toorisugari3のブログ

ベターコールソウルの事について、ネタバレ込みでつらつらと

Better Call Saul S6Ep06 Axe and Grind(目には目を) A2

裁判所の法廷

黒のピンストライプスーツのキムが、黒人の少年を弁護をしている。

重罪レベルの量のマリファナが見つかった,そのきっかけとなった交通違反で止められた事。その原因となったアルバカーキアイソトープスの飾り、似たような飾りは裁判所の駐車場の1/3にあったと話し、「法執行の一貫性」の問題とした上で、証拠排除(前記のマリファナ)を求めるキム。逮捕した巡査と被疑者との過去も指摘する。

 

その後、一連の弁護を見学していたクリフと裁判所の廊下で話をするキム。クリフはキムの、最低賃金レベルの献身的な弁護に感銘を受けている。

ハワードやHHMへの遺恨が無いかの確認も、サンドパイパーを共同案件としている配慮からの質問だろう。ハワードやHHMには大きな恩があると語るキムだが、これは勿論今となっては大嘘だ。

クリフは東海岸で有名なジャクソン・マーサー基金という名前を持ち出す。近々西海岸でも活動をはじめるそうだ。

なお、ジーン・タカヴィクがオマハで乗ったニューメキシコ出身のタクシードライバーアイソトープスの飾りをつけていた。

 

ソウルの新しいオフィス

キムがドアをノックする。フランチェスカがキムだと気づいたら、別人かと思う程愛想が良くなり招き入れる。オフィスの待合室はソウルから勝ち取った権限で、彼女がコーディネートしているという。お上品で居心地がよさそうなたたずまいで、Breaking Badでの待合室とは正反対だ。

フランチェスカコーディネートの待合室

フランチェスカには笑顔を見せるキムだが、顔を見せていない時はあまり浮かない顔をしている。キムの思う「ソウル像」からかけ離れているからか、単に「カルテルの友達」という餌に釣られてくる客層には合わないとおもっているのか。それでもフランチェスカにはいい顔をしてセンスを褒めるキム。帰る時には笑顔でハグをする。S4Ep05のTeaser部フラッシュフォワードでソウル・グッドマンが拒否されたのと対照的だ。

 

フランチェスカがBreaking Badで極端に不愛想なのは、ジミーのする事でキムが何か酷い目に合ったから、なのかなぁと妄想する。あの態度の差は少々の事では説明できない。

 

 

ソウルの執務室

UNM(ニューメキシコ大学)のカメラクルー(今回はビデオではなくスチルカメラ)と役者が居る。役者にサンドパイパーの調停員の変装をさせ、何かの写真を取るようだ。キムに付け髭を選んでもらい、二人の話をしに待合室へ。

 

ジャクソン・マーサーの件を報告され、ジミーは大喜び。だが、まだ確定はしてなくて、基金の委員や副知事との昼食会で、いくつかの前途有望な組織の代表が招かれると。クリフはキムを推薦してくれるようだ。ところが、この昼食会の日は「D-Day 決行日」と重なってしまった、とキム。「Was Eisenhower on Omaha Beach? No. 最高司令官が上陸地に立つか?」と返し、大いに喜ぶ二人は熱いキスを交わす。

 

 

ドイツの森の中

キスをぶった切るような勢いで斧が振り下ろされ、薪が真っ二つに。先行き不安な演出だ。茶色いブーツにブルージーンズ、深緑のシャツで薪を割る髭面長身の男。ヴェルナーの部下だったキャスパーだ。オリジナルタイトルのAxe回収。

そこへ車で乗り付けるラロ。警戒するキャスパーに「どこかであったか?」と聞かれ、「正式にはあってない」と答える。危険を察知して小屋へ逃げ出すキャスパー、拳銃を構えて小屋の中へ負うラロ。

 

暗い小屋の中、不意を突かれて斧の刃が無い側で腹を痛打され、倒れこむラロ。フリングの件で来た、ジーグラー夫人に送った記念品を辿ってきた、と記念品製造会社の名刺を差し出すラロ。

記念品制作会社の名刺、その裏の剃刀

最初は剃刀の部分をボカす演出がニクい。この剃刀で不意をつき、斧を奪って片足首をぶった切るラロ。話があるから血を止めろと自分のベルトを投げ渡す。

 

Better Call Saul S6Ep06 Axe and Grind(目には目を) A1

ハワードの自宅

アイロン台兼プレスマシーン、カフリンクスやタイピン、キー等の小物入れ、並んだスーツ、靴、クレリックシャツ、カラフルなネクタイ(ニット多め)。

勿論ハワードの部屋だ。ジャケットを深い緑のジャギュア後部の持ち手に掛ける。丁寧過ぎるほど丁寧にマシンでコーヒーを入れる。タイトルのGrindはコーヒーを挽く事かな。それにしても邦題「目には目を」はどうなの……

