テーブルの上の携帯が振動する。窓から外を眺めていた、黒ずくめのスーツのガスが携帯を取る。相手はボルサだ。昨夜ラロが襲撃され死んだことを伝えられる。ボルサの「サラマンカは……」にガスが「Sangre por sangre 血で血を洗う」と言葉を継ぐ。これがサラマンカの流儀だ。内通者がナチョであることはバレている。エラディオが賞金をかけ、全員で捜索中だ。「ナチョが捕まれば黒幕もわかる」とボルサ。ヘクターがこのことを知っている事も確認するガス。ボルサはガスにも用心しておけ、と言い残して電話を切る。

 

ガスは扉を開けてマイクとタイラスを招き入れ、再度襲撃の報告を求める。襲撃した傭兵たちが全滅したのに、ラロも死んだことにガスは疑念を抱くが、マイクによくある事だと返される。

マイクはナチョ救出に向かおう、と提案するがガスは乗り気ではない。それを悟ったマイクはタイラスを一瞥し、溜息をついて「既に手配済みなら別だが」と。そこでタイラスはガスの顔を見て退出する。この"手配"は救出とは逆の手配の事だろう。

「はっきり言え」とガス。マイクは忠誠心は双方向、ナチョは尊敬に見合う仕事をした、というが、取り合わないガス。マイクは諦めて出ていく。

 

 

裁判所

手荷物検査の装置に掛けられるジミーの茶色いスーツを追うカメラ。ジミーはプロボノの弁護に向かうキムと別れて検事(と刑事)と会い、話をする。「デグズマンの保釈取り消し要求をする」と言われるが、予定が詰まってるとかわすジミー。

住所や家族の偽装はバレ、免許や納税、学校などどの記録にも妻だとされるベス・マッキノンの名前が無いと指摘される。これが保釈取消要求の理由だ。6週間も逃げる時間を与えられないという検事だが、ジミーは7万ドルもの大金を保釈金に積んで逃げるわけない、と取り合わない。逆に検事たちを職権乱用で訴えるぞ、と脅すも、うっかりラロの名前を漏らしてしまう。検事は疑念を募らせる。

自分の失敗に動揺して、空き法廷に座りたたずむジミー。

 

Insider Podcastで語られたこと Season6

自分が良くは理解できない英語・会話の箇所については言及しないので、重要な事喋ってても取りこぼす事は大いにあり得るのでそこはご了承いただきたい。

 

 

S6Ep01

Teaserのフラッシュフォワードでのソウルの家は、以前ジミーとキムが見に行ったものではない。ピーターはそうできれば良かったと考えてはいたようだが

 

So there's no interestingly there's no visual effects in there of any kind. There's no editorial effects either. What we did was we got a bunch of black and white ties and so we set up this incredible camera, the Phantom camera.

とMorris(本Epの監督)は言っているが、完全に操作されていないとは正直思えない。以下のGIF画像での真ん中あたり、花の小紋の色は変わっているように見える。が、光の加減でこう見える可能性は排除しきれないのかもしれない。

色の操作疑惑

 

このシーンはPhantomCameraというハイスピードカメラで撮影、全部で約12秒間。映像ではこのシーンは約38秒間。

 

Chris

Different side of Lalo a little bit I mean, even though he's still the stone cold killer and he's going to do what he's gonna do he doesn't want to have to kill these Peter wanted to have to see his family take it down either.

ラロを血も涙も無いサイコパスだと決めつける人が割合多いように思うが、これは少なくとも制作チームはそうは思っていない。Vinceも認めてる。

 

ティーザー最後のサフィロアネホのボトルストッパーはCG。ボトルストッパー自体が貴重だし、あんなに上手い事狙った所に落として止められない。

 

プールの中からのソウルの姿の立て看板を撮影したのはGoPro。

 

ラロが密入国しに行く最後のシーン、最初はドローン飛ばして撮影してみたけど、ニューメキシコには物が多すぎてメキシコ感が出せないから、スタジオ(=ミニチュア)で撮った。(少し理解が怪しい)

 

 

S6Ep02

ヴィンスが「Dial nine to get out.  (外線は“9”から)」(クレイグがキムに掛け方を教える所)を最初削ろうと思ったことを馬鹿だったと反省。(貴重なコミックリリーフなのに!)

 

ナチョが監視人がいるか確かめるために向かいの建物を監視しながらドアを開けるシーン、あのちょろっとした動きを撮るために100回くらい続けて撮影したとヴィンス。200回くらい撮影したが、上手くいったか確信が持てないとも

 

エアコンの室外機の穴から飛び降りるナチョはスタント。マイケル・マンド本人でも出来ただろうが、万一があってはいけないから。1回目は猫のように、スーパーヒーローのようにカッコよく着地しすぎたので、2回目はぎこちなく、足を痛めたように演じるように頼んだ。

 

来いよ仕草したカズンズにナチョが車で向かう直前のシーン、車のフロントシールドをカメラが貫通してるんだが、なんかガラス屋さんとうまい事やってとったらしい。言われるまで気づかなかったけど、直前は弾痕がいくつかあるだけで全部ある。(自分は余りこういう撮影上の都合について敏感でないので、言われて初めて気が付いた。すぐわかる人ってどれくらいいるんだろうか?)

