toorisugari3のブログ

ベターコールソウルの事について、ネタバレ込みでつらつらと

Better Call Saul関連ふせったーまとめ

ネタバレを含みます。ネタバレ回避のためのふせったーなので当然ですが。

サービス存続できない可能性がでてきたのでしょうがなく。

水平ラインの上がTwitterでもみえる部分、下がリンク辿らないと見えない部分。上でもオレンジ色の部分はTwitter上では伏字(1文字ずつ「〇」になる)。

 

 

 

午前2:38 · 2022年4月28日 / 603でのナチョの中の人インタビュー

ベターコールソウル603を受けてのナチョの中の人インタビューが良すぎたので、機械翻訳ででも見てほしい。
URLもネタバレだから短縮URL使うけどtvinsiderの記事です
#ネタバレ
https://bit.ly/3rVYRgK

Breaking Goodて……

ジミーもマイクもキムも、みんながBreaking Badしてる中、一人だけBreaking Goodして死んでいったナチョ、マジでほんま……

 

午後10:32 · 2022年5月23日 / ベターコールソウルS6Ep07展開の予想

ベターコールソウルS6Ep07展開の予想

ネタバレになる部分は絶対あるのでふせったーで

ハワードが雇った探偵はジミーとキムの仕込み。これは99%間違いない。作戦ボードや、写真からわかる。ハワードはカフェイン耐性がなく、ジミーは逆にありまくりなので、瞳孔を開く薬でハワードがヤバい事になる。失明とかかな?ガスとラロが地下ラボで対決。ラロはまだ死なない。あとは分からない。
 

午後9:24 · 2022年5月24日 / ベターコールソウル S6Ep07感想

ベターコールソウル S6Ep07 ミッドシーズンフィナーレ
感想 勿論完全にネタバレ

後半は7/12開始(USでは7/11)

まず予想(https://twitter.com/TorysGirly/status/1528730644871667712
)の答え合わせから。
探偵は仕込み○ ハワードが瞳孔開く薬で重大事故× ラロは生き残る○

ハワードに薬を盛る事に関しては完全にミスリードにのせられてしまった。ただ、ラロが死なない事と、本エピソードのタイトル「Plan & Execution」から、ハワードが死ぬ事は予想できてよかったなぁと見てから思った。Executionには処刑の意味もあるからだ。日本語タイトルは訳さないでほしかった。プラン&エクスキューションでいいじゃんね……



まず意表を突かれたのがカメラクルーメイク担当のコスプレw眼鏡のレクチャー中断と対になるやつ。めっちゃ笑かしてくれたwあと、内向きにぐるぐる回るカメラのシーンも印象的。


ハワードのアークが本当にすごかった。会議室で車椅子のアイリーンのために椅子をどかすところ、ケイリーにチャックの話をするところ、常に不測の事態に備えていたというところ、そして偉大な法律家と呼ばれたいというケイリーに「もっと大事な事もある」と遠い目をするところ。
写真のすり替えも意表を突かれた。マイク担当が変な恰好してるなぁとは思ったがw その後のアイリーンのセリフ「いつもこうなの?」がニクい。
薬の件で、ハワードが車椅子を用意したところで、アイリーンに害が及びませんように!と祈ったのは俺だけじゃないはず。本当に良かった。

作戦ボードにあった25minの付箋、瞳孔が開くまでの時間なんだろうが、ジャストタイミングだった。薬に触れてから25分は経ってないと思うが、ハワードとジムの日頃のカフェイン摂取量の違いはきちんとジミーとキムの考えに入っていたわけだ。



ラロパート
カーサトランキーラにスペイン語で電話したのは、取り次いだ職員がスペイン語話せない事を確認するため。前回と同じ慎重さ。盗聴に気づいた後の立ち直りの早さも流石のラロ。
ヘクターへの電話を切った後、クカラチャ(訳したくない)を見たのは秀逸すぎた……S5Ep08で、ラロはキムに夫(ジミー)の事をラ・クカラチャだと言っている。

マイクがガスに言った「優先順位の低い標的の護衛を回している」もそうだ。これでジミーとキムへの監視が解かれた。マイクS6では裏目ばっかり。



そして最後のシーン。キムが珍しくピンクの服を着ていてびっくりした。ピンクと言えば若さやナイーブさを表す色。ただ、キム=若い・ナイーブ??と疑問だったが、もう一つ、「悲劇」の色でもある。cf. ピンクベアー

ドアが開いたときに大きく揺れるろうそくの炎。入ってくるハワード。キムに「こんな道を選ぶなんて」。そしてキムの「You are done, Howard.」。「You did it for fun」。
FYI、ハワードがいう「Leopard and Loeb」は、自分達の頭の良さを示すためだけに14歳の少年を殺した2人の犯罪者の事。



ハワードの演説の最中に再び揺れるろうそくの炎。
そしてまた聞く事になる「Let's talk


個人的には、ハワードが自分を通して逝ったのが最悪の中での良かった所かな。不測の事態にもなんとか耐えて立て直していこうという気力を持っていたところに、最凶最悪のラロにExecutionされてしまったが。

Breaking Bad S5Ep15 オジマンディアスでは、悪事とは無関係なハンクが殺されてしまう。本エピソードのハワードはハンクと等しい。ハワードも殺されるような罪は何も犯していない。悪を描くドラマにおいて、因果応報は強調されるべき事だが、ハワードもハンクもその理の外側に居る。だからこそ彼らの死が辛い。ナチョは最終的にBreaking Goodしたとはいえ、因果応報ではあった。
ハンクに負うものがあるのはウォルター一人だが、ハワードはジミーとキム二人が負うべき十字架になった。
ジミーはチャックの死にも負うべきものがある。

Breaking Badで、ソウルがあれだけラロを怖がっていた理由が明らかになってしまった。未だナチョをどう絡めるかは不明だが……



それにしても、本作における2本の柱、弁護士パートとカルテルパート。この2つをここで交錯させ、ラロにハワードを殺させるの、本当にもうなんというか。
冒頭にも書いたとおり、予想はできてもおかしくなかったとも思うんだけど、煙幕の方に気を取られてたなぁ。

S6Ep05 Black and Blue後のインタビューで、ハワードの中の人が「シーズンフィナーレまで見たら、ハワードがBreaking Badの時代に何をしているのかわかりますか?」と聞かれ、「Yeah, absolutely. I think so. You’ll definitely know where Howard is.」と答えてた。まさかこんなに早く分かってしまうなんて。
https://variety.com/2022/tv/features/better-call-saul-boxing-patrick-fabian-1235262029/


Breaking Badはグスタボ・フリングっていう斬新な悪役造形をしたが、Better Call Saulはエドゥアルド・サラマンカとかいう悪魔を創造してしまった……どこが新しいとかそういうんじゃなくて、怖さが半端ない。
 

午前0:33 · 2022年5月26日 / 607 チャックとハワード

ベターコールソウル S6Ep07、Insider Podcast聞くまで思い出せなかったがジミー達がハワードにした事って、ジミーがチャックにした事と殆ど一緒なんだな。なんで思い至らないのか。理由は違うけど死に至る所も同じ……
 

午後0:54 · 2022年5月29日 / キムのキャラ設定

ベターコールソウル インサイダー ポッドキャストきいてて知ったんだが、キムは母親の写真を1枚も飾ってない一方で、イヤリング・ネックレスはS1からずっと付けてる。一面的で単純なキャラじゃないから深みが出るのかね
 

午後9:50 · 2022年7月26日 / 610 感想

ベター・コール・ソウル S6Ep10 とりあえず簡単な感想

スローな回になると思ってたが予想通り。勿論それにもかかわらず、退屈とは無縁。むしろ終始ゾクゾクしっぱなし。

NippyでS5Ep01フラッシュフォワードの続きを想像したがビンゴ。

タイトルコール演出のルーチンワーク崩し。ルーチン崩しの威力は絶大だ。
知ってる人は知ってるだろうけど、オープニング映像は何話はこれ、というのが決まっている。シーズンを重ねるごとに映像が白黒になったりノイズが増えたりしていくのも非公式ファンサイトの人が指摘していた。
01自由の女神
02キャデラック
03天秤を灰皿に
04引出の使い捨て携帯
05ベンチの広告
06荒野の公衆電話
07金魚運動器
08ネクタイとタランチュラ
09小便器のマッチブック
10落ちるマグカップ
今回Ep10なので落ちるマグカップなのだが、最後を変えてきた。これだけで30秒くらい過呼吸になった。自由の女神が映り込むのはS5からで、S4まではなかった。
残り3エピソードのタイトル画面がどうなるか非常に楽しみ。また1から、とはならないのでは?今回の特殊演出で「終わって」しまったので。


ジェフと2人になり、今エピソードでやる事を持ちかけるシーンで、ハッピーエンドもキムの再登場が無い気がした。理由がはっきり言語化できないんだけど、自分がやってしまった事と向き合う気が無いと、そちらの方向には進まない気がした。

S1Ep01ではレモン果汁入りのラスティーネイルだったのに、ドランブイのボトルが見えない。何故?
Stashからピンキーリングを取り出してはめる。サイズ調整用の赤い糸が見えなかったきがするが、白黒なので確かではない。

何をしているのか分からないが、何かをしている事が延々と示される。ジミーやソウルよりもマイクやナチョの仕事に近い。初回はBGM無しで、2回目からはBGMを入れるのが好き。この辺で全編モノクロで行く気だな、と気づく。この辺りまでずっとどこから色がつくのかと身構えてた。

キャシーへの電話を切ったあとの無音のpoof。無音である必要性も見当たらないし、記憶に無いので印象に残る。

計画中の予定外アクシデントは、ゴルフクラブでのケヴィンや、カシミーロ元判事の骨折ギプスへのコールバック。カシミーロの時と違い、今回は助けてくれるキムは居ない。有音のPoof。久しぶり。

What's the point、比較的使われるイディオムだが、S3Ep10でチャックがジミーに1シーンで3回も使うのが強烈に印象に残っている。ジーンはここでは2回言って、その間に1回、Wha...で止まったのがある。(不正確な描写を微修正)

Say it. はS5Ep01でのジェフのセリフのコールバック。立場の逆転も。

ジェフに知らないふりをしろと言ったのに、マリオンには口止めできない。仕込まれたネタ。
ニッピーを忘れていたのも油断の暗示。


モノクロのままで通したのは、恐らくこれがフラッシュフォワードシーン(エピソード)だからだろう。
次のエピソードでは時代が戻る可能性が高いのではないか?
 

午前11:33 · 2022年7月30日 / S6のエピソードタイトルについて

ベター・コール・ソウル、エピソードタイトルが出そろったみたいだけど……「Saul Gone」て。
シーズンアートのあの赤いジャケット羽織ろうとしてるジーン、実は逆で脱いでる途中だったりするの……?
 

午後11:51 · 2022年8月2日 / 611 感想

ベター・コール・ソウルS6Ep11 簡単な感想。とにかく予想の逆ばかりをつかれたエピソード。
オマケ https://www.oakley4defenselaw.com

(予想)ジェフィー、マリオンはもう出てこない→(現実)出てきた。次も出そう
BrBaS2Ep08のソウル視点みたいな安直な感じにはしてこないだろう→してきた
ジミーは自分をここまで追い込んだものと向き合う気になった→なってないどころかまさかのBreaking Bad Again
11/12午後3時の電話はキムから?キムについて?→まさかのソウル本人
エンディングの方向性はGood/Badどっちも匂わせられるように→一気にBad方向へ
わろてしまいますwww

タイトルコールはジーンの椅子のひじ掛けに置かれたラスティネイルか?

キムの勤務先への電話、キム自身が断るように会社に言ってあったのか、それともキムが出て会話した上でのあの逆上なのか。

BrBaS2Ep08以外のコールバック
フランチェスカのdude→スカイラーのyo
ジェフ「So, we're back in business」→ウォルターとジェシーで何度もやったやつ。特に最初の奴かな?S1Ep05ラスト。
カラオケ→S4Ep10
寸借詐欺→S1Ep04, S1Ep10
Viktor→S2Ep01
娼婦→S6Ep09
Swing Machine→ソウルのお気に入り


これまで、フラッシュバック・フラッシュフォワードの使用は相当小さい物を限定的に使うだけだった(S1Ep05 Five-Oは例外)のが、一気に解禁してBreaking Badとジーンタイムラインを強く撚り合わせてきた。ジミーの「Breaking Bad Again」を強く暗示する。
ウォルターとジェシーがソウルを脅すために掘った穴に、ジーンが埋葬されるかのようにみせかけ、ジーン宅ベッドで寝てるシーンへの場面転換、これもBcSでは今まで記憶に無い演出。とにかくBad End方向に一気に加速してしまった……

なにより、ジミー/ジーンがジェフ友を追い出すシーンは、ほとんどウォルターと言っていい態度だった。
エンディングがBad方向でも、BrBaのような派手なアクションは望めず、Good方向ならそれはそれで大工事が必要になるこの話、あと2話でどう転がすのか。
 

午後11:04 · 2022年8月9日 / 612辛い

ベター・コール・ソウル S6Ep12 あまりに辛すぎる。フロリダのキムは明らかに自分をさらけ出せていない。辛うじて暴力は避けられてはいるがジミーは粗暴さが加速。ヴィンスは俺達の心を殺しに来てる
 

午後11:15 · 2022年8月9日 / BrBaとBcSの終わり方

Breaking Badはウォルター自身も視聴者もカタルシスを得られる形で終われたが、Better Call Saulはそんな道筋が微塵も見えない。ひたすらキャラを叩きのめすだけで終わるとも思えないが、そんな道残ってるの??
 

