Better Call Saul S6Ep06 Axe and Grind(目には目を) Teaser
ガスの中の人監督回。
金色のハンガーの列、従業員への注意書き、大量のスタンプがかけられたホルダー。どこかの倉庫のようだ。貧乏揺すりする足だけが映る。キムだ。顔が映ると、ローティーン位のキム。白地に赤いリンゴのTシャツ、光の加減で緑っぽくもみえるデニムのオーバーオール。
店長と思しき男とキムの母が倉庫兼事務室に入ってきて、母はキムを激しく叱責する。
母は代金は支払いますと主張するが、ピアソンは二度とやらないと約束するなら権限で何とかなるからと、遠慮する。それでも支払おうとするが、結局は「You've benn very, very kind」と、お言葉に甘える。
店(Svensen'sと読める)の外で、キムに「お母さんを悲しませるんじゃないよ」と送り出すピアソン。お決まりのセリフ。遅れて母が出てきて改めて例を言い、立ち去る。
ピアソンに背を向けた母は笑いをこらえきれない様子。角を曲がったところでこらえられず噴き出す母、不審げ(ずっとだが)な顔のままのキム。車に乗り込むと、懐(内ポケット?)からイヤリングとネックレスを取り出す母。先ほど遅れて出てきたのはこのため?倉庫兼事務所での最後のカット、キムがありがとうという場面で、デスクの上にこの商品がある。流石に店の中から別の物を万引きする時間は無さそうだし、これを回収してきたのだろう。
「ママも役に立つでしょ? Your mom's good for something, huh?」と自慢げな母。
この態度はジミーの話術を強く想起させる。
キムの子供時代のFlashbackはS5Ep06 Wexler v. Goodman(ウェクスラー vs グッドマン)以来2度目。前回はだらしない母に憤慨して、車にのらずに歩いて帰ったYoungキムだったが、このイヤリングを今も付けているのは何とも思わせぶりである。
タイトルコールは荒野の公衆電話。
Better Call Saul S2Ep03 Amarillo(テキサス) A4
D&M。CMオンエアの直前、心配げに手順の確認をするジミー。青基調の小紋タイだが、赤が混じっている。犯罪を犯しているわけではないが、逸脱の暗喩だろう。
なかなか電話が鳴らず、焦れるが、最初の一本が掛かってくるとどんどん電話がなり、あちこちで職員が電話対応にあたる。ジミーは成功を噛みしめる。
ステイシーの家、ケイリーとステイシーがベッドで寄り添って寝ている。マイクも説得が成功したようで、別の部屋で寝ている。そこへカルデラ(獣医)から電話が。指名での高額オファーがあった、内容は不明だと。誰だ?と聞いたところでシーンカット。
ジミーの社宅で、「ICE STATION ZEBRA」を見るジミーとキム。ジミーの腕の中でほほを寄せるキム。親密さが増している。
ジミーの携帯が鳴り、場所を移すジミー。電話はクリフからで、勝手にCMを流した事で酷く叱責される。たくさんの電話があった事や費用の少なさをアピールするが、クリフはそんなことは問題としていない。電話は切れるが、ジミーはクリフに褒められているように装い、キムの元に戻る。
キムは紫(安全、偽のだが)のトップス、ジミーはグレー(気落ち)のTシャツ。
廃倉庫のようなところに乗り付けるマイク。相手はナチョだ。「消してほしい男がいる」
Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A4
ミチョアカノ
いつものメキシコ料理屋で集金作業をするトゥコとナチョ。将来クレイジーエイトという通り名を持つ事になるドミンゴがトゥコの「嘘発見器」にかけられている。トゥコの胸元にはボクシンググローブ型のシルバーネックレス。
ドミンゴのポロシャツの左胸には「TAMPICO」の文字が。Breaking Badファンならご存じだろうが、クレイジーエイトが話した父親が営む家具屋のロゴだ。
ミチョアカノの外、公衆電話から警察に「これから起こる暴行事件」の通報をするマイク。そしてミチョアカノの駐車場に入ってきて、トゥコの車と接触させる。
当然トゥコは「あの野郎!(What the fuck?)」となる。S2Ep03で2回目のFワードだ。
マイクは店に入り、商品をテイクアウトする。ぶつけた事を受け流すマイクを追ってトゥコは車の前で更に言い合いに。保険で済ませるから連絡先を、と言うマイクにトゥコは現金をだせ、と。まぁ当然ですわな。