フロントシールドの細工

 

アクションシーン(モーテルの外での銃撃戦の事だと思う)を撮るのに2~3日かかった。夏の暑い時期は暑過ぎて撮影できない時間もあるそうだ。

 

Lady Libertyの風船人形は高さ30ft(9.144メートル)

大量生産されたものじゃないから、同じものは北米中さがしても見つからなかった。

撮影地(アルバカーキ北西)は風が強く、壊れるのが心配だった。風が強くなると空気を抜いて、また膨らませた。

 

ケトルマンのオフィスのトレイラーはお金の都合でレンタルで、切ったりできなかった。狭くて撮影は本当に大変だった。

 

 

S6Ep04

ティーザーの例の赤い家はビジュアルエフェクト(実際には塗っていない)。

 

キムのベッドの上の鳥の絵(10個ある)はRheaが描いたそうだ。

 

S2でキムの部屋のセットが作られた時に、Rheaは家族の写真を置かない様にたのんだ。

キムは親族の事を知ってもらおうとはしない人だと思った、と。そしてそれは採用された。このセットが作られた時に暫くは死なないんだ、とRheaは安心したらしい。S1のキムの部屋(Ep03で電話のシーンに出てくる)は、ネイルサロンの2軒となりだったとか。

 

エルカミーノの外の監視車に近寄るキムのショット、車のフロントシールドは外してあって、最初は車の中にカメラがあったと。最初は乗ってる二人がカメラをよけて斜めになってた、と。光の反射とかが厄介だそう。

 

 

S6Ep05

ルイス・モンカダ(カズンズの一人)がボクシングシーンのファイト・コーディネーターの1人だった。

 

既存のボクシングジムは天井が低くて使えないから作った。

 

マルガレーテの家は、アルバカーキにある実際の家で、その周りはトラムも含めて全てCGだそうだ。Rodeo FXという会社が担当しているようで、該当会社のWebページにも言及がある。何か月もかかったとのこと。(rodeoという単語が最初何を指すのか分からなくて、以前のエピソードでもスルーした……)

 

門を飛び越えるラロはCGじゃない。

 

ラロがその本質を変えたのではなく、彼がこの女性に魅了され、彼女の弱さと彼女に引き込まれ、彼女の家で彼女を殺さない配慮をしたように感じてほしかった(監督のメリッサ・バーンスタイン

 

S6Ep06

 

カシミーロの代役レニーと、エリン ブリル(D&Mの女性の弁護士)の役者はリアルで親子。

 

獣医のボードに、ピーターは3枚の猫の写真を、Arielは猫と2枚の犬の写真を載せている。

 

「人消し屋をマイクは知らないがソウルは知っている」事の説明として、獣医の手帳を用意したそうだ。

 

探偵がハワードに渡した写真、ヴィンスは1枚か2枚でよくない?と言ったそうだが、ピーターが抵抗したそうだ。あの量を撮るのに相当苦労した、とも。

 

 

S6Ep07

シリーズを分割した理由は、後半が完成してないから、連続で放送する事ができないため。間の6週間に完成させるための仕事をする。

 

Covidに感染しない事に気を付けている。さもないと放送日に間に合わないくらい厳しいスケジュール。

 

ジミーとキムは本当に卑劣な事をやっているが、その自覚が無い。その報いを受けさせるにはあの結果が必要だった。この恐ろしい結末は、あの楽しいお遊びが引き起こしたものだ(ライター・監督のトム・シュナウツ

 

ピーターやヴィンスはパトリックに事前にこのエピソードで死ぬ事を知らされていたが、ボブとレイは、ここまで全く知らなかったそうだ。

 

ラロが洗濯工場監視のために潜んでいた排水溝は、実際にはアルバカーキにはない。デジタル合成だそうだ。

 

下水道の一部には、ナチョが沈んだタンカーを再利用したそうだ。

 

パトリックのホームメイドピクルスはめっちゃ旨いらしい

 

UNMの眼鏡と建物を出てからの長回し(120秒程ある)、ステディカムで撮った。残りはドリーで回りながら。

 

ADR担当のキャサリンが凄いと褒められてる。ADRは、撮影が終わった後で、いろんな理由で、映像を見ながら会話やハミング等の音声をとり追加する作業の事。S5Finaleでは、ラロとナチョの会話がコオロギの鳴き声が入ったからとりなおしたそうだ。ジャンカルロがヤギの声で邪魔されたこともあるそうだ。Dedicato a Maxの時かな?