午後10:31 · 2022年8月13日 / 612が辛い理由

ベター・コール・ソウル S6Ep12 なんでここまで辛いんだろうと思ったらコミカルシーンが他と比べて異様に少ない。柱が倒れるところ、ジェフィーの事故、ジェシーの話すコンボの話の3つくらいで、柱は純粋コミカルでもない。
 

午後5:48 · 2022年8月16日 / フィナーレ 最初の感想

#ベターコールソウル 最終話
チャックとのシーン本当に嬉しかった。チャックの「お前の事なんてずっとどうでもよかった」が捨て台詞だったと俺は取った。
 

午後7:07 · 2022年8月16日 / フィナーレ 一番うれしかった事

ベターコールソウル最終話 何よりうれしかったのがジミー/ソウル/ジーンが、最終的に自分のアイデンティティをジミーだと結論付けて、罪と向き合う決断をした事。キムの事は恐らく副次的な事で、メインではないはず。
 

午後9:47 · 2022年8月17日 / フィナーレ 法廷シーン

ベター・コール・ソウル最終話、法廷のシーン冒頭、流れる曲はThe Harmonizing Fourの「All Things Are Possible」。

まとめ的な感想はもう焦る必要が無いのでゆっくりやろう……

チャックの「People don't change. 」「He'll never change.」に対しての解答。この法廷シーンを象徴する、というよりはこのBetter Call Saulシリーズのメインテーマと言ってもいいシーン。そして自分が一番欲しかったこたえでもある。「人は変われない」では救いが無さすぎる。All things are possible. If you'll only believe.
7年半の刑期を蹴って、86年を勝ち取るための衣装。光沢スーツに派手なカラーシャツ、けばけばしい模様のネクタイ。ソウル・グッドマンは最後の陳述を終え、ジミー・モーガン・マッギルに戻る。

このシーンで「ジミーが保険会社にタレこんだ事がチャックの自殺の原因であった」事をキムも初めて知る。天を仰ぎ見るキム。

S1や今回のフラッシュバックで、献身的に兄チャックの世話をしていたジミーは間違いなく、シセロのSlippin' Jimmyではなかった。金銭的な困窮に陥らなければ、スケボー兄弟に当たり屋させる事も、トゥコとの出会いも、ナチョやラロとの出会いも無かったかもしれない。現実はジミーの痩せ我慢からそうは行かなかった。ソウルへと変貌し、そしてさらにジーンもウォルター化しはしたが、最後はJimmy's Back。みんなの愛したジミーが帰ってきた。
 

午後10:32 · 2022年8月17日 / フィナーレ ブルーベル

ベター・コール・ソウル最終話 たいした事ではないのだが予想と大きく違った事の一つ。ソウル・グッドマンはチョコミントアイスが好きだった事。ラロの象徴でもあるあのアイスは、ソウルにとっては勝利の味になってたのな……きつい
 

午前1:12 · 2022年8月18日 / 611タイトルがBreaking Badな理由

ベター・コール・ソウル 今頃S6Ep11の話だが2010/11/12が誕生日なのは勿論覚えてたんだが、50歳の誕生日なんじゃん…… https://i.imgur.com/BHg92DO.jpg そりゃぁタイトルBreaking Badだわ
 

午前2:14 · 2022年8月18日 / アルバカーキアイソトープについて

ベター・コール・ソウル最終話タイトルコールアルバカーキアイソトープ。癌の象徴かと思ってたが、ジミーがキムというショックによってソウル、ジーンという不安定な同位体を経て、最終的にジミーという安定同位体になったという事?

うーん、もうちょっと考えよう。ここまで頻繁にあのAirfreshenerを映した明確な理由が絶対にあるはず。

仮にこれが正しければ、だけど、最後に刑務所で会った時のジミーとキムは、最早一緒に居ても毒にはならない組合せになっていたようにしかみえないな。キム自身も半減期の短い放射性同位体になってたのかなぁ。
 

午後8:55 · 2022年8月18日 / フィナーレ 人格変遷

ベター・コール・ソウル最終話 ジーンがソウル・グッドマンに戻ったのは留置所の「MY LAWYER WILL REAM YOUR ASS」を見て。そしてソウルがジミーに戻ったのは飛行機でビルからキムの事を聞いた瞬間。

その手があったか、と。シーズンポスターの赤いジャケット、やはりあれはソウル・グッドマンの証なんだ。それを着て弁護士になる。
「キムのためにジーンからソウルになる」なんてヒロイックで単純な子供じみた予想をしていたけど、そもそも弁護士資格を失ったソウルに戻って何ができるんだ?とシーズンポスター見てからずっと考えてた。

弁護士資格を失っても弁護できるケースが1つだけある。対象が自分自身の場合だ。
なんで思い至らなかったんだろう……。キムを助けるためという想像があまりに魅力的に思えたためにそこから出られなかったのかな。

飛行機の中でキムの事を聞いたソウルは、マリオンの「信じていたのに」を聞いたときと同じく正気を取り戻した。そしてキムを法廷におびき寄せ、「ソウル・グッドマン」を最後の舞台にあげて、赤いジャケットを脱ぎ、ジェームズ・モーガン・マッギルとして86年の刑期を勝ち取った。
 

午後9:35 · 2022年8月18日 / フィナーレ タイムマシンについて

ベター・コール・ソウル最終話 タイムマシンについて

最終話のフルカラーパートは3回で、これらは全てタイムマシン関係のフラッシュバック。


1回目はTeaserのマイク。風車くみ上げの井戸にたどり着いたのは、S5Ep09冒頭で、携帯がつながった後、人里に出るまでの間。ボトルの尿でそこしかない。マイクは初めて賄賂を受け取った日に戻りたいと、自らをさらけ出す。

一方ジミーは金の話でとぼける。チャックの事に向き合えていないから、というよりはS5Ep08ラストでチャックの象徴であるSpace Blancketを捨て去り、頭の中から追いやってしまった後だから。


2回目はウォルター。Breaking Bad S5Ep15 The Granite State TeaserとA1の、Best Quality Vacuumの地下室に居た時。エゴの塊ウォルターはグレイマターに残っていたら、というもの。
ウォルターはそこまで優秀な化学者でもなかったなんて説もあるし、そもそも2人に追いやられたってのが嘘で、自分がグレッチェンの家の裕福さに気後れして逃げた事をここでも誤魔化してる。

ここでジミー/ソウルが挙げたのは若い頃の詐欺で実際に膝を痛めてしまった事。BrBaS2Ep08やS1Ep03で膝が悪いと訴えている。この時点ではキムとの別れの反動でソウル・グッドマンになっていた時期。
ウォルターに「So you are always like this.」などと言われてしまうが、ミスタホワイ、あんたもそうでっせ。


3回目は法廷シーン直後、チャック。Better Call Saul第1話よりも前の時点。1話ではフィナンシャルタイムスを届けている。1回目2回目と同じく、このフラッシュバックはタイムマシン、いや後悔についてのシーンなのは明白だ。

チャックはいつも本心ではない建前を発話するのだが、このシーンではすべてのセリフが一応は本心から出てるように見える。
「配達は事務所に頼める。なんでお前がやるんだ?」は実はあまり顔をあわせたくないのだろう。
それでも、事務所を構えようとしている時にまで「自分がやる」というジミー。何故か?「Because you're my brother, duh.」。これはS2Ep08のチャックのセリフ「But if things were reversed......I hope you know that I would do the same for you.」と対になる。
個人的な解釈では、ジミーのセリフは義務感ではなく、家族・兄弟としての忠誠心から、チャックのは恐らく義務感・社会的な体裁を気にして、と微妙に動機は異なっている。

それでも。「Well, you could stay for a while. We could talk.」少し話をしていくか?とチャックは譲歩してる。結局ジミーは忙しくてまともに付き合おうとしなかった。

ジミーの「後悔」はこれなんだろう。ここで腹を割って、もうすこし話をする事が出来ていたら分かり合う道がひらけていたかもしれない。そこまでいかなくても、少しは今が変わっていたかもしれない。

「今の道(弁護士)が嫌なら、道をもどってやり直してもいいんだぞ」。このチャックのセリフも、同じ弁護士という職業についていてほしくないというチャックの本音・願望が漏れたものだろう。
それに対してジミーは「兄さんは道を変えた事があるかい?」。チャックを尊敬し、ロールモデルとして近づきたい一心のジミー。

もし今チャックが「86年の刑期を勝ち取った裁判でのジミー」を見れば、ジミーが司法試験に合格した時に、ハワードにHHMでは雇うなと言った事が「後悔」になるのだろう。
 

午後10:04 · 2022年8月21日 / フィナーレ タイムマシンについてPart2

ベター・コール・ソウル 最終話 タイムマシンについてPart2

ブログの方にまとめて載せようと思ってたんだけど、遅くなりそうだから……
#ベターコールソウル

ジミーは後悔できない人だとの意見を見かけたが、これは作中描写によりほぼ明確に否定できると思ってる。タイムマシンはウォルターが看破した通り、「後悔(regret)」のメタファーだ。HG.ウェルズのタイムマシンが登場するのは、時系列的順番ではS6Ep03と、S6Ep01 Teaser。ハワード死亡前から、ソウル・グッドマンとして逃亡するまで、ジミーはこの間ずっとタイムマシン=後悔を持っていた事になる。

そして、マイク・ウォルターとの会話ではとぼけたが、チャックとのフラッシュバックはジミーが本当に後悔していた所だ、とうけとるのが自然だ。明確に一つのセリフを挙げると「You know, I'm gonna take a pass on the heart-to-heart, Chuck.(腹を割って話し合うのはまたにするよ)」ではなかろうか。
このシーンでは、チャックは色んな本音や建前もありながら、表に出した言葉自体は全てうその無い言葉だ。ここで腹を割って話していれば、違った未来があったのかもしれない。



また、フラッシュバックシーンの終わり際、チャックはペーパーバックのタイムマシンとランタンを手に取り、家の奥へと消えていく。

これはジミーがずっと後悔を抱えていたというのと同じで、チャックも後悔を抱えていたという事だ。

ところで、チャックとのフラッシュバックシーンには明確な矛盾が1つある。それはジミーがしているピンキーリングだ。細かく見られる場面はないものの、ジミーがつけるピンキーリングといえばマルコの遺品としてもらったものだ。S2Ep01ではこのピンキーリングを見咎められて「そんな変なピンキーリングまでしちゃって、マフィアにでもなったつもり?」と言われている事から、これ以前にピンキーリングはしていなかっただろうことは強く推測される。

一方で、この場面はBetter Call Saulの第一話よりも前の時系列となる。基本的には前へ進んでいくだけの話で、マルコの形見分けでピンキーリングをジミーが得たのはS1Ep10での事。これは明確な矛盾だ。


もう一つ、カウンターにおいてあったウェルズの「タイムマシン」のペーパーバック、チャックが動かした素振りは無いのに、最後にチャックが手に取る場面とその直前では起き場所が変わっている。

これは普通なら明確なミスとするのだろうが、この場合一つのヒントになるのではないか?と考える。ウェルズのタイムマシンは本当は無かったのではないか。チャックにタイムマシンを持たせたのは、チャックにも後悔があったという事を示すため、という事だ。


明確な証拠のある話ではないが、このチャックとの会話自体は実際にあったものなんだと思う。そこに、マルコのピンキーリングと、後悔のメタファーとしてのタイムマシンを置いたのは、制作陣からのファンタジー・幻想であるという事の示唆だ。

チャックが「ペーパーバック」の、古典的SFの中編である「タイムマシン」を読むようなタイプの人間か、という疑問もある。チャックがまだ若い頃なら違和感はない。しかし、あの年のチャックが読むにはあまりにふさわしくない。S1Ep01時点ではチャックは58歳だ。