財布にたくさんの金を見たというトゥコに、ズボンに挟んだ拳銃を見せつけられ、財布を出せと脅されるマイク。遠くからサイレンの音が聞こえ始め、マイクは財布を渡し、ナチョはそろそろズラかろうというが、狂犬トゥコはまだおさまらない。ナチョだけ先に逃げ出し、マイクはトゥコの襟元を掴む。逆上したトゥコは腰の拳銃を抜くが、予想していたマイクに即はたきおとされる。
右手でトゥコの襟元を掴み、左手で建物の柱に捕まりながら、ひたすらトゥコの右パンチを左顔面に受けるマイク。警察が到着し、トゥコに最高のドヤ顔をするマイク。
夜の廃倉庫
ナチョとマイクの密談。警官が目撃したので裁判で証言する必要もなく、5年から10年の刑期だとマイク。殺せばもっと楽に倍稼げたのに何故殺さなかったのか?とナチョ。マイクは答えずに踵を返す。
Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A3
チャックの家、翌朝。
ジミーは椅子で夜を明かしたと。紅茶が欲しいというチャックに大人しく淹れてやるジミー。無理をするとああなるんだ、というチャックに、キムを追い詰めるために無理をしたからだろうと詰るジミー。チャックは人事はハワードが決めた事だというが、ジミーは信じない。ハワードはキムが推したからこそ、D&Mに推薦した。だからこそキムに怒っているのだ、とチャックは重ねて言うが、やはりジミーは信じない。
キムが罰されるのは当然だというチャックに、やっとキムがCMの事をクリフも了承済みだと思っていた事をバラす。何故言わなかった?俺をかばおうとしたんだ。だとしても判断力に欠けている、とチャック。
結果を出したんだからいいだろう?と開き直るジミーに「ルールを破った」「キムを共犯者にした」「ハワードやクリフの顔を潰した」と畳みかけるチャック。
チャックは、ジミーを弟だし、愛している、しかしアル中のように自分の問題を認めない。アル中にスクールバスを運転させる様な事はさせないんだ、と罵る。
ジミーは聞き流し、「キムを元に戻すにはどうすればいいんだ?」と聞き返す。弁護士を辞めれば戻せるのか?それならそう言え!と言うが、勿論重罪となるような脅迫をチャックはしない。ジミーはキムの待遇を戻せば弁護士を辞める、脅した事も漏らさない、ただ自分の口で「辞めろ」と言うが、勿論応じない。
この会話の端々から、ジミーの言う通り「キムを窓際に追いやったのはチャックの意思だ」という事が暗示される。そこで以下の会話。
チャック
重罪を犯せと? 自分と同じにしたいのか?私を偽善者だと思ってるんだろう?
ジミー
どうだろうな さあ 俺と泥にまみれてみろ!さあ 俺と泥にまみれてみろ そうすれば望みが叶う
まさにジミーは自分と同じレベルに落ちてくる事を、お高くとまったチャックに望んでる。恐らく、辞めろと言ってもジミーはそれをチクったりしないんだろう。「私は悪人じゃない」と断固拒否のチャック。
チャック視点で見れば、何よりも大切に我が身を笹下げてきた法律に背く事になる。ある面では嫉妬してやまないジミーと同じになってしまう事は絶対に出来ない。決して交差しない平行線。
「今ここを出ても20分の遅刻だぞ、また褒められるな。」と皮肉を聞いて、ジミーは無言で立ち去る。
昼間の廃倉庫。マイクとナチョが密会中。
殺しはやらないというマイクにナチョは食い下がるが、本当の問題は秘密がある事で、殺せばカルテルは必ずナチョの仕業だと突き止める、とマイク。それでも食い下がるナチョに、他の方法を示唆するマイク。
Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A1
CM放映の翌朝、D&Mのクリフと2人のパートナーにCMビデオを見せる。ジミーはグレーのスーツに白字に藍色の小紋タイ。
昨日電話でも叱責されたのに、コストの安さや掛かってくる電話の数をアピールするジミー。パートナー達はそういう問題ではない、無断で実行した事が問題だと。他にもクライアントはおり、今まで慎重に積み重ねてきた評判を損なう行為だとなじられる。採決では解雇だが、セカンドチャンスを与えるクリフいい人。
言葉も無く立ち去るジミーに社長秘書は冷たい顔。ジミーの憤然とした様子を見たアシスタントのオマールが心配げ。
部屋に戻るとすぐにキムに電話するが留守電だ。ここでHHM会議室の外にシーンチェンジ。プラスチック箱の中のキムの電話へクローズアップ。会議室ではハワードがキムを問い詰める。CMの件は知っていたのか?と。キムは見せてもらったが、報告する必要はないと思ったと。D&Mへのメンツを潰され、事務所の評判にも傷がついたハワードはお冠。勿論キムが報告の必要を感じなかったのは、ジミーがクリフの許可を得ていると偽ったからだ。キムはジミーをかばい、その事には言及しない。