 

そしてハワードの妻シェリル初登場。喧嘩は止めて話し合おう、と「ピースマーク」をあしらったハワードのラテアートを、無造作に持ち出し用マグに移しかえるシェリル。ハワードの表情が胃にくる……

資金集めのパーティーへの参加をどうするか相談し、その流れでハワードはジミーの嫌がらせがまだ続いている事を明かすが、シェリルはそっけない。

 

オフィス

自分のオフィスだろうか、ハワードは雇った私立探偵からの報告を受けながら、その写真を見ている。「三日前だけは行動が違った」、銀行で2万ドル程度の現金を引き出していたとの報告。ニヤつくハワード。

 

 

 

夜の動物病院

子犬を抱いた夫婦を招き入れる獣医カルデラ。直接本筋には関係無いが、リアリティを感じさせてくれるこういうシーンが好きだ。

 

開いたドア越しのカット、注射後のゴム手袋を外し、しばらく様子を見るように言い残して「他の患者」がいる奥へと向かうまでの長回し。奥に居たのはジミーとキムだ。

薬剤を皮膚に塗った後の反応を待っているようだ。反応はカフェインの感受性による(Depends on how used to caffeine you are.)と言ってる。

 

会話の中で、カルデラ

Anyway, a guy's gotta know when he's bagged his limit.

引き際を知るのは大事だ

と、フラグにしか思えないセリフを口にする。どうやら引退が近いらしい。

カルデラは本当に動物が大好きで、動物たちとの暮らしを始めるとのこと。その際に闇の人脈リストである「黒い手帳」を処分するときいたジミーとキムは頼んで見せてもらう。

黒い手帳(little black book)とBest Quality Vacuumの名刺

あっさり見せてくれた手帳は暗号で書かれているが、”あの”人消し屋の「Best Quality Vacuum」の名刺はそのまま挟んであった。キムはこの手帳にあまり関心がなさそうだが、ジミーは「It's passive income, minimal risk」と、非常に興味をそそられた模様。Breaking Badにおける裏世界の人脈は、まず間違いなくこの手帳によるものだろう(S6Ep01のTeaserで、この手帳が映されている)。

 

こんな金のなる木を手放すなんて信じられない、というジミーに、キムは

Well, he knows what he wants. 彼には――もっと大事な物が

と。キムにも金よりも大事な物があるのだろう。ジミーはあまり金に執着してないような気がしていたのだが、ここで簡単に金を稼ぐ事に興味を示している。こちらが正解なのかな?

 

そしてジミーの目を覗き込んだキム、凄いわと鏡(カメラ)の前に連れていき、ジミーの広がった瞳孔を見せつける。

ハワード陥れプランの予備実験だ。

Better Call Saul S6Ep06 Axe and Grind(目には目を) Teaser

ガスの中の人監督回。

 

金色のハンガーの列、従業員への注意書き、大量のスタンプがかけられたホルダー。どこかの倉庫のようだ。貧乏揺すりする足だけが映る。キムだ。顔が映ると、ローティーン位のキム。白地に赤いリンゴのTシャツ、光の加減で緑っぽくもみえるデニムのオーバーオール。

店長と思しき男とキムの母が倉庫兼事務室に入ってきて、母はキムを激しく叱責する。

万引きして母を呼ばれた幼いころのキム

母は代金は支払いますと主張するが、ピアソンは二度とやらないと約束するなら権限で何とかなるからと、遠慮する。それでも支払おうとするが、結局は「You've benn very, very kind」と、お言葉に甘える。

 

 

店(Svensen'sと読める)の外で、キムに「お母さんを悲しませるんじゃないよ」と送り出すピアソン。お決まりのセリフ。遅れて母が出てきて改めて例を言い、立ち去る。

ピアソンに背を向けた母は笑いをこらえきれない様子。角を曲がったところでこらえられず噴き出す母、不審げ(ずっとだが)な顔のままのキム。車に乗り込むと、懐(内ポケット?)からイヤリングとネックレスを取り出す母。先ほど遅れて出てきたのはこのため?倉庫兼事務所での最後のカット、キムがありがとうという場面で、デスクの上にこの商品がある。流石に店の中から別の物を万引きする時間は無さそうだし、これを回収してきたのだろう。

謝るキムと、イヤリングとネックレス

「ママも役に立つでしょ? Your mom's good for something, huh?」と自慢げな母。

この態度はジミーの話術を強く想起させる。

 