実は愛読書でした、という可能性よりも、幻想であると取る方が、少なくとも自分には説得力のある、納得できる話である。


本件が、ベター・コール・ソウル最終話で、自分が最も注目したい事2つのうちの1つだ。
 

午後11:34 · 2022年8月21日 / フィナーレ ソウルの顔

ベター・コール・ソウル最終話、法廷のシーンでのジミーが他のシーンと顔が結構違ってて、多分なんか処理してるんだとおもうんだけど、個人的にはボードウォークエンパイアのナッキーことイーノック・トンプソンみたいな目だなぁと思った。

設定的には2人ともIrishAmericanではあるなぁ。役者もルーツ的にはIrishなのか。ブシェミはIrish&Italian、ボブはIrish&German。
 

午前0:08 · 2022年9月6日 / BrBa/BcSの始まり方終わり方

Rollingstoneの最終話Reviewでも触れられてたけど、BB/BCS最終話の共通点と相違点。逃亡中の主人公がAlbuquerqueに戻ってきてex-wifeと邂逅して、やりたかった事をやる。贖罪の存否が相違点。

そもそも始まりも「金に困って」なのが共通で、しかも頼ろうと思えば頼れる相手が居たのも同じ。ウォルターはグレッチェン夫妻、ジミーはHHM。そもそもBreaking "Bad"と"Better" Call Saul、Walter "White"& Jesse "Pink"man 、"Kim" Wexler&"Saul" Goodman。対にするのが好きよねぇ。

まぁなんでBcSの主人公sの名前がKorea繋がりなのかはよくわからんが(韓国系のmobは何人か思い当たるけど)……
 

午前2:35 · 2022年9月23日 / 410 Winnerでの演説に対応するBrBaのイベント

BcS 410 Winnerのジミーの演説に対応するのって、BrBa 301の体育館のアレなのかね共通点多いわけではないが。追悼リボン付けてないの大人はウォルターだけで(WikiみたらJr.とWaltだけってあった)、

ウォルターは、自分がジェーンを殺してそれで167人の乗客を殺して、ジェーンの父親まで殺したようなもんだっていうのは分かってるはず。分かってるからこそ追悼リボンもつけられないし、
I guess what I would wanna say is to look on the bright side.
とか
We will move on, and we will get past this. Because that is what human beings do, we survive, and....
We survive and we overcome. Yeah. We survive. We survive and--
なんて会場全体を唖然とさせるような事を言ってしまう。

Winner演説がしょってるのはチャックの命で、こっちは169人の命。
両方ある種の自己正当化でもある。

BrBa S2見返してて思ったけど、BrBaはイベント密度が濃い。そんでそのイベントの組み合わさり方が酷い。理不尽とか繋がらないって意味じゃなくて、あまりに不幸すぎるって方向で。
最後の方だけみても、コンボの死でジェシーが薬に逃げてジェーンにも。バッジャー問題で仲間入りしたソウルがガスへと繋げて、ガスから得た金がジェーン暴走のきっかけになる。ウォルターは偶然パブでジェーンの父親に出会って家族を諦めるな、と言われてジェシーのもとにむかった挙句、ジェーンを殺してしまう。

ウォルターがジェシーを揺すらなければジェーンも側臥してたから吐いても死んでなかったのに、間接的にジェーンを仰向けにして、吐いたのを見ても放置したのが飛行機事故と、ジェーン父の自殺に……ってどんだけ酷い不幸の連鎖の仕方なんだって。


イベント密度が高い分、BrBaはキャラクターの心情は分かりやすくて、理解に苦労するところがBcSよりも相当少ない。
 

午後6:19 · 2022年9月24日 / ブルーベル 花の名前

ファンダムWikiの各エピソードのTrivia、S6後半見てなかったから纏めて見たけど、ブルーベルって603Teaserで映される花の名前でもあったのか。ナチョとソウルの行く末が対比されてたのは気づかなかったな……
 

午後3:24 · 2022年9月25日 / モラルセンター

ベターコールソウルは、このモラルセンターであるキムのモラルがどんどん侵食されて、最終的にソウル爆誕起爆剤になるのが好き。侵食速度がSeason重ねるごとに加速してるのが縦で追うとよくわかるのも
 
 

午後4:48 · 2022年9月25日 / ウォルターとガスの類似性

先日ジミーとナチョの類似性を指摘されてうわああってなってたけど、BrBaでもウォルターとガスの類似性がhttps://breakingbad.fandom.com/wiki/Felina#Trivia の最後から2番目で指摘されててうわああってなった
 

午後8:11 · 2022年10月2日 / Breaking Bad時のインタビュー記事を読んで

Breaking Badの時のインタビュー記事とかあんまり読んでないのでぼちぼち手を出してるけど、当時のネット記事残ってるの有り難いね……

このTheHollywoodReporterのBrBa直後のPeter Gould

へのインタビュー、https://www.hollywoodreporter.com/tv/tv-news/breaking-bad-producer-walts-finale-639168/

「Is it redemption for Walt in a way?」て問いに
「In the end, does it redeem him? How can you redeem yourself after all this death? I don’t think it is redemption. But I think it is a tiny bit of insight.」て答えてて少し安心した。

直後「He had the chance over and over again to be a good guy.」とも。これはどっちもだよな。ジェシーはどうなんだろうか。


https://www.newyorker.com/culture/the-new-yorker-interview/vince-gilligan-wants-to-write-a-good-guy
こっちのNewyorkerのVinceへのインタビュー、こっちはBcS後の最近のだけど、ほんと良い記事。

Q
I rewatched the entirety of “Breaking Bad” recently. My love for Walter White has dissipated. And my love for Skyler White has only grown.
A
After a certain number of years, the spell wears off. Like, wait a minute, why was this guy so great? He was really sanctimonious, and he was really full of himself. He had an ego the size of California. And he always saw himself as a victim. He was constantly griping about how the world shortchanged him, how his brilliance was never given its due. When you take all of that into consideration, you wind up saying, “Why was I rooting for this guy?”

Breaking Bad、見直すとウォルター最初から傲慢で嫌な奴だなぁってなるんだけど、初見時はさほど思わなかったんだよな、たしかに。やっぱ癌宣告ってそれくらいのインパクトがあるのかな。最終話で死ぬまで死なないという事が分かってしまうと癌の恐ろしさよりもWaltの行動そのものに目が向いて……ってことなのかね。
それがthe spell wears offってことなのかな。

Skylerやその役者へのバッシングについてもVinceは心痛めてるよう。
Skyler叩きのミームは未だにBetter Call SaulのRedditサブレでも頻繁に見られるし、こっちの呪いは解けないのかねぇ。

あんま大っぴらには言いにくいけど、Better Call Saulで「弁護士パートおもんない、マイク・カルテルパートだけやってほしい」とか公言しちゃう人の大多数はBreaking BadでSkyler叩きやってるイメージがある。何の証拠もないけど。

そうじゃなくて、単純に弁護士パートに興味がない人なら、多分10年後とかにみれば全然印象変わって見えるんじゃないかなぁ、Better Call Saulの弁護士パート。自分も若い頃だとここまでハマれたかは割と怪しいし。
 

午前0:25 · 2022年10月19日 / 410 Insider Podcastの感想

ベター・コール・ソウル 今更だけどS4Ep10 WinnerのInsider Podcastを聞いた(読んだ)ので感想を。
1時間52分もあって非常に疲れたがとても面白かった。
#ベターコールソウル

1時間近くは集中して聴けるけど、それ越えると色々パンクして休憩一杯挟みながらじゃないと聴けなくなる……聞いていても単語を聞き取るだけで文章の意味が頭に入ってこない。もっと英語上手くなりたい。


■ソウル・グッドマンの哲学
Peter Gouldは、奨学金候補生の1人である万引き少女への演説をソウル・グッドマンの哲学と評する。そして、Esteemの中で泣いたジミーについてこう言っている。

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I think, you know, he's crying over Chuck and something that Bob said to me once he's crying over Chuck, he's also crying over what he's become.
He's crying over the fact that what he said to that girl, is what he really believes. And he knows that he knows that's wrong.
彼はチャックのことを思い出して泣いているんだと思う。ボブが僕に言ったんだけど、チャックのことを思い出して泣いている一方で、自分がどうなってしまったかについても泣いている。
自分があの子に言ったことが、本当に信じていることなのかっていうことに涙してるんだ。そして、それが間違っていることも知っている。
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自分はS6開始以前にこのシーンについて
https://twitter.com/TorysGirly/status/1508043205694324744
あたりのツイートでこう書いた。
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Winners Take It All。一度LoosersになってしまうとWinnersには返り咲けない。
でも、本当にそうか?Davis & Mainは拾ってくれたのに。あのままで居ればWinners扱いされる人生もあったのに。世界は本当は優しかった。それを自分で壊してしまった。

ジミーはこれ、忘れてるようにみえる。
<<<

ジミーは忘れてるって思ってたんだけど、Peterの言う通り、わかってるんだね。はっきりとかぼんやりとか無意識にか、わかってるからこそあの慟哭に至る。一歩手前まで行っておきながらなんで最後間違えるんだろう(自嘲)。

Peterの後にエグゼクティブプロデューサーのMelissa Burnsteinはこう言っている
>>>
Or what about always being outsider? I mean, I read it different, but it's like he is that's his lot in life and and it's going to turn him into someone he doesn't want to be. But like he just keeps getting forced up against that reality. And I think it's really, really painful.
あるいは、いつもアウトサイダーであることについてはどうですか?つまり、私は違う読み方をしたんですが、彼はそれ(※ソウル・グッドマンの哲学)が自分の人生の運命で、それが彼をなりたくない人間に変えてしまうような気がするんです。でも、彼はその現実を突きつけられ続けている。それは本当に辛いことだと思います。
<<<

Peterはこの意見も全部大好きだと言っている。よくよく考えると実は違う事を言ってなくて、同じことを言っているような気もする。
チャックやハワードのような、過去の過ちを認めない(とジミーが一部誤解している)相手から距離を取ったのはジミー自身だし、その哲学が間違っている事を(明確にかはともかく)承知でその方向に進んでいってしまう、進まざるを得ないジミー。悲劇的。

ソウル・グッドマンの哲学とは、詰まる所チャックが否定したジミーの悪い所そのものだ。
近道を好み、「Slippin' Jimmy with a law degree is like a chimp with a machine gun.」(109)を実践する。ゲームのように法を悪用する。人を傷つけても反省せず、暗い顔で悔やみもせず、謝るのを止めてそういう自分を受け入れる事だ。

念のために言っておくと、この哲学の強度もゼロイチではなく、グラデーションがある。Breaking Bad時代のそれが100%だとすると、410最後でのそれは50%程度だろうか?S5でハワードにしたようないたずらは大してためらいもしないが、この時点では他人の人生をぶち壊すような事は望んではやらない。勿論、Breaking Badで初登場時、バッジャーを殺すことを提案したような、人の命を軽んじるような事もしない。


■チャック(の病状)とジミーの関係
Podcastの流れで言えば前後してしまうが、最初の方、Teaserでのマッギル兄弟の過去のシーンについてVinceがこう言っている。
>>>
Chuck's Okay, when Jimmy needs help when Jimmy is a stumble balm and a loser and then chuck can feel superior
ジミーが助けを求めているとき、つまりジミーがつまずき、敗者であって、チャックが優越感に浸ることができるときは、チャックは大丈夫なんだ。
<<<

ジミーとチャックの関係について、いつか縦軸で纏めようと思ってたんだけど、そこで言おうと思ってた事。少し簡単に纏めてみる。609の感想( https://toorisugari3.hatenablog.com/entry/2022/07/21/213625 )であらかた書いていたかもしれないが今回はそれは見ないで。

そんなに読み取るのが難しい事ではないとは思うけど、チャックの具合が悪くなるのはジミーが司法試験に受かってから。410Teaser司法試験合格直後はまだ元気。
フラッシュバックで描かれるレベッカとの食事シーンも、1回目(205 1992年)はアルバカーキに来てすぐで郵便室勤めだからチャックはまだ電磁波過敏症ではない。2回目(305 2001年、101は2002年6月)はジミーは開業済みで、チャックは電磁波過敏症レベッカの携帯を飛ばしてしまう。

ドラマを遡ると、108ラストで久々の案件(サンドパイパー)に集中してジミーの事を意識していない時に、何の苦痛も無く外に出てジミーの車から必要な書類を見つける。
そこで一度症状は緩和するが、S2ではサンドパイパー案件でのジミーの粗探しや、メサ・ヴェルデ案件の住所改竄で自尊心を傷つけられまた悪化していく。そして行き着く305ラストのBreak down。
306でジミーの1年間資格停止が決まり、ハワードから「ジミーはどうせ自滅するからもう忘れて先に進もう」と言われ、自らDr. Cruzと連絡を取り、電磁波過敏症と向き合っていく。
ところがジミーが保険会社に法廷での失態をチクる。それをうけてハワードが自腹を切ってまでHHMから自分を追い出すという屈辱、そして310でのジミーの和解提案が決定的にチャックを壊し、自死に至る。