また、音声がはっきりしない時にそれをクリアにする事もしているが、外野からすれば魔法にしか見えないと。他のテイクの音声を引っ張ってきたりするらしい。

 

ナチョがヘクターに、「その椅子に座らせたのは俺だ」と宣言したみたいに、ジミーとキムはハワードに「お前をハメたのは俺達だ」と宣言したかったし、ハワードは実際そう受け取った。ジミーとキムはこのことをしったハワードに備えなければならなかったが、何もしなかった(トム・シュナウツ

 

炭酸飲料のトリックは、トム・シュナウツが父親に教わった物だそうだ。

実際reddit等でやってる動画がある。失敗したのもあれば成功したのも。わりと長く(2,30秒くらい?)回したペットボトルは成功してた。

 

ゴキブリ(等、生き物)の撮影には忍耐が必要。

 

1:10:40秒あたりから、パトリックがボブとレイの物真似をする。一聴の価値あり。

「2人はハワードを死ぬ事を知っていたの?」ときかれ、以下のセリフを物真似でいう(連続はしてない)

 

Rhea: Oh, no, I just read 607...

Bob: Oh, this is great. I mean, it makes total sense, total sense. It's really great.

Rhea: Oh, no, oh, I'm gonna miss you. I don't want to go

Bob: Oh, good choice. Good choice. You go out of luck.

 

一番最後のタイトルコールでも物真似してるんだが、マイクの物真似でいいのかな?

 

American Greed / The Kettlemans

Mid Season Finaleから、後半が始まるまでのボーナスPodcast #1。

「American Greed」という実在の、ホワイトカラー犯罪を題材にしたドキュメンタリー番組のフォーマットにのせて作られた、Better Call Saul Season6の宣伝番組。以下のリンクで見る事が出来る。

www.youtube.com

Youtubeに付いてる自動翻訳でもだいたいの雰囲気はわかるので、興味があれば見てみよう。検事のスザンヌやビル、ケトルマン夫妻やリッチ・シュワイカートらが「証人」として登場する。

 

ヴィンスがジュリー(ベッツィー役)にActor/Actressどちらで呼ぶのが良いか尋ねる。ジュリーはどちらでも構わない、と。レイ・シーホーンはActorを好むとも。

 

ジュリーとジェレミー(クレイグ役)は、本件の仕事以前には面識がなかった。

 

ボブ・オデンカークとジュリーはFARGOで共演していた。2人ともリハーサル好きだそう。

 

S1Ep07 22分あたりで、クレイグがコーヒーのおかわり欲しがってるのに、ベッツィーがウェイトレスに「結構です」のジェスチャーをして、結局クレイグはコーヒーを飲めない。このこと、ジュリーは全く覚えていないそうだ。S6Ep02 26分ごろ、デイビス&メインでクリフとケトルマン夫妻が話している時に、クレイグが結局コーヒーを飲めない描写はその繰り返し。

 

ジュリーがベッツィーのセリフで一番好きな物はアメリカングリードでの「私たちは生存者です(We're survivors)」で、それはキャラクターの核心を突いたセリフだからだそう。

 

アメリカングリードでは、Eric Khanという弁護士を取り上げた回があるそうだ。

 

余談:Youtubeでダイジェストが見られるが、これを見るとソウル・グッドマンとの類似点が数多くある事にびっくりする。

www.youtube.com

弁護士広告を飽和的に実行した最初の弁護士だそうで、町中に自分の写真入りの広告を大量に配置したり、テレビ・ラジオでも大量のCMを流し、大々的に売り出した。150万ドルの豪邸を現金で買い、ロールスロイスにのり、高級スーツを着て、派手で、自分の法律事務所の駐車場に50万ドル以上かけて19フィートのリンカーンの像を設置した、とある。

 

ヴィンスはこの男について我々は知らなかった、と言っている。

 

アメリカングリードの中で、ついにコーヒーを飲めたクレイグがネタにされている。

コーヒーを飲むMr. Kettleman

 

アメリカングリードの制作に通じているのはアメリカングリードの制作陣なんだから、聞かれたことにどうこたえるかと言う事は別にして、そのほかは全てアメリカングリードの制作陣に任せた(ヴィンス

 

アメリカングリードはCNBCの番組で、ベターコールソウルはAMCだが、放送局を超えたコラボレーションがあった。

 

Podcast内で、「No Picnic」というショートフィルムにも触れられている。

www.youtube.com

3分弱で殆どセリフも無い作品だが、ケトルマン一家を描いた印象深いものなので、見た事が無ければ見てみてほしい。

 

 

Mark Margolis

最初はトゥコがウォルターとジェシーを拉致したシーン以外の出演予定はなかった。

 

顔の演技は脳卒中を患った義理の母から盗んだようなものだ。

 

 

エピソードが追加されれば、その分更新する。