キムの子供時代のFlashbackはS5Ep06 Wexler v. Goodman(ウェクスラー vs グッドマン)以来2度目。前回はだらしない母に憤慨して、車にのらずに歩いて帰ったYoungキムだったが、このイヤリングを今も付けているのは何とも思わせぶりである。

 

S3Ep03A2での、イヤリング装着シーンと、今回の場面

 

 

タイトルコールは荒野の公衆電話。

Better Call Saul S2Ep03 Amarillo(テキサス) A4

D&M。CMオンエアの直前、心配げに手順の確認をするジミー。青基調の小紋タイだが、赤が混じっている。犯罪を犯しているわけではないが、逸脱の暗喩だろう。

 

オンエア前に緊張するジミー

なかなか電話が鳴らず、焦れるが、最初の一本が掛かってくるとどんどん電話がなり、あちこちで職員が電話対応にあたる。ジミーは成功を噛みしめる。

 

 

ステイシーの家、ケイリーとステイシーがベッドで寄り添って寝ている。マイクも説得が成功したようで、別の部屋で寝ている。そこへカルデラ(獣医)から電話が。指名での高額オファーがあった、内容は不明だと。誰だ?と聞いたところでシーンカット。

 

 

ジミーの社宅で、「ICE STATION ZEBRA」を見るジミーとキム。ジミーの腕の中でほほを寄せるキム。親密さが増している。

ジミーの社宅で映画を観る二人

ジミーの携帯が鳴り、場所を移すジミー。電話はクリフからで、勝手にCMを流した事で酷く叱責される。たくさんの電話があった事や費用の少なさをアピールするが、クリフはそんなことは問題としていない。電話は切れるが、ジミーはクリフに褒められているように装い、キムの元に戻る。

 

キムは紫(安全、偽のだが)のトップス、ジミーはグレー(気落ち)のTシャツ。

 

 

廃倉庫のようなところに乗り付けるマイク。相手はナチョだ。「消してほしい男がいる」

Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A4

ミチョアカノ

いつものメキシコ料理屋で集金作業をするトゥコとナチョ。将来クレイジーエイトという通り名を持つ事になるドミンゴがトゥコの「嘘発見器」にかけられている。トゥコの胸元にはボクシンググローブ型のシルバーネックレス。

ドミンゴのポロシャツの左胸には「TAMPICO」の文字が。Breaking Badファンならご存じだろうが、クレイジーエイトが話した父親が営む家具屋のロゴだ。

タンピコ家具の制服姿のドミンゴ

 

ミチョアカノの外、公衆電話から警察に「これから起こる暴行事件」の通報をするマイク。そしてミチョアカノの駐車場に入ってきて、トゥコの車と接触させる。

当然トゥコは「あの野郎!(What the fuck?)」となる。S2Ep03で2回目のFワードだ。

 

マイクは店に入り、商品をテイクアウトする。ぶつけた事を受け流すマイクを追ってトゥコは車の前で更に言い合いに。保険で済ませるから連絡先を、と言うマイクにトゥコは現金をだせ、と。まぁ当然ですわな。

財布にたくさんの金を見たというトゥコに、ズボンに挟んだ拳銃を見せつけられ、財布を出せと脅されるマイク。遠くからサイレンの音が聞こえ始め、マイクは財布を渡し、ナチョはそろそろズラかろうというが、狂犬トゥコはまだおさまらない。ナチョだけ先に逃げ出し、マイクはトゥコの襟元を掴む。逆上したトゥコは腰の拳銃を抜くが、予想していたマイクに即はたきおとされる。

右手でトゥコの襟元を掴み、左手で建物の柱に捕まりながら、ひたすらトゥコの右パンチを左顔面に受けるマイク。警察が到着し、トゥコに最高のドヤ顔をするマイク。

 

 

夜の廃倉庫

ナチョは赤シャツ、マイクはモスグリーンの上着

ナチョとマイクの密談。警官が目撃したので裁判で証言する必要もなく、5年から10年の刑期だとマイク。殺せばもっと楽に倍稼げたのに何故殺さなかったのか?とナチョ。マイクは答えずに踵を返す。

Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A3

チャックの家、翌朝。

ジミーは椅子で夜を明かしたと。紅茶が欲しいというチャックに大人しく淹れてやるジミー。無理をするとああなるんだ、というチャックに、キムを追い詰めるために無理をしたからだろうと詰るジミー。チャックは人事はハワードが決めた事だというが、ジミーは信じない。ハワードはキムが推したからこそ、D&Mに推薦した。だからこそキムに怒っているのだ、とチャックは重ねて言うが、やはりジミーは信じない。

キムが罰されるのは当然だというチャックに、やっとキムがCMの事をクリフも了承済みだと思っていた事をバラす。何故言わなかった?俺をかばおうとしたんだ。だとしても判断力に欠けている、とチャック。