さらにその直前、Co-Executive Producer Diane Mercerの発言。
>>>
I mean, even the flashback we saw when they were kids. Chuck had this really kind of chilly edge to him Jimmy. Even though he was reading to him, you know, he was there was an edge there that is not present in this scene.
彼らが子供だった頃フラッシュバック(310 Teaser)でも、チャックは本当にジミーに冷淡なところがありました。たとえ本を読んであげていても、このシーン(410 Teaser)にはない冷たさがありました。
<<<
後で310のPodcast(2時間6分もある!通常1時間程度)もきかなきゃな、と。
この310Teaserでチャックがジミーにメイゼルの冒険を読み聞かせている時の冷淡さを、以前自分はあまり感じてなかった。というよりは、感じたけどより軽く考えてしまった。「the truth is you've never mattered all that much to me.(お前のことは昔からどうでもよかった)」というセリフが嘘であってほしかった。
410TeaserではDianeの言う通り確かに「冷たさ」は感じない。パーティーで先に帰ろうとして引き留められるあたりで多少の「気まずさ」は感じるが。

具体的にはこの最後のセリフがchilly edgeなんだろう。
>>>
Is she gonna be okay?
She'll be fine, Jimmy.
How do you know?
Just listen. You'll see.
メイベルは大丈夫?
大丈夫だよジミー
なんで分かるの?
いいから続きを聞いてろ
<<<
言葉も語調もそこまで冷たいわけじゃなくて、ちょっと冷たいかなぁ?というレベルだけど、410ではTeaserにこれを配置した上で、「you've never mattered all that much to me.」と言わせてるんだから、やはり「昔からどうでもよかった」というのはある程度の強度で真実なんだなぁ、と。
ジミーへ残した手紙(403)での「I can honestly say I never saw her happier than she was on that day.」もそれを踏まえると裏に嫉妬があるのだ。たとえ「You brought a shine to her life nothing else ever did, and I'm glad of that.」とジミーへの愛情を示す文章を続けたとしても。

この同時に存在する相反する感情を描くのがアルバカーキ・サーガの真骨頂の一つだと自分は考えていて、チャックはジミーに嫉妬し憎んでいる一方で、それなりに家族・弟として愛してもいる。後者は先に述べた「チャックが優越感に浸ることができるとき」に強く現れる。
その例がS1でチャックの家で寝てしまったジミーに枕を入れてあげたり毛布を掛けてやったり(102 108)する事や、シカゴ・サンルーフで捕まったジミーを助けてHHMで働かせた事、そしてこの410Teaserで宣誓式での保証人になったりジミーをベッドに運んだり翌日の朝食は何が良いか聞いた事などだ。

Better Call Saulではなくアルバカーキ・サーガとしたのは、Breaking Badでも同様の事が描かれているからだ。
ウォルターは、悪事を働く動機は家族のためから自己承認へと移っていくが、最後にスカイラーに「好きでやった」と言った時点でも、家族のためで「も」あった事は認識していたと思う。ゼロか1かではなく、グラデーションなのだ。
ジェシーへの愛憎も同様。ハンクとも最終的に敵対はするがそれでも殺してほしくない。それがガスを殺す動機となり、最終的にはジャック一党にハンクを殺されてしまう。

余談だけど、Vinceがチャックの墓でジミーが呟いていた「watermelon and pickles(群衆が何か話しているザワザワを演出したいときのセリフだそうだ)」を「peas and carrots」ととり違えた時にChris(番組ホストのEditor)がツッコミ入れる速度が半端なくてビビった。編集マンならではの読み込みのなせる業なのか。



■410Winnerが最終シーズン開始までで一番好きなエピソードだった理由
Podcastで語られていた事を絡めて改めて文字にしておきたい。

Teaserでチャックとジミーの関係が一番良かった時をみせる。弁護士登録宣誓式の保証人になり、お祝いのパーティーに出て、酔いつぶれたジミーを部屋に連れて戻り甲斐甲斐しく靴を脱がせたりしてベッドに寝かせ、明日の朝食は何がいいか聞き、一つベッドに並んで横になり、ABAのWinner Takes It Allを歌う。
こんな幸せの記憶の中にも、パーティーでマイクを取り上げて主役になってしまうというチャックの欲の深さ(サンドパイパーやメサ・ヴェルデ案件を我が物とした過去のエピソードの予兆でもある)まできっちりと見せているのが恐ろしい。

カラオケシーンでは、エルネストとジミーの下手ではあるが堂々としてかつ楽しそうな、見てる方まで楽しくなるような歌唱と、チャックの玄人はだしの歌唱を対比させ、チャックの(当時の)Winnerっぷりをも強調している。この後への布石だ。


そして時制は現在に戻り、チャックの墓の前で悲しむ演技をするジミー。何かを呟いているようにみせるために「Watermelon and pickles」などと呟く。語感やセリフの意味の無さは滑稽だが、やっている事はTeaserでの仲の良さ・幸福さとは真逆の、チャックの死すら利用しようとするジミーの姿だ。
そしてチャックの名を冠したニューメキシコ大学(UNM)法律図書室の式典を開き、UNMのカメラクルー達を使ってそれがジミーの寄付によるものだという噂を流す。
ここでパパドゥミアン判事を火事から救い出す妄想をジミーが垂れ流すのも、焼死したチャックを本当は助けたかったという仄めかしなのがニクい。相反する感情の描写だ。

そして聴聞会。ジミーは切り札として考えていたチャックからの手紙を途中で読むのを止め、「(Chuck )Could be a real son of a bitch.(糞野郎でもありました)」と、少し露悪的でもある本心を吐露する。チャックに認められたかったが、完璧主義で馬鹿には厳しい彼に認められるのは並大抵ではない。

少し(ドラマ上の)昔話を挟む。
この聴聞会で「even for a moment, if you made him proud... wow, what a feeling.(一瞬でもチャックに誇りに思ってもらえたら、それ以上嬉しい瞬間なんて無い)」というセリフがある。
ジミーにとってのこの瞬間は108の「Wait. "Us"?」のシーン(https://twitter.com/TorysGirly/status/1576540765517647873
)だ。チャックがサンドパイパー案件で役立ちそうな判例法を集めるように言い、さらに「it's a good opening salvo for us.(我々の闘いの火ぶたを切るのにはちょうどいい)」と続けた直後の事だ。「Wait. "Us"?」の後、ジミーは感激のあまり強くチャックを抱きしめる。一方のチャックは少しぎこちない感じだ。その理由はこの次のエピソード109で明らかになる。
ジミーにとっては兄弟関係が最高の瞬間なのだが、チャックにとっては違うという皮肉。チャックにとってのその瞬間は、Teaserでの時間か、もしかしたらシカゴで捕まったジミーを助けに行った時かなぁ、と想像している。


話を戻そう。ジミーの偽らざる本音を交えた演説は、資格復帰を決める委員たちだけではなく、キムの心も強く揺さぶり、涙を誘う。このエピソードの最後までは、キムは(殆どの)視聴者の分身でもある。
(聴聞会についてはblogの方でも1つのエントリにしてるのでそちらも未読ならみてほしい。「目標達成のための嘘としか本音を語れない」ジミーについて(も)たらたらと書いている。 https://toorisugari3.hatenablog.com/entry/2022/10/01/133710 )

聴聞会を終えたジミーとキムは資格復帰を確信してはしゃぐ。
ところがジミーが驚くべき事を語りだす。
「That one asshole was crying. He had actual tears. Jesus, Kim.(バカめ 1人は涙まで流してた)」
ここでキムが、そして視聴者も唖然とする。ジミーは委員だけではなく、キムも視聴者もみんなasshole呼ばわりしたのだ。なんて事だ!
委員の顔をみて、手紙じゃダメだと分かったソウルは流れを変え、ジャズの即興演奏の様にノリノリになったという。そして次のセリフ。
>>>
God, I could see The Matrix, you know? I was invincible. I could dodge bullets, baby.
(字幕)超人的なパワーが湧いた きっと弾もよけられたよ
<<<
ここまでの他映像作品への言及の中で一番新しいんじゃなかろうか、このマトリックスへの言及。
日本語では(確か吹替も)マトリックスという名前は出さなかったが、「弾もよけられた」で連想した人も多かったんじゃなかろうか。調子に乗りまくったジミーがよくでている個人的に大好きなセリフ。

キムも視聴者も置いてけぼりにして、ジミーことソウルの独演会は続く。聴聞会で「I'll do everything in my power to be worthy of the name McGill.(マッギルの名に値するよう 最善を尽くします)」と言った直後なのに、「朗報ですよ」と話しかけてきた職員に、マッギルという名はもう使わない、と屋号変更の申請書を要求するジミー。

キムも視聴者ももう何が何だかわからない。待って、どういうこと?というキムにジミーは指で二丁拳銃を作り「It's all good, man.(“ソウル・グッド(すべてよし)マン”だ)」と決め台詞。

※ちなみに一応解説しておくと、上の字幕での表記だと、最後の「マン」がウルトラマンとかスーパーマンみたいな男を表すような語に見えるが、実際は間投詞としてのmanだ。Weblio辞書では以下のように書かれてる。
>>>
《口語》 [呼び掛けに用いて] 君,おい,こら 《★【用法】 状況に応じて怒り・いらだちなどを示すこともある;
<<<
君、おい、こらはこの場合あまりしっくりこなくて、「なぁ」位の感じ?自分が初めて聞いたのはL4DでのLouis(面白黒人のステロタイプみたいなキャラ)のセリフだった気がする。あの頃は吹替派だったので。

別のドラマ(アトランタ)でそのまま「It's all good, man.(大丈夫だよ)」と発音されてる部分を張っておく。
https://twitter.com/TorysGirly/status/1562799035999993858




初見時は「今のなに?え?何を見せられたの?」と混乱の極致に陥れられ、ソウル・グッドマンの屋号を持つ弁護士が誕生したという事を認識する事も困難だった。Teaserでマッギル兄弟の最高の時を見せておいて、今のチャックを馬鹿にするジミーを聴聞会工作の場面で見せる。そして聴聞会では改悛したと思わせられてからのコレだ。高低差がハンパではない。
「考え得る限りベストのさらに上を行く」「見えない角度から殴られた」そういう感じだった。
再視聴時でも、弁護士資格復帰という目的達成のためにチャックの死に向き合わず、寧ろその本音を逆に利用までするジミーの哀れさが胸を突く。

これが自分が410Winnerが一番好きなエピソードだった理由である。
※最後まで終わった時点では、613>609>410>510


あまり自分が言及しないもう一方の裏社会サイドも少し触れておこう。
マイクには責任がある。
スーパーラボ建設を請け負ったこと。ヴェルナーを信じると言ってしまったこと。
にもかかわらずヴェルナーはその信頼を裏切り、知らずにではあるがラロとの接触までしてしまう。それは大ボスであるガスの逆鱗に触れ、ヴェルナーの命運は尽きてしまう。
ヴェルナーの妻の安全を保障するマイクは、603でのナチョの父の時と重なる。マイクが自分でヴェルナーを殺すのは余計な被害を出さないためでもある。
このにっちもさっちもいかなくなる感じは、トゥコやヘクターを隠れて攻撃し、結果ガスの言いなりにならざるを得なくなったナチョと共通するものだ。

ジミーとキムをのぞけば、Better Call Saulで一番好きなキャラクター、ラロ。
Breaking Badでは208で1度名前が出ただけのキャラクター。Peter Gouldはこれを書いたときに名前以外の設定は皆無だったと言っている。
Better Call Saulでは408最後で唐突に登場し、409では大胆さこそあれ、暴力性は見せなかったラロ。
トラベルワイヤーでの天井裏に上って防弾ガラスを突破しての店員殺害で一気にそのサラマンカらしさを見せつける。丁寧な監視・追跡。今回はマイクに一歩先を行かれてしまうが、ヘクターにトゥコ、カズンズとはまた違ったスタイルのサラマンカ。魅力的な(面もある)ソシオパス。



このエピソードでは、主人公であるジミーと、もう一人の主人公であるマイクが共に、Breaking Badでのそれぞれに近づく大きな段差を登る。このシンクロニシティも410 Winnerの大きなポイントかもしれない。
彼らのBreaking Badでの人格が完成するのは、ジミーは609ラストキムの部屋のシーンが終わった後、マイクは505ラストと506の間だと個人的には思っている。