ハワードはグレーのニットタイ。
場面は変わり、サラマンカがたむろするメキシコ料理屋エル・ミチョアカノを少し離れた場所から眺めるマイクとナチョ。
真っ黄色の外壁はメタンフェタミンの色。ナチョはこのシャツの下からわずかに赤いアンダーシャツをのぞかせている。
毎週火曜日に行われる売上回収の手順を詳細に語るナチョ。トゥコの「嘘発見器」についても言及。ここから帰る所を銃撃して逃げろ、とナチョはいうが、マイクはリスクの高さから拒絶。
何故殺すのかと聞かれたナチョ。昔のトゥコが、少しの疑いで、ショットガンを好きだった部下ドッグの頭にぶち込み、頭蓋骨の破片が鎖骨辺りに刺さった話をする。当時やってたドラッグ、クランク(英字幕ではpeanut-butter crank、メタンフェタミンだそうだが、クリスタルとの差は調べてもよく分からない)でもそんなだった。今のドラッグはもっと危ないから自分の命に関わると。
狙撃なら安全に遂行できる、とマイクは言うのだが、5万ドルという報酬を確認すると、「考えてみる(I'll look into it)」と保留する。
Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A2
夜のHHM玄関。掃除員ジェスアルドに入れてもらうジミー。今は慌てているが、これまでの仲の良さを感じさせる会話。キムのオフィスに向かうが部屋は空だ。別の掃除員が地下に居ると教えてくれる。
共同スペースのような長い机が並んだ「トウモロコシ畑」で一人残業するキムを見つけるジミー。長々と言い訳をするが、警告したでしょ?と流すキム。ハワードと話すというジミーに、
What, call him a pig fucker again? Yeah, that will help.
また“ブタ野郎”と呼ぶ? 助かるわ
とキム。この「また」はS1Ep09で、サンドパイパーの案件から締め出されて激怒したジミーが、ハワードに言った件だ。日本語では分からないが、貴重なFワードをここで使っている。Season2ではFワードは合計4回だ。
それでもハワードと話すというジミーに、強烈なNOを突き付けるキム。「話したら私たち終わりよ」というキムに「じゃぁ、まだ終わってないのか?」と、女々しいジミー。最後にもう一度謝って立ち去るジミー。
チャックの家に来るまで乗り付けるジミー。いつも電池付きデバイス入れにしてるポストの前で一瞬立ち止まるが、何もせず玄関に向かう。が、また逡巡し、引き返して携帯と時計をポストに入れる。
ノックをしても返事はなく、無断で立ち入ったジミーは、カウチでSpaceBlanketにくるまって寝ているチャックを見つけて駆け寄る。水をくれと言われ、ついでにもう一枚SpaceBlanketを出してかけてやるジミー。心配が怒りに勝ってるの優しすぎる……。
モーテルの部屋。マイクは武器商人のローソンに狙撃用ライフルの見立てを頼む。
候補はAR-50、SR-25、M40の3つ。ローソンは銃のナンバーを削った後、ランダムな刻印をして、削っただけでは誤魔化しきれない製造ナンバーを隠匿していると話し、注意深さを示す。
AR-50は「Too much gun」(デカすぎる)、SR-25はセミオートで弾詰まりが心配だ、と却下。マイクはM40を手に取り、慣れた手つきで扱う。木製のストックがグラスファイバーに変えてある、との話にマイクは「濡れた後で日に当たると酷く歪む。ジャングルに送る前に考慮しておくべきだった」と。アメリカ海兵隊の制式銃で、マイクの過去をほのめかしている。
気に入ってはいるようだが、結局何も買わない事にするマイク。足代を渡そうとするマイク、それを遠慮し、必要になったらまた呼べと言うローソン。
Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) Teaser
マイクが自宅へ入る所から始まる。机の上に大金を投げだし、冷蔵庫からビールを取り出し、一息つける。次は冷凍庫から冷凍豆を取り出し、左目あたりに当てる。冷蔵庫にはケイリーの書いたハートのイラスト。スタンドの明かりをつけ、カウチに腰かけたマイクが冷凍豆を下すと、左顔面全体に広がる酷い痣と切り傷、その治療テープ。ここ迄歩き方が少しふらついているような印象はあるが、痣・傷は全く見えないカメラワーク。
胸ポケットから取り出したのは、ボクシンググローブの形の銀のアクセサリ。細かい所まで見ていた視聴者には誰の物かわかったはず。(自分は分からなかった)
タイトル映像は携帯