結果を出したんだからいいだろう?と開き直るジミーに「ルールを破った」「キムを共犯者にした」「ハワードやクリフの顔を潰した」と畳みかけるチャック。

 

チャックは、ジミーを弟だし、愛している、しかしアル中のように自分の問題を認めない。アル中にスクールバスを運転させる様な事はさせないんだ、と罵る。

ジミーは聞き流し、「キムを元に戻すにはどうすればいいんだ?」と聞き返す。弁護士を辞めれば戻せるのか?それならそう言え!と言うが、勿論重罪となるような脅迫をチャックはしない。ジミーはキムの待遇を戻せば弁護士を辞める、脅した事も漏らさない、ただ自分の口で「辞めろ」と言うが、勿論応じない。

 

この会話の端々から、ジミーの言う通り「キムを窓際に追いやったのはチャックの意思だ」という事が暗示される。そこで以下の会話。

チャック

重罪を犯せと? 自分と同じにしたいのか?私を偽善者だと思ってるんだろう?

ジミー

どうだろうな さあ 俺と泥にまみれてみろ!さあ 俺と泥にまみれてみろ そうすれば望みが叶う

まさにジミーは自分と同じレベルに落ちてくる事を、お高くとまったチャックに望んでる。恐らく、辞めろと言ってもジミーはそれをチクったりしないんだろう。「私は悪人じゃない」と断固拒否のチャック。

チャック視点で見れば、何よりも大切に我が身を笹下げてきた法律に背く事になる。ある面では嫉妬してやまないジミーと同じになってしまう事は絶対に出来ない。決して交差しない平行線。

「今ここを出ても20分の遅刻だぞ、また褒められるな。」と皮肉を聞いて、ジミーは無言で立ち去る。

 

 

昼間の廃倉庫。マイクとナチョが密会中。

殺しはやらないというマイクにナチョは食い下がるが、本当の問題は秘密がある事で、殺せばカルテルは必ずナチョの仕業だと突き止める、とマイク。それでも食い下がるナチョに、他の方法を示唆するマイク。

 

Better Call Saul S2Ep03 Gloves Off(丸腰) A1

CM放映の翌朝、D&Mのクリフと2人のパートナーにCMビデオを見せる。ジミーはグレーのスーツに白字に藍色の小紋タイ。

昨日電話でも叱責されたのに、コストの安さや掛かってくる電話の数をアピールするジミー。パートナー達はそういう問題ではない、無断で実行した事が問題だと。他にもクライアントはおり、今まで慎重に積み重ねてきた評判を損なう行為だとなじられる。採決では解雇だが、セカンドチャンスを与えるクリフいい人。

 

言葉も無く立ち去るジミーに社長秘書は冷たい顔。ジミーの憤然とした様子を見たアシスタントのオマールが心配げ。

部屋に戻るとすぐにキムに電話するが留守電だ。ここでHHM会議室の外にシーンチェンジ。プラスチック箱の中のキムの電話へクローズアップ。会議室ではハワードがキムを問い詰める。CMの件は知っていたのか?と。キムは見せてもらったが、報告する必要はないと思ったと。D&Mへのメンツを潰され、事務所の評判にも傷がついたハワードはお冠。勿論キムが報告の必要を感じなかったのは、ジミーがクリフの許可を得ていると偽ったからだ。キムはジミーをかばい、その事には言及しない。

ハワードはグレーのニットタイ。

 

 

場面は変わり、サラマンカがたむろするメキシコ料理屋エル・ミチョアカノを少し離れた場所から眺めるマイクとナチョ。

エル・ミチョアカノを眺める2人

真っ黄色の外壁はメタンフェタミンの色。ナチョはこのシャツの下からわずかに赤いアンダーシャツをのぞかせている。
毎週火曜日に行われる売上回収の手順を詳細に語るナチョ。トゥコの「嘘発見器」についても言及。ここから帰る所を銃撃して逃げろ、とナチョはいうが、マイクはリスクの高さから拒絶。

 

何故殺すのかと聞かれたナチョ。昔のトゥコが、少しの疑いで、ショットガンを好きだった部下ドッグの頭にぶち込み、頭蓋骨の破片が鎖骨辺りに刺さった話をする。当時やってたドラッグ、クランク(英字幕ではpeanut-butter crank、メタンフェタミンだそうだが、クリスタルとの差は調べてもよく分からない)でもそんなだった。今のドラッグはもっと危ないから自分の命に関わると。

 

狙撃なら安全に遂行できる、とマイクは言うのだが、5万ドルという報酬を確認すると、「考えてみる(I'll look into it)」と保留する。