■余談
◇余談その1。ジミーのカラオケの下手さは少し誇張もあったようだ。編集のChrisがこう言っている。
>>>
I picked you know, some of the worst performing the most perfectly out of tune sometimes we stuffed a little different word here and there just to make it as just perfectly bad as we could.
ただ可能な限り完璧に下手に聞こえるように、最悪のパフォーマンスや完璧に音を外したもの、時にはちょっと違う言葉(?)をあちこちに詰め込んだんだ。
<<<
「a little different word here and there」の辺りがよく理解できない。編集で違うテイクからつなぎ合わせたという事なのだろうか?分かる人がいたら教えてほしい(前後が無いとわからないかな……?)。


◇余談その2。このエピソードでは法曹界と裏社会のシーンでは実は時系列的な乖離がある。fandom wikiによれば、このエピソードの日付はMarch 22 to April 1 (Jimmy)(nine days)March 31 (Mike)(one day)となっている(Teaserは除く)。この2つをどう見せるかは結構苦労したようだ。
そもそもこのエピソードはこれまで最長の60分で、要素が多く、通常Act4までの所Act6まである。Podcastでは監督のAdam Burnsteinの手際の良さをとても褒めている。

だから、厳密にはタイトルコール以降の、以下に挙げるシーンの間では実際はせわしない時系列の移動が行われている。
「スーパーラボ建設労働者たちの宿泊施設」
「チャックの墓」
「鶏舎を監視していたラロがガスの後を追い、マイクとトラベルワイヤーで落ち合う(ラロはここで尾行対象をマイクに切り替える)」
「法律図書室の記念式典」
「マイクがラロの尾行を駐車場の機械を詰まらせて撒く」
「HMMでの奨学生選定会議」
「ラロはトラベルワイヤーに引き返し、マイクはヴェルナーを見つける」
「キムのアパートで控訴聴聞会(appeal hearing)での作戦を練る」
「郊外の丘でヴェルナーを殺す」
「ガスが初めてゲイル・ベティカーにスーパーラボ予定地を見せる」
「控訴聴聞会」

しかし、この段階では法曹界と裏社会には話の繋がりは全く無いため、その2つに分けて考えるとどちらも時系列順に見る事になるので、視聴者的には普通混乱なく観られるはずだ。
全てを再検証するのは大変で今はできないが、ここまで大幅な差はなくても、法曹界と裏社会との間での細かい時制の行き戻りはあったのかもしれない。
 

午後11:42 · 2022年10月20日 / 310 Insider Podcastの感想

ベターコールソウル S3Ep10のInsider Podcastを聞いた(読んだ)ので自分が気になる所を抜粋しての翻訳(精度は期待しないで……)と感想を。最長?の126.5分。+S3Finaleインタビュー記事についても。

注意: Breaking Bad/Better Call Saul全編のネタバレをします。
あとまたあまり纏める気もなくてダラダラ垂れ流してるので適当に興味ある所を拾い読みお勧め。


Insider Podcast、最初の1時間はほぼ裏方の話。ライターが現場に居る意味(撮影現場で何かを変えたい、となった時にそれが可能か否かを判断できるのはライターズルームでの作業でその辺がわかってるライターだけ)を語ったり、ボブがスケッチコメディの脚本とドラマの脚本の違いを話したり、Mr. ShowにErin Brill役のJesse Ennisが4歳の頃に出てたとか(彼女の父親はS6で仲裁人の元判事の影武者役としてBcSに出演してる)、あと音声担当の有能さとか。Peterがこの仕事を始めた時は「野球の映画・ドラマと法律関係のコンテンツは世界的には通用しない」と言われていたらしいとか、それでも305は大丈夫でよかったとか。マイケルマッキーンの有能さ(ボブやレイよりもリハーサルが少なくて済む。恐らく自身だけでやっている)とか。チャックが家を壊すシーン、あれはセットだから壁の裏には何もなくて、壊すにあたって中身を入れるのが大変だったとか。



ここから自分が知りたかったことについての発言をそれぞれ抜粋(基本的には連続した発言ではない)していく。
あらかじめ断っておくが、自分は英語のスキルが極めて低いので、誤読・誤訳は絶対してると思う。Otterで文字起こししたものをDeepLに訳させた(普通の記事と違って滅茶苦茶になりがち)のを手直ししてるが、ちゃんと訳せないので省略してるところもある。語尾も面倒だから統一させてない。
可能ならPodcastを聞いてほしいし、もし間違いがあれば指摘してもらえると物凄く嬉しい。

引用部は>>>と<<<で囲う。カッコ内は基本自分が入れた注釈


>>>
Gennifer( Hutchison、310のライター):
このキャラクター(※チャック)は......とても嫌い。なぜそこまで真面目一辺倒なの?それを伝えられるのはすごいし、このエピソードでの彼は素晴らしい。そしてそのカットを見て、最後に予想外に激しい感情移入をしてしまいました。というのも、私はこのエピソードの内容をずっと考えて生きてきたのですが、それには本当に強い衝撃を受けました。 私は今までで最もあのキャラクターに共感し、後悔しました。 そしてその多くは、マイケルと彼の演技によるものなのです。


Vince:
自分にとってとても重要な質問をするのですが、多くの人が(俳優ではなく、マイケルでもなく)チャックというキャラクターを嫌っているとききます。
多くの人が、父・母、手紙をくれた人、私が話した人が、道で私を止めた人が、みんながチャックを嫌ってる。私もチャックなんて大嫌い。

Bob:
私はチャックが嫌いだ。(I hate Chuck.)
私たちは皆、問題を抱えている。でも、それを多少なりとも克服したり、前進させたりしようとするのが私たちの挑戦なんですが、彼は挑戦していない人のように見える。

Gennifer:
私は、つまり、それがチャックの鍵であり、なぜ彼が悲劇的なのかだと思うのです。そして、このエピソードと、それに至るエピソードもそうだと思います。それが私たちが話していたことなんです。

クリスが言ったように(※ここではは取り上げてない)、もしあなたが精神疾患を扱ったことがあるなら、あるいはあなたの人生に精神疾患を持つ人がいるなら、それは信じられないほど複雑なことで、誰かの人生には必ず、これだ、これはこういうものなんだ、変えられないんだ、というような時期があるものです。もちろん、それは真実ではありません。
でも、その中にいると、そんなことはわからないし、あるキャラクターと向き合いながら、どうすればその経験を尊重するような形で彼の物語を語れるのか、答えはないんです。

そして今、チャックは、前のエピソードでいくつかの前進を遂げました。
でも、彼の中には完全に変わることを許さないブロックがあるみたいで、彼とジミーが何かあってもそれを押し通すことはできないし、このエピソードで彼が悪化していくのを見ることになるんです。
このエピソードでは、彼が少なくとも正しい方向に向かう動きを見せているのに、そのプロセスに完全にコミットしていないことが、このエピソードとそれを見たときに動揺した理由だと思います。
この事態に対処する方法があるのに、彼は何らかの理由でそれができなかったり、その気がなかったり、自分の中に深く入り込んでいて、その一歩を踏み出すことができなかったりするんです。

そして、ジミーと比較すると、前のエピソードではソウルに近づいていき、このエピソードではジミーに戻ろうとしている。
ブレイキング・バッドを見ていれば、ジミーが戦いに敗れ、ソウルになり、そのプロセスがどう機能するのか、そしてそれらをできるだけ複雑でリアルなものにしたいと思うのは当然です。
これは本当に難しいことですが、だからこそこのエピソードが悲劇的に描かれているのだと思います。これほど感情的に響くことはないと思います。

Vince:
何が私を悲しませるか 。というのも、私はいつもこの作品では殆どの視聴者よりもこの悪魔に少し同情しているのです。彼はとても良い前進をしていて、彼はそれらを望んでいました。
彼は、最も主なものは弟だと言っています。そして、あなたが最後に兄を訪ねに行くところは、とても美しく演じられていますが 視聴者はそのようには見ていないと思う。最後に兄を訪ねに行くんですね。まあ、何が最後になるのか、それは誰にもわかりませんが。つまりバッドエンドはきれいに見えるということです。そのままにしておいてもいいかもしれませんが。

そして、あのシーンでのマイケルとボブの演技はとても素晴らしいものでした。

しかし、チャックはあれを何の強い感情もなく言っているのです。
彼は「ジミー、君は僕にとってそれほど重要な存在じゃなかったんだ。君は決してそうではなかったんだ」と言った時、どんな感情もそこには無いんです。ネガティブな感情も良い感情も。

でも彼は、あまりにあっけらかんと言うので、冷たささえ感じないんだ。信じられないほど冷たいんだけど、その根底にある冷たさや怒り、苦味といった余計なものが感じられないんだ。
それは完全にありのまま。でも、僕が読んだ限りでは、彼は十分に賢い男だから、もしThe Revenge is a dish best served cold(復讐は冷めてから食べるのが一番おいしい料理)とか、そういう表現があって、何の味付けも必要ないということをわかっている、ということだったんだ。

ただ単に、できるだけ平然とそれを言うことが、世界で最も悲しい話になるのだ。そして、私自身は、他人にどうこう言うつもりはない。でも、一ファンとして、一視聴者として、この男は病気になったのだと私は思うし、私たちのドラマでの表現は、現実の精神疾患を正確に表現していると思ってほしくない。これは、私たちのバージョンでは、例え話であり、メタファーであり、とても芸術的で熟練したものです。(※ドラマ表現を現実に軽々しく当てはめてほしくないという事だと思う)

でも、この男は病気なんです。彼の魂が病気なんです。それは彼の脳ではありません。それは彼のものです。彼の中の最も善なるものは、彼がより良い人間になり、弟を愛し、弟に対してより寛大になり、より親切になり、より理解することを望んでいますが、彼はそれができないのです。
でも、それができないとき、彼はとても意地悪で酷くなり、病気が悪化していき、そしてただただ悲しい結末になってしまうのです。

まだ考えています。観たのは1週間前でした。本当に悲しいです。でも、私が読んだ限りでは、彼は今よりも良くなりたいと思っているように思えたのですが、人々はこの男にもう少し共感するようになるのでしょうか。チャックはただ、できないだけなんだ。プライドやエゴ、そして嫉妬心、弟に対する生々しい嫉妬心を抑えることができないだけなんだ。


Peter:
このエピソードはいろんな意味で怖いエピソードでした。普段私たちのキャラクターは自分自身と距離を置いていましたが、特にジミーとキムはとても生々しい。

このエピソードでは ただ生々しいだけのシーンがいくつかあるんだ。むき出しの神経の様な。

ジミーはとてもオープンなんだ。少なくとも私が見たところ、彼がチャックの家に入ってきたとき、ジミーは本当にチャックとやり直したいと思っているようにみえます。関係を修復したいんだろう、私にはわかる。
そして、そう、彼はとても傷ついているんだ。ジミーはチャックと居たいんだ。もしチャックがあんなに傷つくことを言わなければ、ね。ジミーがどれだけ傷ついたか見るのは本当につらい。


Kelly( Dixon S3までの編集者 S4からは本作の編集役から離脱するが、Podcastには視聴者ポジとして登場してる時も):
ジミーとキムのことで まだ話してないことがある。
交通事故が起きてから ジミーが直面する変化と現実 。合同事務所を閉め、法律業務から離れたこと、キムのアパートでの仮住まい、2人が犠牲したこと。
私の解釈では ジミーは彼女に何が起こっているか理解していなかった。そして彼女は彼を助けるために余分な仕事を引き受けた。
そうなんだ、そんな風には(※これまで)思ってなかった。
ボブが見てないのは知ってるけど、凄いシーンだというのはしってるでしょ?

Bob:
Ep05以降はまだみてないんです。だから、ちょっと、ストーリーが分からなくなるんです。だって、今自分がいるまさにその瞬間を演じているのだから、先週何をしたかなんて考えていない。そして、それが終わると、これまでのことを全部忘れてしまう。そして、それが上手くいっているのを見るのが楽しいんだ。このショーを本当に楽しんでるよ。

ジミーとキムについて思うことは、このシーズンが大好きで、彼らがお互いに楽しみ、キムからサポートし合っていることが大好きです。前シーズンでは(209)、2人になった車の中では怒ったが、チャックの前ではジミーに味方した。
彼女は自分の目の前で彼を非難し、何が起こったかを説明する。
彼女はジミーの味方をする。その瞬間から、この二人はチームであり、どちらかが悪いことをしても、お互いをサポートするんだ、という特別なレベルになる。
そして、彼女は彼と離れないし、(※付き合う事で)私が弱くなったとも言わない。このクソ野郎って言ってるけど、キムは彼の味方をする。私たちは同じチームなんだ、と。

そして、そこにはとてもポジティブな一面もあって、ジミーは彼女を(非道徳的な事に)あまりに付き合わせることを悪いと思っていて、2人が上手くいくよりも、彼女が上手くいく事を望んでいると思う。

私の目から見ると、彼らはまだしないといけない事がある。まだまだ努力しなければならない。まだ、いくつかのことを乗り越えなければならない。でも、彼らには多くの共通点があり、十分な共通点がある。人間関係や、浮き沈みを乗り越えていくことの難しさを考えると、不思議なことに、彼らは本当にかなり素晴らしい関係を築いているように思えるんだ。


お互いが困難と喜びを認識し、それをうまくやり遂げようとする、本当に素晴らしい関係なのです。この2人を正しく表現するように演じる事はとても素晴らしいことです。


そして、その様子を見ると、ワシントン流のやり方で、(※Breaking Badの時代では)ソウルとキムが結婚して、彼女は別の場所にいて、今はサンタフェにいる、という可能性もあるね。そして彼らは......つまり、マーリー・マトリン達なんだ。メアリー・マトリン(共和党リバタリアン党の政治コンサルタント)の&ジェームズ・カーヴィル(民主党の政治コンサルタント)夫婦。(※家庭では政治の話はしないらしい)
結婚して、2人の素晴らしい子供がいて、お父さんはアルバカーキに行って、ゲス野郎で。お母さんはサンタフェに行って、絵の具とか油絵とか、でも州でもトップクラスの事務所を運営してるとか想像する。


Peter:
これは、聞いたことがあるなかで最も陽気なバージョンです。私はこのアイデアが好きです。

<<<

そしてフランチェスカ役の人を褒めたり。

また(自分が注目したい所を)引用
>>>
Gennifer:
ええ、ティーザーは私たちが考えたものなんです。エピソードを分割するとき、ティーザーから始めることもあるし、結局、エピソードの内容がもっとよく分かってから、最終的に、テーマ的にエピソードとうまく関連するものがあるかどうか、確認することもあるんだ。さらにさかのぼるというアイデアも気に入っています。
この2人がある種の感情的なレベルで関係する瞬間があり、チャックがジミーの面倒を見るというアイデアはとても魅力的だったけど、お涙頂戴や感傷的になるのは避けたかったんだ。だから、ジミーが質問したときに、チャックがちょっとだけイラッとするような要素もあったんだ。ジミーが「彼女は大丈夫なのか」と言うときも、「もちろん大丈夫だ」ではなく、「ちょっと聞いてくれ」という感じなんだ。

Peter:
このエピソードはとても感情的なので、Genniferがいろいろと相談にのってくれたのを覚えています。このエピソードは、私にとって、その点では厄介なエピソードでした。
しかし、最初のピッチ(提案)は、それがどのように生まれたかは覚えていませんが、テントから後ろに下がって、裏庭全体を見せることでした。
そして、ずっと考えていたのですが、これは悪いことではないと思うのです。ある意味、スピルバーグのような感じです。ある意味、変な形でロマンチックにしているような気がするんだ。

そして、おそらく誰かがジェニーに、あのランタンで閉じるというアイデアを思いついたのですが、それはあそこに置かれたとても重要なものになったのです。

Gennifer:
ええ、私はちょうどそれを逆にしようと提案したと思います。


Chris(McCaleb 当時Co-Editor、S4以降のEditor):
あのね、ねえ、本当に、あのTeaserはエピソード全体に、振り返ってみればシリーズ全体に影響を与えているんだ。
そして、チャックが「君は僕にとってそれほど重要な存在ではなかった」と言ったとき。私たちは知っています。それは、嘘じゃない。そして真実でもないのです。
しかし、たとえ彼がそれを信じたとしても結局のところ、彼のすべての行動において、チャックは自分自身と自分の目標、そして自分のニーズに集中してきたと思うからです。
そして彼は、彼をケアしようとした人生のすべての人を遠ざけた。

このエピソードを始めるにあたって、本当に感動的な方法だと思いました。
このエピソードは、どう見ても究極の権威、すでにひどく壊れているこの関係の究極の解明に関わるものです。そして、それが粉々に砕け散る前に何かを見ることができるのは嬉しいことです。

どうみてもこのエピソードは、既に散々に壊れていたチャックとジミーの関係の究極の解明であり根拠なんです。
そして、それが粉々に砕け散る前に、何かを見ることができてよかった。
<<<


(301での)メイベルの冒険はVinceの母親が弟のPatrickに読んでいた事へのエールで、ただのお遊びだった。
310でチャックが使う野球バットはフラッシュバックのテントの中にもあった。

Patrick Fabianを褒める

ブロックバスター(レンタルビデオ店)のシーンについてあれこれ。全部作り上げた。長いレンズで平面的にした。



>>>
Gennifer:
彼女が動揺しているのは、文字通り、私が無責任で、誰かを殺していたかもしれないからです。それが、私たちをスローダウンさせるきっかけになったのだと思います。

Peter:
このポッドキャストの昔のエピソードででボブが言っていたことが面白くて好きですね。それは、ジミーが人を傷つける時は、傷つけてしまうという事が頭になく、ソウルが人を傷つける時は彼は人が傷つくのを分かってやってる。かまうものか、と。
だから、私はあなたのやり方が大好きです。キムは良い人です。ただ、寝不足で運転するのは飲酒運転と同じで危険です。だから、やめましょう。
<<<


あとカルテルサイドの話。
暗いシーンをどうとったかとか。

個人的にはカルテルサイドの話はあまり深読みしたくなるところが無くて……殆どが自明な論理や動機で進んでいくので。
撮影のしかたとかはこの半年で随分知識が増えたけど、まぁそこまで詳しいわけでもないし語れる事も無い。



※ここまでは一応1回だけ推敲もしたが、ここ以下はそれも無し。
■ここでPodcastの内容の紹介は終わって、自分の理解との一致点や差を探っていきたい。


◇チャックを嫌う事
みんなチャックを嫌ってる。制作チームのみならず視聴者も。当然だとは思うけど、それでもやはり自分はチャックへの共感・シンパシーはある。初見時は余りなかった気もするけど、周回するにつれてそれは大きくなった気がする。

Gennifer「私は今までで最もあのキャラクター(※チャックの事)に共感し、後悔しました」
Vince「殆どの視聴者よりもこの悪魔(※チャックの事)に少し同情している」
等、制作陣もチャックへの共感・同情をみせている。(そもそも共感ゼロのキャラ殆ど居ない)

勿論チャックは嫌な奴だし、ジミーへの仕打ちは酷い。それでもそんなチャックと、自分を照らし合わせてみて、自分の中にチャックは居ないと断言できる人もまた少ないと思う。
嫉妬や妬み、自分が主人公で居たいという感情は持ち合わせている人の方が多数派だろう。
だからとてもチャックは人間的なキャラクターに思えるのだ。
チャックが嫌いなだけの人にも、同情・シンパシーは無理でも、チャックを「哀れな人」だと思って考えてみてほしい。


◇チャックの問題
306以降、チャックの電磁波過敏症は改善の兆しを見せていた。
だが、保険料値上げを許せなかったがゆえにHHM・ハワードから切られる事になり、また悪化の道をたどる。

Gennifer「彼の中には完全に変わることを許さないブロックがある」「このエピソードでは、彼が少なくとも正しい方向に向かう動きを見せているのに、そのプロセスに完全にコミットしていないことが、このエピソードとそれを見たときに動揺した理由だと思います。」「この事態に対処する方法があるのに、彼は何らかの理由でそれができなかったり、その気がなかったり、自分の中に深く入り込んでいて、その一歩を踏み出すことができなかったりする」
Vince「彼の中の最も善なるものは、彼がより良い人間になり、弟を愛し、弟に対してより寛大になり、より親切になり、より理解することを望んでいますが、彼はそれができないのです。」「プライドやエゴ、そして嫉妬心、弟に対する生々しい嫉妬心を抑えることができないだけなんだ」


ここでGenniferがいってる、「変わる事を許さないブロック」や「何らかの理由」はジミーへの(本来の意味での)コンプレックスだ。
305の証人席で言った「He'll never change. Ever since he was 9, always the same.(ジミーは絶対変わらない。9歳の時のままだ)」というセリフは、この時点では正しいが、同時にチャック自身にも当てはまる。ジミーへのコンプレックスを克服できないがゆえに、チャックは自分を追い込み、死に至ってしまった。

「本来やった方がいいのにどうしてもできない」という事も人間ならいくつか思い当たる事があるんじゃないだろうか。そういう事に自覚的だとチャックへの同情・共感のハードルは下がる。Vinceが言うように、チャックへの同情が視聴者の間でももっと広がってほしいなぁと思ってる。結構ボロカスに言うのを見る事が多いので。


Peter「ジミーはとてもオープンなんだ。少なくとも私が見たところ、彼がチャックの家に入ってきたとき、ジミーは本当にチャックとやり直したいと思っているようにみえます。」

310でジミーがチャックを尋ねるところ、ジミーは本当に兄弟関係を改善したいと思ってて、まさにそれがチャックの自死のトリガーとなってしまったという事を別の機会に書いたのだが、Peterとも解釈一致だ(そう表現してるから当たり前?)。
ここでは取り上げなかったけど、Peter自身もMr. Showやw/ Bob & Davidのファンだそうだ。610以降のタイトルコールは影響されたのかとか聞いてみたいなぁ。


おでんさんのBreaking Bad時代にソウルはキムと結婚して、ソウルはアルバカーキ、キムはサンタフェで上手くやってるって説、310時点ではまだやろうと思えばあり得た筋。そういう想像もするんだ、とびっくり(?)した。



Gennifer「この2人がある種の感情的なレベルで関係する瞬間があり、チャックがジミーの面倒を見るというアイデアはとても魅力的だったけど、お涙頂戴や感傷的になるのは避けたかったんだ。だから、ジミーが質問したときに、チャックがちょっとだけイラッとするような要素もあったんだ。ジミーが「彼女は大丈夫なのか」と言うときも、「もちろん大丈夫だ」ではなく、「ちょっと聞いてくれ」という感じなんだ。」
Chris「本当に、あのTeaserはエピソード全体に、振り返ってみればシリーズ全体に影響を与えているんだ。
そして、チャックが「君は僕にとってそれほど重要な存在ではなかった」と言ったとき。私たちは知っています。それは、嘘じゃない。そして真実でもないのです。」

これはまさに自分が310のPodcastを聞こうと思った動機の1つ。先日410Podcastの感想では、この時点でもやはりJimmyへの嫉妬心はあるんだなぁと解釈してたんだけど、少なくともGennifer(やライターズルーム)のなかではそこまで重い物ではなかったのかな。でも、「年の離れた兄が弟に本を読んであげるハートフルなエピソード」ってわけでもない、絶妙な匙加減というか。

ただ、Chrisが言うように、チャックにジミーへの愛情が無かったというのは嘘だし、愛情があったとだけ言うのも嘘。これも410Podcast感想での自分の解釈と一致してて嬉しい。相反する感情が同時に存在すること。普遍的な事だと思う。



S3は305Chicaneryが一番の山場みたいに扱われて、実際それは否定はできない。
でも、想像や考えないといけない余地が多いのは310の方が上だし、なんなら302,303あたりも305よりも上かもしれない。

次は110,201あたりをきこうかな、と思ったが611以降を読んでないのを思い出した……


■S3フィナーレのインタビュー記事より
ここでの引用は訳さないのでDeepLなり自力なりで読んで欲しい。

◇VultureのGenniferへのインタビュー
https://www.vulture.com/2017/06/better-call-saul-season-3-finale-interview-gennifer-hutchison.html

▽チャックの死について
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I don’t think a lack of dignity does that. To me, it’s being so rigid in your life and unable to get past that. I always look at that from a place of empathy. It’s that thing of, “It could be me.”
<<<
上でもかいたが、“It could be me.”というのが大きなポイントで、そこを受け取れたのは嬉しい。


▽「お前の事など昔からどうでもよかった」について
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Is it also fair to read Chuck’s “You never mattered to me” admonishment of Jimmy as a way of placing him at a protective distance?
What I love about those scenes, and that one in particular, is that there are so many different perspectives. Everybody is more than one thing, and we say things for multiple reasons. In that moment, part of it could be pushing Jimmy away in a protective way. Another part could be, “I just want to hurt my brother more than anything.” I think it’s all those things. Whatever speaks to the viewer most is completely valid.
<<<

いろんな受け取り方・解釈の仕方が出来るのは良い事だと思っているが、ジミーを守るために突き放したという説は初めて聞いたし、全く頭に無かった。
あのシーンは実際に自死する日の数日前の話で、個人的にはあの時点でチャックは、自分に自死に至る可能性があるとは全く思っていなかったと思うからだ。

Genniferはもう一つの理由を、“I just want to hurt my brother more than anything.”と語っているが、これにも自分はあまり納得できない。
自分の解釈だと、あの時点でのチャックはジミーにしてやられた事とHMMから追い出された事が原因で、虚無というか、世界には自分一人のような孤独感に苛まれ、過去にいくらかはあったはずのジミーへの愛情すら否定してしまったのだと考えている。
そこにはジミーを傷つけようという気も守ろうという気もなく、ただ自分の黒い感情と反射的な自己防衛反応だけがあるのだ。


こちらは質問の方
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Q:
The finale’s theme might be powerful men obsessing over what they’ve built.
<<<
Genniferはチャックの事にしか言及しないのだが、よくよく考えると裏社会サイドの話ではナチョの謀略でヘクターが事実上権力の座から退場する。一命はとりとめ、権威としては存続しはするのだが、法曹界サイドのチャックの退場とシンクロしていたんだなぁと、これまで自覚してなかった事に気づいた。


◇VinceとPeterへのインタビュー
https://www.hollywoodreporter.com/tv/tv-news/better-call-saul-season-3-finale-explained-1015384/

▽視聴者心理の把握について
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Peter:
And frankly, I know the audience doesn’t particularly care for Chuck McGill, but I really enjoy writing Chuck McGill and thinking about Chuck McGill. I find him fascinating. So the idea that we were heading to this inexorable conclusion to this character was really something that took me quite a while to get my head around.
<<<

「I know the audience doesn’t particularly care for Chuck McGill」。制作チームはインタビュー記事とか読んでると視聴者の感情や感想をかなり正確に把握してると思う。だからこそ、説得力を持ちながら意外性の強いストーリー展開をする針の穴の様な小さな可能性を見つけられるんだと思う。


▽全然関係無いけど、昔ファミコンであったSpy vs Spyの元ネタへの言及が
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We have a reference that we sometimes make in the writers room, which is Spy vs Spy. If you remember those old Mad Magazine cartoons and there are the two spies with crow faces and they’re always playing tricks on each other and one is always getting the better of the other.
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元ネタがCartoonsだったとは知らなかった……ゲームもファミコンがオリジナルじゃなくて、移植だったのか。ン十年越しの真実。関係無くてすみません。


▽7分間あるチャックの家解体シーンについて
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Believe it or not, the version you see is considerably shorter from the first version we had.
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特に見ててなにか気づきがあるシーンではないんだけど、初回はともかく、チャックへのシンパシーを得てからは見るたびに心を抉られるきつい7分間になってしまってる。本当にサディスティックな制作チームだこと。
チャックへのシンパシーが無い層には退屈なだけだったり、逆にチャックが壊れるのを楽しめたりするのだろうか?

チャック役のMichael McKeanはあのシーンを演じるのが楽しかったと言っている、とこの引用の直前でPeterが言っている。あんな表情しながら楽しんでるの、役者ってすごいですね。(下で本人の言も取り上げる)


◇Michael McKeanへのインタビュー
https://www.nytimes.com/2017/06/19/arts/television/better-call-saul-finale-michael-mckean-chuck.html

▽回りの人間を傷つけるのはチャックも
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Q: In their final conversation he tells Jimmy that all he ever does is hurt people around him. Couldn’t you say the same about Chuck?
A: Absolutely. Chuck’s not a very self-aware person. He’s in his own driver’s seat, and everybody else on the road is [a jerk].
<<<

これは前から思っていた。チャックがジミーとキム以外の周りを傷つけた事は大きく3つある。
メサ・ヴェルデ案件で住所が改竄された時に、自分の正しさに固執し、クライアントの都合を考えなかった。
・ジミーを追い詰めるためにアーニーを利用し、結果HHMから追い出した。
・305での、法廷での失態を保険会社に知られ、保険料の値上げを渋って実務からの引退を提案したハワードに訴えを起こし、取り分を要求した。支払えないはずだから引退提案が取り下げられるとの観測だったが、ハワードは借金してまでチャックを排除。

▽どうでもよかった発言について
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Q: It revealed his character in that moment but it also revealed the brothers’ closeness and similarities, in an odd way. They’re both abusive people.
A: But also Chuck tells a great big lie when he says, ”The truth is, Jimmy, you never really mattered to me much.” We’ve been watching for 30 hours how central Jimmy has become in his life, or at least part of his life. And how he has associated it with his own troubles, in a way he never has to nail down. So Jimmy mattered a lot in lots of negative ways, and in fact preoccupied Chuck to a certain extent.
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「Jimmy mattered a lot in lots of negative ways」。ポジティブな意味でのJimmy matteredがあった事は上でも言及したが、たしかにネガティブな意味でのJimmy matteredは、寧ろそれがメインというか、それしかないレベルだった。自分的には盲点だったな……そこは別に考えていたので

▽家を壊すシーンについて
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Was it fun? Yes, it really was. [Laughs.] I remember being a kid watching people tear down a house and thinking, man that would be a great job. So I did enjoy the activity of it.
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まぁ確かにものを壊す事にはある種の喜びがつきものではある。あの痛々しいシーンを内心では楽しみながらやっていたのかと思うとなかなか……


◇評論家Matt Zoller Seitzの批評
https://www.vulture.com/2017/06/better-call-saul-season-three-finale-review.html
▽どうでもよかった発言について
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I wonder if the final confrontation between Chuck and Jimmy also represents a transference of resentment from a figurative Judas-brother (Howard) to a biological Judas-brother (Jimmy). Chuck was a mentor to both men. Maybe when Chuck verbally erases Jimmy, he’s working out his hatred of Howard moreso than his hatred of Jimmy. “You never really mattered all that much” rings much more true when you picture Chuck saying it to Howard.
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あの発言はジミーよりもハワードに対して言いたかったことではないかと。
チャックはジミー・ハワード両方のメンターでもあり、直近でチャックに一番ダメージを与えたのはハワードだ(その原因がジミーにある事をチャックは知らない)。これは突拍子もない意見でもない。面白い。


◇PeterとMichael McKeanへのインタビュー。インタビュアーはS5,6ではRollingStoneでRecapを書いているAlan Sepinwall。この人、なかなか鋭いし、Recapの最初に(時にはインタビューでも)劇内セリフのパロディを入れてくるのが好き。このインタビューには無いけども。
https://uproxx.com/sepinwall/better-call-saul-michael-mckean-peter-gould-chuck-mcgill-interview-recap/
このインタビュー、かなりの長さで内容もなかなか面白いので一読をお勧めする。

▽チャックの電磁波過敏症について
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Gould:
The dream is that you have a breakthrough moment, and then suddenly that changes everything. The truth is that you can have all the insights in the world, but living them out day-to-day, moment-to-moment, is really tough. It’s a lot of work. I love the fact that Chuck arguably has, to my eye, a breakthrough moment there. A moment where he’s willing to admit the thing that he hasn’t been willing to consider before, as Michael says, and now the question after that is, is he going to be able to follow up on that?
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305でジミーにバッテリーを胸ポケットに忍び込まされた件で、やはり自分の思い込みなのかもしれないと思い始めたチャック。Dr. Cruzに自ら連絡を取り、回復への道を歩き始める。しかし結果は……人が変わるというのは並大抵ではないのだ。
Breaking BadでもBetter Call Saulでも、ある問題が良い方向に向かったり悪い方向に向かったり、揺れながら最終的にどこかに着地させる、展開の揺れは特徴的なシナリオ構成だと思う。

ウォルターは最初の「調理」後、これっきりだというが、すぐにまたやるか?とジェシーを誘う。癌の化学療法もやらないと言っておいてやる。ガスとの仕事もやらないと言っておきながらスーパーラボを見せられて心変わりする。
ジミーもD&Mに入らないと言っておきながら入り、そして辞める。アイリーンを騙してサンドパイパー案件を和解にこぎつけるがそれも自分でぶち壊す。カウンセリングにも行かないと言っておいてやっぱり行こうかとなるが最終的にハワードが行ってる事を知って行くのを止める。ジーンになってからも、ジェフィーとの仕事をこれっきりだと言っておきながらキムに拒絶され、繰り返す。



>>>
Gould:
Then I think to myself, “Well, human beings usually surprise me in real life.” And you hope you take some of it from real life. Human beings usually don’t act purely in their self-interest. They don’t act logically. We try to honor that and to really understand these folks as best we can.
<<<
「Human beings usually don’t act purely in their self-interest. They don’t act logically.」これこれ。
思わぬところを見落としてたり、時に理不尽にも見える行動を取ったり、論理的ではない行動をとるのが人間で、そういう不条理さを自然に、「理不尽だけど分かるわ~」って見せるところが上手いと思う、アルバカーキ・サーガは。


▽M. McKeanへのファンの反応
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McKean:
You can buy her(※ジミー&チャックの場合母親) pride by working hard, but if someone seems to be loved more than you are and you can’t explain it and it doesn’t make sense, then the world’s a little bit crazy and you might have to go a little crazy to keep up with it.
<<<
「役者自身は好きだがチャックは嫌い」が殆どだそうだが、中には彼への理解を示す人もいる、とも言っている。

そして上の引用部分になるんだが、どうしても得られないものって人生の中にはあって、例えば意中の人が自分に恋愛感情を抱く事とか、どれだけ欲しても無理な場合がある事がある。それが両親からの愛情だったりすると、ジミーだけが偏愛されている(ようにチャックには見える)状況で、チャックがああなるのもしょうがないのかもね、と。
流石ベテラン役者やなぁ。


▽第一印象が継続してしまう事
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Gould:
we learned on Breaking Bad, once a viewer is in somebody’s corner, you really tend to stay in their corner. So if anybody opposed Walter White, the audience hated that person. Especially, and I think most egregiously, in the case of Skyler. There was a lot going on, there. There was a lot going on with Skyler. But the truth is it’s very hard to break out of. First impressions matter, I guess is the way to put it. It takes a lot to pull yourself away from the first impression of the character, even though we who work on the show may see things very differently. I have a lot more sympathy for Chuck than I think most of our viewers do.
<<<

自分はBreaking Bad1回目の時でもSkylerの行動は十分理解出来て、理不尽な嫌われ方してるなぁと思ってた。スカイラー叩きを延々としてるの、1回しか見ないような層ならまだしょうがないか、とも思えるんだけど、Redditに住み着いてるような人らでも未だにSkylerヘイト拗らせてるの本当に謎だ。
チャックの場合は初見時はあまり同情もできなかったのだけど。

「I have a lot more sympathy for Chuck than I think most of our viewers do.」はよくわかる。
ヘクター・サラマンカのだって心情を理解する事は出来るしね。行動は全く肯定したくならないが。
キャラクターへの愛情やその筋の通し方は好きな所の一つ。たとえモブでさえもみんな筋が通ってる。

▽ジミーの性質について。
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Gould:
He’s also someone who loves pleasing other people, so he’s been changing his identity especially to try to please Chuck, to try to please Kim, to try to get ahead. So I think of him as a searcher and someone who’s trying to find his place in the world and trying to matter to the people who matter to him.
<<<
ジミーを自分にとって大切な人たちのために役に立とうとする探究者だと評するGould。
その大切な人の上から2人がチャック&キムだったわけで、Better Call Saul開始時の汚い事はするが基本的には人の好いジミーと、人の死さえ弄ぶソシオパシックなBreaking Badでのソウル。相当なギャップを埋めるために、一人を自分にも責任がある形で殺して、もう一人は自分にはどうしようもない事で別れさせる。
まぁよくもこんな(ジミーにとって)酷いシナリオがかけたもんだ(褒め言葉)。


▽ソウル・グッドマンという名前は脱税の為ではない。
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Gould:
And we had talked about this: does he just pretend to be Saul Goodman and then become a lawyer in order to evade the year? Our legal consultants tell us that that’s not a reality.
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▽ジョナサン・バンクスについてのMcKeanの評
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McKean: Banks is amazing and fun. He’s a horrible human being, but… No, I adore him.
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このhorribleはどういう意味なんだろう?悪い意味の形容詞にtheを付けると意味が逆転するとかいうのは聞いた事があるが、aだしなぁ……??ただの冗談?



◇先ほどのAlanが310ライターのGenniferにインタビュー
https://uproxx.com/sepinwall/better-call-saul-finale-recap-interview-gennifer-hutchison-chuck-mcgill-dead/

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Q: To me, the look on Chuck’s face says he knows what he’s doing and he just wants this all to end. Some other people have argued that he’s no longer in control of anything that’s happening. When you were writing it, what was your thought: is this an intentional act?
A: I think that he knows what he’s doing. I think there’s a feeling of inevitability for him, maybe. It’s not a decisive action. It’s a depressed action of, “Okay, I guess I’m just going to do this. This is it. This is the inevitable.”
<<<
インタビュアーのAlanもGenniferも、チャックは自分の言っている事が分かってるという意見だそう。
自分は違うんだけど、何度考えなおしても今は変わりそうにない。




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それにしても、やはり会話は記事になってる文章とは違って理解するのが難しい場所が多い。接続詞でだらだらつづけたりもするし。また、S6のPodcastと違って対面なので、発言かぶりも多い。知ってることについて話してるのに、どういう事を言おうとしてるのか解釈するのに物凄く時間がかかる時がある。
もっと英語上手くなりたいなぁ。もしくはDeepLもっと精度上がれ。
 

午後4:50 · 2022年10月22日 / フィナーレ直後のEW.COMの記事について

ベターコールソウル フィナーレ直後の記事、自分の感想が固まった後で読もうと思って読んでなかったのをあれこれ見てるけど、なかなか面白い。またとりとめもなく。引用部多め感想少なめ。

https://ew.com/tv/better-call-saul-bob-odenkirk-on-series-finale/

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They're at peace, and they're finally able to exhale — hence, the cigarettes. I mean, cigarettes are a great way of showing that, characters exhaling. [Laughs] They are finally able to exhale all the tension and maintenance that they've had to do, of their personas and their lies and their presentation to the world — and to each other.
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フィナーレ最後の指鉄砲について
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Yeah, I think it was a smile. I think it was a, "And the scams were fun, too." [Laughs] "And come on, we had fun, too. I mean, we shouldn't have, and our emphasis was wrong, and we've just owned up to our failings really in important ways. We've accepted them and told the world, but we also had fun and I won't forget it."
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フィナーレ後の2人について
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And then I think they see each other and I think he thinks she should stay married to that guy and have a life.
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Bob的にはキムはグレンと結婚してる認識なのかな?この上でも1度結婚してるって言ってる。ライターズルーム的にはどっちなんだろ?脚本家が結婚してると明言してる所は見た記憶が無いんだけども。


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but how I perceive it is, everybody doesn't always learn the worst lesson from what goes wrong. It might be true that it happens most of the time, but sometimes people learn the right thing from getting their ass kicked by life.
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チャックとウォルターの類似点
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That [scene] is so great because know this, as Jimmy, I'm just picturing talking to Chuck. He's talking to Walter White and I think that emotionally he's realizing, "Oh my God, what attracted me to this f---ing guy?" He was like Chuck. He was a smarter guy than me in a lot of ways. He castigated me. Walter White would say, "You f---ing idiot." He was like, "You're just a scumbag lawyer who's just after money." He didn't respect me just like Chuck. He needed me. I just put myself in this f---ing paradigm again! And I've got this guy who everything I say he scoffs at and treats me like shit, why do I need this person in my life again? It's that great thing of people unbeknownst to themselves find themselves rebuilding the paradigm with all the bad parts that they had as a kid. And that Walter White scenario is the same thing again. Walter is just a different version of Chuck.
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あんまりその発想は無かったなぁ。ウォルターにチャックの影を見ているようなところがあったのか(少なくともBobの中では)。


フィナーレの法廷シーンをチャックが見たら
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That makes Chuck's move that kept Jimmy out of respectable legal community a shitty, selfish move, because Chuck had appraised Jimmy as being irredeemable, and this would prove him wrong. So Chuck would probably be saying, "Wait, what's your game here?" And realizing there's no f---ing game. "How could he do that? How could he just prove everything I live for wrong? And I'm an asshole. I'm a huge asshole — in the
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Bobがチャックに対してボロクソなのが面白い。この「フィナーレの法廷シーンをチャックが見たら」てのは自分も考えたことで、多分フィナーレの感想で書いた気がする。


法廷シーンをBobの提案で撮り直した事
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Yeah. And people were like, "What? You're going to do it again? No, no! You did it so great! People were crying! No, no, you don't need to do it again!" And I said, "No, I think I do. I think I was too emotional." Over the years doing this show, I've become so suspicious of feelings on screen, especially tears. I really have gotten to feel like they have to be really earned. And I think Rhea's bus scene is a great example of earned tears. And I said, "I think I went too quickly, too easily to the well here. I'd like to do a more restrained version." And it was great because we came back a week later, we got the set back. It was not an easy set to get. That's a federal courtroom, so they don't just give those out. And you know what was great about it? It was better. It made more sense. We found different blocking things that I stumbled across in the course of doing it again for the 30th time. It's just better in every way, and everyone agreed when we were done. It was like, "Yeah, you were right. I'm glad we shot it again."
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これはなかなかのびっくりエピソード。役者の提案で、みんな十分いいものが撮れたと思っててもさらに撮影するとか。
個人的にはフィナーレのあのシーン本当に最高of最高だから感謝しかないんだけど、あそこまで抑えた演技にしたのはBobの、役者の提案だった、そしてそれを制作陣が受け入れたのって本当にすごい事だと思う。



Bobは以前から、自分はJimmyの事は好きだけどSaulの事は好きじゃないと言っていたが、あの結末を迎えてJimmyが全ての重荷から目を背けずに向き合った事に対して、そしてキムとのコネクションが戻ったことについて物凄く喜んでいるのが本当に印象深い。



https://variety.com/2022/tv/awards/bob-odenkirk-rhea-seehorn-better-call-saul-podcast-1235343339/
でのpodcast


法廷シーンにキムが居なかったら
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Bob: And it's just a beautiful thing that they wrote and I think for the right reason is I mean, it's if Kim wasn't in that room, he would have run his little game and gotten his seven years.
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自分はこれ、たとえいなくてもって思ってたんだけどBobは違った模様。



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Q: So would you what the two of us call this a happy ending?
Bob: It's weird. I think it is. Yes, it's crazy because he's going to jail for the rest of his life. Absolutely consider it the best and he could have because he's at peace with himself and he's got he's got her. He's earned her love. And he knows that even though they can't be together. No, he proved himself to the one person he cared about how about you?
Rhea: Yeah, I mean, happy is hard to wrap your head around. But I find it find it helpful and I do find it to be some positive I do think it's, there is light, there is light there and and I agree with Bob, it's about living, living without the burden that they both have had hanging over them their whole lives trying to outrun what people think of them and you know, certainly Jimmy more than can but we know Kim didn't come from a safe positive upbringing either. And I think it's, I found it to be a positive ending. And the happiest that you could be for those people.
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あの時点までは確定していたとすれば、これ以上ないほどのHappyEndだとしか(苦い部分はあれど)思ってなかったので、ハッピーエンドと断言出来ない人がちらほら見られたのが良く分からなかった。

キムとジェシーのシーンについて
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Rhea: I thought they used that scene so well showing to people on the opposite ends of realizing there their past went wrong. You know Kim is on the other side of realizing that she that her life right now is a product of many wrong turns. He he's at the beginning about to experience that and still thinks everything is smooth sailing. And also the juxtaposition of Aaron's energy as just a in that is so great and it's upbeat and it's ridiculous and inane and all over the place and hers we know was yet another scene. Where the audience actually Kim's confident in the moment and know what she's thinking and feeling as she stands there and he has he has no idea because I love the scene that's in the office as well that precedes it with Jimmy and him. You know, doing this huge false front to pretend that he doesn't care about them anymore and and Kim knows it but it still hurts. And that was a really fun scene to play. You. We audibly heard the krugel when he's, you know when he's like Have a nice life they were like oh my god
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あのシーン、プロットが進展することはないシーンなんだけど、それでも好きな理由が言語化されてる。
BrBaの主人公のモラルセンターだったJesseと、BcSの主人公のモラルセンターだったKimの、使用前・使用後みたいな。
プロットは進まなくても、この対比があるのが凄く印象深くて好きだった。


タイムマシンでやり直したい事。Rheaは無いと。
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Yes, I was raised Catholic I would like to go back and fix things.
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具体的に何があったのか、昔チラっと見た気もするが今探しても見つからない
https://www.rollingstone.com/tv-movies/tv-movie-features/the-last-word-bob-odenkirk-on-catholic-guilt-the-replacements-and-late-breaking-fame-124033/ とかでも少し触れられているけども、英語が良く分からない……
あれこれみても、ただカソリックに対して否定的というわけでもなさそうで。

https://www.esquire.com/uk/culture/film/a36587604/bob-odenkirk-better-call-saul-interview/
でこんなやり取りが。
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Q: Both Hutch Mansell and Saul Goodman get themselves into a world of trouble. What’s the most trouble you’ve ever been in?

Bob: Huh. [Thinks] I’m a pretty good Catholic boy.

Q: Your first joke as a stand-up was about being Catholic…

Bob: Yes. ‘I was raised Catholic, which means I’m atheist’. I think I got lucky by never going too far. I’ve never been arrested. Gee… I’m trying to think of something that qualifies. I never cheated on my wife. I don’t have anything good for you.
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肯定的というわけでもない。前提となる知識が無いからかよくわからない。< ‘I was raised Catholic, which means I’m atheist’.


元のPodcastにもどって。
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Rhea: I think I do think her dad was a con man. I don't think he was in and out of their lives and any gifts that He gave like you always knew they were probably stolen. And, and then I think she I think she called some cons and I think she shoplifted again. You saw her do it. Once. I think she did it again. And I think she started to realize that the only way she was going to have a better life than those around her in the small town she was in would be if she went about it in a very slippery way and made a decision that she wanted to see what she could do on the straight and narrow and I think by the time she gets to the mailroom and meets Jimmy it is she has made a decision where she wants to prove to herself that she could that she could make something out of herself on the up and up. But there's a part of her that always gets drawn back to the more the coloring outside of the lines and the more colorful way to do it. And I think that her upbringing is also part of why she really I think she was she and her family were very much treated like crap for being I think they lived in a trailer park and I think there was a lot of class issues for how she and her family were treated that later makes her have such disdain for the Howard Hamlins of the world.
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このRheaのKim観はなかなか面白い。自分はキムが子供の頃にやった万引きはあの1回だけだと思い込んでいた。
父親にも言及してるけど、母子家庭じゃなくて父親が出てこなかっただけ(もしくは離婚?)認識なのも可能性に思い至らなかった。
「But there's a part of her that always gets drawn back to the more the coloring outside of the lines and the more colorful way to do it.」104 Heroで、HMMのテレビでジミーのニュースをみてほほ笑んでいた時から、Rheaや制作チームにはキムにはそういう性向があるというのをしって自分は少しびっくりした。

びっくりしたけど筋は通るんだよなぁ。


最後にMaking of 'Better Call Saul': Special roundtable panel with 3 executive producers
GOLD DERBY
https://www.youtube.com/watch?v=7b6qTgI1hGA

でのMelissa Burnsteinの発言
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I think breaking bad it was all like it was all much more in a show I love so much well, but it was a little bit more straightforward. In terms of, you know, like taking Mr. Chips and turning them into Scarface, and then, you know, and then like all the layers of that journey and like and how was put on it. This is just so much messier. Like Jimmy is such a messy person, and like and and then I think the relationships on the show matters so much like it's it's really not just about the singular arc of, you know, this devolution of Jimmy to Saul. It's really it's about like how these very flawed very damaged characters interrelate. And like what comes out of those relationships and it's, it's, it's, it's murky that tells us about our humanity, hopefully.
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これが自分がBreaking BadよりもBetter Call Saulが好きな理由。
Breaking Badも物凄く丁寧に作り込まれた文句なしに面白い番組なんだけど、Better Call Saulに比べると簡単。
色々と解釈が難しいところもあるんだけど、基本的には心理的なものではなくて状況的な物が多い。
一方でBetter Call Saulではキャラクターの心理的・感情的を推測する余地がBrBaに比べると物凄く大きい。

ネットで、「Breaking BadやBetter Call Saulは24-TWENTY FOUR-と違ってジェットコースター的展開じゃない」という意見を見た事があるんだけど、自分的にはBrBaはまさに24的なジェットコースター展開としか思えない。(日本のジェットコースタードラマというわけではなくて。) 24もBrBaも、次々襲い掛かってくる困難なシチュエーションにその時点時点での状況に応じた最適解をつっきっていくという展開の仕方が共通してると思っていたから。展開の速度的にもBrBaと24は割と似てる気がする。
 

午前1:42 · 2022年10月27日 / エリン・ブロコビッチとBcS S1の類似点

エリン・ブロコビッチみたんだけどこれもうほぼベター・コール・ソウル S1じゃん

破産寸前の弁護士とは縁遠そうな人ドアの色が違う車に乗っていかめしい弁護士と一緒に仕事して正攻法とは言えないやり方

理解のあるパートナーと
大企業相手の集団訴訟
クライアントからの好感度が高くて
他の事務所と共同弁護になって
早期解決か本訴訟かで揺れて(これはS2以降だけど)
ケトルマン

カリフォルニアで景色もニューメキシコと結構近いし、チャックポジの人も微妙に似てる。
他にもいくつも共通モチーフあった気がするけど忘れた。

映画殆ど見ない人だから見てなかったし、見てても多分忘れてたやろなこれ。特にケトルマン
単体でも面白かったけど、BcSのオマージュ元探すために見るのも楽しい。